川崎フロンターレ監督「風間八宏」のマネジメント哲学 | ソフィアの森の「人生は、エンタテインメントだ!」

ソフィアの森の「人生は、エンタテインメントだ!」

音楽が好きで、映画が好きで始めたブログですが、広告会社退職後「ビジネスの教訓は、すべて音楽業界に学んだ」を掲載しました。

最近経済紙を読んでいると好調企業と不振企業の差が歴然としていることに気がつく。


シャープやヨーカ堂やNECのようにこの数年の不況から脱しきれずにもがいている負け組企業から、長崎県のお荷物と言われた「ハウステンボス」を見事に再生し、連結最高経常利益を更新している勝ち組企業のHISまで様々だ。


勝ち組企業は当然ながら社員の待遇も上がるが、負け組企業には容赦ないリストラが待ち受けている。


企業が生き残るためのリストラはもちろん大切だが、問題はリストラの後にどんな企業にするのか?それをどうやって成し遂げるのかのビジョンを明確にする経営者がいるかいないかで、それによって社員のモチベーションは大きく変わってしまう。


今の時代に合う話ではないけれど、私が以前勤めていた会社が大きな不良債権を抱え、倒産寸前になったことがありました。


結果的には、エンジェルによる第三者割当増資でその危機を乗り越えたのですが、その増資を成し遂げた経営者が社員の前でこう語ったことがとても印象的で、今も強烈に心に残っています。


「ご存知のとおり、当社は倒産の危機を乗り越えて再生することが決まりました。ついては増資してくれた企業から借りたお金を5年で返済したいと思います。その間、皆さんには死にもの狂いで働いてほしい。だから、その間皆さんの給与を下げたり、交際費を下げたりすることはせず、皆さんの働きに報いる会社にしたいと思います。どうか私を信じ、私について来てほしい」


当時この会社には若い社員が多かったこともあり、実際5年で売り上げを3倍に伸ばし、エンジェルへの借金を返したのです。


まあ、世の中の景気が今より良かったことや当時仕事をしていた業界がまだ右肩上がりで伸びていたことも影響したと思いますが、私自身が当事者として目撃していた感想を一言で言うならば「モチベーションの高い集団が、スピード感を持って仕事をした」に尽きると思います。


やはり、企業、それも中小企業であればあるほど、この「モチベーション」が果たす役割は大きい、そして社員のモチベーションを高める指導者の存在が大きいとその時つくづく思いました。


そんなことを考えているときに週刊誌「アエラ」で「風間八宏~サッカーの常識を覆す名解説者の不敵な挑戦という特集を読みました。


そこに書かれた彼の哲学の一端を紹介します。


まずアエラは、風間八宏を次のように紹介しています。


「今、サッカーのJリーグで物議を醸している監督がいる。今年4月、川崎フロンターレの監督に就任した風間八宏だ。これまでJリーグでは“サッカーはミスが前提のスポーツ”と考えられ、、相手の分析や、守備の練習が大切だと思われてきた。だが、風間の考えはまったく逆だ。“サッカーは、ミスをしないでプレーするもの”と考え、徹底的に攻撃の練習を行う。相手に合わせて、自分たちのやり方を変えたりは決してしない。前者が弱者の発想だとしたら、後者は王者の発想だ」


だから、風間は普通の監督なら目先の1勝にこだわるところを「100勝するチームを目指す」と宣言する。


では、この日本サッカー界の異端児がどんなマネジメント哲学を持っているかが、このアエラの特集です。


1.どんな状況でも、どうすれば自分の武器を出せるのかを考える。


人とは違うやり方でいいから、絶対に揺らがないものが一つできれば、そこから一気に見えるものが増えてくる。そういう意味らしい。


自分だけの武器、これは自分だけの武器を持つ会社にしても同じだと思います。


2.修正とは現状に戻すだけで横ばい。目指すのは進化だ。


確かに修正だけでは現状を打破することはできない。進化するためには現状打破が必要になるということを繰り返し選手に説いているという。



そして、監督に就任した自分にも厳しい。これはマネジャーとしての心構えともいえる。


3.自分が本当に大切にしてきたことを忘れない


監督になったとき、ふと自分が周りの常識に流されていないかと思ったそうです。


監督になった途端、選手時代に大切にしていたものを忘れてしまったかもしれないと。


自分が本当に大切にしてきたことを思い出し、部長になったから、役員になったからというような理由でそれを忘れてはいけない。


そんなことを言われているような気がしました。


これには素直に共感できますニコニコ



私事で恥ずかしいのですが、前の前の会社で初めて課長になった時、今の自分が一番大切にしていることって何だろうか?と真剣に考えたことがありました。


それを部下に伝えたい。


その中から生まれたのが次の言葉でした。


「愛と勇気と情熱」


この3つを忘れずに仕事をすれば必ず道は開ける・・・・そんなことを部下に話したのが34歳、初めて課長に昇進したときでした。


う~ん、今となっては少し恥ずかしいけれど、この考えは今でもそんなに変わっていないような気がします。


最後にアエラの記事は以下の風間の言葉で結ばれています。


「自分が大切にしているのは、逃げないこと、ブレないこと。今の自分をさらけ出すことを恐れず、今の自分たちの力で勝負していく」


ブレない、逃げないはリーダーの資質として一番重要だと思います。


今、日本の政界は次のリーダーを選ぶことで政局になっていますが、こんな政局を毎日見せられていると民主主義の最大の敵はポピュリズムだとつくづく思ってしまいます。


民主主義のリーダーは選挙を考え、ポピュリズムに媚びやすい。


そんな中、野田首相には今までの首相と異なる姿勢があると思います。


かつての民主党首脳ができなかった「小沢斬り」をやってまでも自民党、公明党との3党合意を成し遂げた。


おのれの信念に従い、嫌われることを承知で大きな決断をしている野田首相を簡単に辞めさてはいけないと思う。