宮崎氏が残念がっているのは「設定に興味を持つアニメーターが少ない」ということです。「残念な事に設定に興味を持つアニメーターって本当に少ない。基本的に関心を持つ分野がせまい。だから、ごちそうっていうとトンカツ描いちゃう(笑)。あわてて資料をさがしたって使いこなせるわけないのね」(アニメージュ85年一月号)といっています。普段からいろんな分野に興味を持っていれば、いざごちそうを描けといわれたとき、中華、フランス料理もかける、さらに貧乏という状況まで(つまり世界観)までイメージできるなら、ラーメンでさえごちそうになる。にもかかわらずいろんな分野に興味を持っていないため、みんなごちそう=トンカツというワンパターンかつ薄い発想になる。
「・・・庵野君たちもそうなんだけさ。いかにロケットが天空に上っていくかに夢中なのね。そんなことより、ロケットがあがっていくその足元にある家、その家の格好に興味を持つアニメーターがいないとね。背景のデザインを美術にまかせればいいというのはまちがいでね。全部をくっつけてやる人間がいなきゃだめなんだ。世界をつうりあげようとする人間が。」(同)と言っています。

また押井守も「持ち込んでくる若い人の絵はやっぱり似たような絵なんですよ。かっこいいロボットでね。背景がない。背景描いておいでというと、次にもってくるのは、どっかでみたような岩山みたいな町になっちゃう。比較物のない背景ではロボットの大きさがわかるわけないのに。」と不満をもらしています。
キャラクターと背景がくっついた、世界そのものをつくりたいという発想が大事になるようです。
カラのコップから水はとりだせない。それとおなじようにきちんとした知識や情報を集めていないと世界そのものをつくることはできないようです。


続く・・・かな(藁