戦雲の夢自分の運を愛さないものに運は微笑しない。女運ばかりではない。男としての人生の運さえも同じことだ。盛近は、自分の運のわるさについて、そうかんがえるようになっていた。(おれは、かって、おれ自身に惚れ込んだことがなかった。自分に惚れこみ、自分の才を信じて事を行えば、人の世に不運などはあるまい。運は天から与えられるものではない。おれが不運だったとすれば、自分自身に対してさえおれは煮えきったことがなかったせいだろう) 長曽我部盛近