父が弱っていき
痩せた父の写真を見た後の数日間
わたしは
色のない世界にいた
原因不明ということも不安に拍車をかけている
受診日だった今日
元気になったと
以前のような芯のある声で
電話をくれた父
ここ3日は、3食、食事も完食してるようだ
歩行も少ししっかりしてきたらしい
ヨロヨロしないと
トイレもお風呂も1人で出来てる
安心させようとしてくれたことを差し引いても
状態が良くなったことは伝わってきた
文章を書くことが得意な父が、2、3枚の頼まれた原稿を苦労してやっと書いたという
字を書くのさえ億劫だったと
少し話しただけで呼吸が荒く苦しくなっていたが
息苦しさが少し取れたと
なにもやる意欲がなくて
好きな鑑定団もうるさいなと思って見る気力がなかったが
テレビを見ることも出来るようになったと
うれしそうだった
好きな時代劇のDVDも見ることが出来そうだと
笑おうとも思わなかったが
今は笑い声も出ると
別の世界にいたようだったと話してくれた
確かに 連れていかれそうになっていたと思う
危ないところだったねと私
まだまだ油断は出来ないが
今までのかかりつけと縁を切り
大らかな若い主治医が出来て安心した
かかる病院を間違えるだけで
ADLがどんどん落ちるという悪夢を見た
精査することをヒステリックに要求されて
その過程で弱っていた
検査結果の数値に過剰に反応して
遠方の大病院へ紹介され
高速バスでの通院検査の数ヶ月
診断を出すには
侵襲性の高い検査を要するため
検査を希望していなかった
診断名がついたとしても
その大病院へ通うことは現実的ではなく
体に負担がかかるものだった
地元では出来ない治療だった
ということが数ヶ月間の結論だった
数ヶ月の間に
弱っていく父本体にはなにも医療的なことがされてなかった
そしていざ危なくなったら
「この臓器」が悪い 即入院になる
公立の病院へ行けと地元のかかりつけ
この病院とお別れできてよかった
「この臓器」はなにも悪くないよと
新しく主治医になってくださったDr.
愚痴愚痴してしまった
父の電話のあと
何度も口から出た独り言
「よかったー」
私の世界にも
再び
色が戻った
秋に夢を見た
病床に臥せっている父
そのあと亡くなった祖母が夢に出てきた
ばあちゃん
教えてくれてありがとう
ずっと見守ってくれてるの知ってる



















