ブラックホール/直樹
確かに川原の言う通りだ・・というかこのままゾンビでいればクビの方が確率は高いが
21時を回った
二次会行くぞ
杵島が真っ赤な顔に千鳥足で叫ぶ
ついてくる奴はこいよ~俺のおごりだ
近くでため息が聞こえた
ため息の先には仕事も出き女性にも男性にも受けがいいクールビューティな名嶋礼菜がいた
タバコを吸いながら,携帯の画面を始終見つめている
`あんなに綺麗なのにつまらない男に夢中になってて・・'という女性社員の会話を思い出した
グラスは減っていない
こめかみだけがピクピクしている
俺が思い切って立ち上がり`部長・・'と言いかけた途端
凄い音を立ててその名嶋がイスから崩れお落ちた
ちょっ,痛っ!!!
膝をうったみたいだ
おい!大丈夫か!?
はぁ..でも気分悪いです.何か頭も痛いし..
・・もう上がらせてもらいますね.
演技なのか本当なのかヨロヨロと立ち上がると,名嶋は店内からすぅ~っと消えていった
張り詰めた空気が溶け
皆便乗するようにジャケットを着始める
同期の川原に至っては笑みさえ浮かべていた
杵島はがっかりしたように'仕方ない,お開きだなぁ'とまた一人ごちた
外に出るともう三月下旬なのに真冬並みの風が見に染みる
お陰で酔いはすっかり醒めていた
たった一人になりたい
(だって思い出さなければいけないんだ・・)
考えなければいけない事が
過去の幻影が俺の体に纏わりついている・・
最適な場所を一つだけ知っていた
俺は憑物が落ちたかのように冷静だった
車の中へ体を滑り込ませると,たった一つの行き先を目指し夜のネオン街へと車を走らせた
to be continued...続く
21時を回った
二次会行くぞ
杵島が真っ赤な顔に千鳥足で叫ぶ
ついてくる奴はこいよ~俺のおごりだ
近くでため息が聞こえた
ため息の先には仕事も出き女性にも男性にも受けがいいクールビューティな名嶋礼菜がいた
タバコを吸いながら,携帯の画面を始終見つめている
`あんなに綺麗なのにつまらない男に夢中になってて・・'という女性社員の会話を思い出した
グラスは減っていない
こめかみだけがピクピクしている
俺が思い切って立ち上がり`部長・・'と言いかけた途端
凄い音を立ててその名嶋がイスから崩れお落ちた
ちょっ,痛っ!!!
膝をうったみたいだ
おい!大丈夫か!?
はぁ..でも気分悪いです.何か頭も痛いし..
・・もう上がらせてもらいますね.
演技なのか本当なのかヨロヨロと立ち上がると,名嶋は店内からすぅ~っと消えていった
張り詰めた空気が溶け
皆便乗するようにジャケットを着始める
同期の川原に至っては笑みさえ浮かべていた
杵島はがっかりしたように'仕方ない,お開きだなぁ'とまた一人ごちた
外に出るともう三月下旬なのに真冬並みの風が見に染みる
お陰で酔いはすっかり醒めていた
たった一人になりたい
(だって思い出さなければいけないんだ・・)
考えなければいけない事が
過去の幻影が俺の体に纏わりついている・・
最適な場所を一つだけ知っていた
俺は憑物が落ちたかのように冷静だった
車の中へ体を滑り込ませると,たった一つの行き先を目指し夜のネオン街へと車を走らせた
to be continued...続く
ブラックホール/直樹
19時30分に皆で店に入る
テレビでも紹介され人気らしい和風フレンチの店`Vetida ru'は貸し切りの為他の客はおらず静かだった.
木で出きている店内は杉の香りがする
奥にはvip用に備えつけられた座敷の部屋まであったが
不思議と人に威圧感を与えない
少しリラックスできそうだ
`今回は居酒屋じゃなくて正解だったな,お前も来たし'
乾杯が終り上司が耳元で呟いた.
周りを見ると,笑いながら皆の箸も進んでいる
俺一人が不穏な空気を放っている
気を取り直し,白子をシソの葉で包み焼き上げた香ばしいソテーを口に入れた
上手い..ルッコラとベーコンのサラダも口に入れる
不意に`飲めよ!!'肩にがっちりとした手を置かれた
苦手な杵島部長だ.
`最近浮かない顔して,彼女と別れたらしいな!?'
彼は地獄耳で人の噂話が大好きだ
`いえ,まぁ'適当にあしらうと
イイ女紹介してやろうか?
