何と表現してよいのだろうか?
「萬来園」の中華を。
その店は大井町で最も庶民的な通りである飲食街の一角にあります。
昼間は商店街の通りに面した普通の中華店なのですが、夜になると予約者限定の高給中華店に変貌するのです。
私がこの店の存在を知ったのは、過日フジテレビで放映された「アイアンシェフ」にこの店の息子さんが挑戦者として登場したことによります。
惜しくも鉄人には勝てませんでしたが、この店が全国放送のテレビ番組で紹介された意義は大きいと思います。
さて、その夜は親しい付き合いをしているIT系企業の社長さんが、私と私の上司をこの店で接待してくれたのですが、メニューがなく、もちろん料金も分からず、その日の食材をご主人が客に見せ、調理方法を話し合いながら決めていくという噂に若干の気後れがありました。
何だか面倒くさそうな店だな~というのが店に行く前の私の印象でした。
おまけにその夜は我々4人だけの貸切です
緊張してご主人の目の前に座ると、意外や実に親しみのある普通のおじさんでした
この第一印象で、心の緊張が随分ほどけました。
さらに、息子さんも、奥さんも笑顔を絶やさず客に接してくれます。
中の良い普通の3人家族という印象です。
この時点で最初の緊張などすっかりなくなってしまいました。
まず、ご主人が本日の食材を次々に紹介しながら、「こんな風に食べると美味いよ~」と、話しかけてきます。
珍しい野菜がたくさん。
その中から気に入った食材をおやじさんが推薦してくれた調理方法でオーダーすればよいのです。
でも、おやじさんの推薦メニューを「いいいね!、いいね!」と受け流しているととんでもないことになってしまいます
だってメインの上海蟹に到達する前にお腹がいっぱいになってしまいますから。
ネットで検索すると大体15品くらいは出てくるようです。
その夜は12品をいただきましたが、今までの中華料理ならとてもここまで食べることはできません。
しかし、その夜はおやじさんと息子さんが提供してくれる料理が次々と胃袋に入っていきます。
素材が良い!
調理の油が良い!
料理の腕が良い!
だから美味い!
中でも前半で最も印象に残ったのがこれ!
キヌガサタケ(初めて食しました)の姿煮とでも言いましょうか?
フカヒレの姿煮のスープに似た何とも舌触りの良いとろみのあるスープにこのキヌガサタケが横たわっています。
上に載っているのは金華ハムです。
この美味しさを表現する言葉を残念ながら私は持っていません。
この他にも絶品の料理が次々に提供されましたが、やはりその夜のメインは上海蟹でした。
まずは蒸された上海蟹をいただきます。
その間に蟹みそを充分にをまぶした「上海蟹ご飯」が出てきます。
もう感激です
指名すれば上海蟹を丸ごと一匹使った「蟹チャーハン」も作ってくれるそうです。
一度食べてみたいものです!
相当お腹がいっぱいになったところでご主人が締めにラーメンを食べるかね?と聞いてきました。
ただのラーメンでないことは明らかなので、一人前を4等分にして出してもらいました。
上に振り掛けられているのは浜松海苔だそうです。
実に優しい味のラーメンでした。
デザートはオリジナルの杏仁豆腐。
半分をそのまま食べ、後半は紹興酒を少しかけていただきました。
以上で終わりですが、その夜、私が知っている中華料理の概念が完全に崩れ去りました。
かつてない美味しさとしか言いようがありません。
食通の上司曰く、油が良い、少ない、だからとにかくいくら食べてもお腹がもたれない。
しかし、料金はかなり高そうです!
そう簡単に行ける(まず予約がとれない)店ではなさそうです。
良い経験をさせてもらいました。
Y社長、ありがとうございました。
これが「萬来園」のおやじさんです!