どうも美国人はすぐ忘れる癖があります。いい悪しにつけてベトナム戦争の禍を忘れて終い、
せっせとイラク、アフガニスタン戦争を初めてしまいます。

戦争程その民族の長所短所を露骨に示すものはありません。その意味で戦史は指針を示す良い
材料となります。ジャーナリストの稲垣武氏が5冊の参考になる本を紹介しています。

1)「日本海軍の戦略発想」、千早正隆著で、プレジデント社発刊です。
2)「下級将校の見た帝国陸軍」、山本七平著、文春文庫発刊です。
3)「情報戦の敗北」、長谷川慶太郎著、PHP文庫発刊です。
4)「二ミッツの太平洋海戦史」、チェスターW. ニミッツ、エルマー、B.ポッター著、恒文社発刊です。
5)「沖縄 悲遇の作戦」、稲垣武著、光人社発刊です。

1)は日本海軍が一端戦略を決定すると情勢が変化しても、その戦略を変えない融通さが全然ありませんでした。艦船主義の時代が終りつつあっても未だ艦砲主義で進みました。敗戦の原因の一つであります。2)は戦史などは概ね高級将校の著書が多いです。彼等の目から見た大東亜戦争はかなり現実とかけ離れた
様子の戦争でありました。前線で苦渋の現実と上官からの矛盾した板ばさみになり、苦戦した歴史はやはり下級下士官の体験で無いとわかりません。
3)は山本連合艦隊司令長官の戦死の祭の諜報作戦の不味さや、日系米兵が6000人も諜報作戦に従事
したのでも良く両者の諜報に対する態度がわかります。概ね筒抜けの諜報の下で日本軍はたたかいました。
4)は決断と判断に優れたスプルーアン提督の作戦歴史を米国側から是非とも読んで見たいです。年功序列制度を無視して優秀な適所の人材を抜擢する米国の仕業に関心があります。山本長官の次は小沢長官に
するべきだったが、年功序列が邪魔をしました。
5)沖縄戦は堂見ても住民巻き込みの戦闘で思う存分移動、命令、後退などが手間取りました。もうこの戦闘では日本は何をしても有効な一撃とはなりませんでした。

外交が戦争の入り口を見出せば、時期を見て出口を見つけるべきであります。出口の無い無期限な戦争
は国敗れて、山河亡き物に帰結します。その責任は誰が取るのでしょう。近代戦は細菌戦、原爆の核戦争
などであります。

大いに過去の間違いを学び将来に役立てましょう。選挙で進路を変えるのも民主主義の力です。今米国は
選挙でイラク戦の行方をかえようとしています。民主主義が機能しています。

鳳山高雄。
11-23-06.