ま,食えるなら大丈夫だろ.と一人ごちた.
苦笑しながらビールジョッキを口に運ぶ
俺の心を読んだように
同期の川原が`お前,辞めんなよ!辞めたらこんな不況時.行くとこないぞ'と真面目な顔で諭した
テレビでも紹介され人気らしい和風フレンチの店`Vetida ru'は貸し切りの為他の客はおらず静かだった.
木で出きている店内は杉の香りがする
奥にはvip用に備えつけられた座敷の部屋まであったが
不思議と人に威圧感を与えない
少しリラックスできそうだ
`今回は居酒屋じゃなくて正解だったな,お前も来たし'
乾杯が終り上司が耳元で呟いた.
周りを見ると,笑いながら皆の箸も進んでいる
俺一人が不穏な空気を放っている
気を取り直し,白子をシソの葉で包み焼き上げた香ばしいソテーを口に入れた
上手い..ルッコラとベーコンのサラダも口に入れる
不意に`飲めよ!!'肩にがっちりとした手を置かれた
苦手な杵島部長だ.
`最近浮かない顔して,彼女と別れたらしいな!?'
彼は地獄耳で人の噂話が大好きだ
`いえ,まぁ'適当にあしらうと
イイ女紹介してやろうか?
ま,食えるなら大丈夫だろ.と一人ごちた.
苦笑しながらビールジョッキを口に運ぶ
俺の心を読んだように
同期の川原が`お前,辞めんなよ!辞めたらこんな不況時.行くとこないぞ'と真面目な顔で諭した
ブラックホール/直樹
`あの・・大丈夫ですか?'
ペンが滑り落ちデスクに落ちた
眼鏡をかけTommy February似の女性社員が心配そうに見つめている
・・うたた寝していたらしい
`大丈夫,ありがとう'
`これ,ダンケの豆で入れたんですよ'
コトンとデスクの上に湯気を立てるマグが置かれた
ダンケは世界初のバタ-ブレンドコーヒーを生み出したお店
雑誌にもよく載っていて,うちの会社の近くにあり皆のお気に入りだ
精一杯の笑みを作り彼女が入れてくれたホットコーヒーを飲む
結婚したばかりで幸せなオーラを放っている彼女が別世界の住人に見える
`最近,何か疲れてますね.今日の飲み会は美味しいフレンチの店でやるんですよ♪きっと伊川さんも元気出ますから'
柔らかい声でそういう彼女の気遣いに弱い笑みでありがとうと返すと
彼女は軽い足取りで自分のデスクへ戻って行った
書類に目を通しながら,来週のプレゼン内容の確認をする・・
一方で俺は考えていた
明日香の部屋であの時見た写真の女性を
誰だったんだろう
何故見覚えがある?
何で俺が懐かしい気持ちになる?
もし俺が彼女を知っているならどこで知り合ったのか
思い出せない・・
考えると頭が痛くなってもやがかかったみたいになる
心臓の鼓動が早くて全身に汗をかいていた
気分が悪くなり,気晴しに逃げ腰だった飲み会に出席する事にした
ペンが滑り落ちデスクに落ちた
眼鏡をかけTommy February似の女性社員が心配そうに見つめている
・・うたた寝していたらしい
`大丈夫,ありがとう'
`これ,ダンケの豆で入れたんですよ'
コトンとデスクの上に湯気を立てるマグが置かれた
ダンケは世界初のバタ-ブレンドコーヒーを生み出したお店
雑誌にもよく載っていて,うちの会社の近くにあり皆のお気に入りだ
精一杯の笑みを作り彼女が入れてくれたホットコーヒーを飲む
結婚したばかりで幸せなオーラを放っている彼女が別世界の住人に見える
`最近,何か疲れてますね.今日の飲み会は美味しいフレンチの店でやるんですよ♪きっと伊川さんも元気出ますから'
柔らかい声でそういう彼女の気遣いに弱い笑みでありがとうと返すと
彼女は軽い足取りで自分のデスクへ戻って行った
書類に目を通しながら,来週のプレゼン内容の確認をする・・
一方で俺は考えていた
明日香の部屋であの時見た写真の女性を
誰だったんだろう
何故見覚えがある?
何で俺が懐かしい気持ちになる?
もし俺が彼女を知っているならどこで知り合ったのか
思い出せない・・
考えると頭が痛くなってもやがかかったみたいになる
心臓の鼓動が早くて全身に汗をかいていた
気分が悪くなり,気晴しに逃げ腰だった飲み会に出席する事にした



