彼女が事故に会った。

命には別状はなく一安心していた。


目が覚めると白い壁が見えた。

転々と黄色いシミが何個かあった。


彼女が目を覚ました。

腕に白い包帯が巻かれていた。


“ここはどこだろう・・・”

周りを見渡した。

知らない男の人が立っていた。


彼女がこちらを向いた。

“あれって”って顔をしている。

今、おかれている状況が把握できていないのだろう。


知らない男の人の隣に心配そうな顔で

両親が立っていた。

“お母さん、お父さん”


母親が泣き出した。

父親が事故にあったことを話してくれた。

交通事故に巻き込まれたことを知った。

事故のことは、思い出せなかった。


私を担当してくれているお医者さんの話によると

嫌なことは記憶が蓋をしてしまうため

憶えていない事があると・・・


交通事故に巻き込まれ、頭を打ったが障害もなく

腕にかすり傷が出来た程度だった。


様子をみて、明日には退院できる。

そんな話を聞きながら、仕事のことを考えていた。


その時、知らない男が声をかけてきた。

「無事で良かった」


この病院の人だろうか・・・?

スーツを着ているところを見ると両親の知り合いかもしれない。


目を会わせずにボソッと話した。

「事故のことはよく憶えてないんですけど、心配をかけてしまいすみません」



「おかあさん、あちらの男の人って誰?」


お母さんが不思議そうな顔をしてこちらを見てくる。


「ゆうちゃんのこと?」

その男の人を見てからもう一度「ゆうちゃんでしょ」



その男の人は私の彼氏だという・・・


彼女は僕のことを憶えていなかった

というより、忘れ去られてしまっていた。


自分自身のこと、両親のこと、友達のことそして、今取り組んでいる仕事の内容まで、

全て憶えている。

僕の存在以外は・・・


いきなり、私の前に彼氏と名乗る人が立っていて、

その男の人は困惑した顔をしている。


彼女が彼氏のことを憶えていない。

逆の立場だとショックだろうなぁと冷静にかんがえたりしてしまった。


僕はどうしてよいのか分からなくなってしまった。