震災から9日目を迎えて・・・・・・・
もう9日が経ってしまいました。
福島県いわき市在住の友人から今朝電話がありました。
何と彼は東京にいました。
品川のプリンスホテルに家族全員で宿泊しているそうです。
彼は地元でセブンイレブン5軒を経営しているのですが、原発から40kmのところにある自宅は損傷はあるものの倒壊は免れ、店も商品はメチャクチャになったもののこちらも倒壊は免れたそうです。
しかし、生活インフラが破壊されているので、ガソリンがあるうちにということで、15日に家族全員でいわきを脱出し、途中磐梯により、高速を使って(高速は避難民優先だそうです)17日から東京の品川プリンスホテルに宿泊。
明日(21日)にはいわきに戻り、市民のためにお店を1軒だけ開けるそうです。
素早い決断でしたが、皆が彼と同じような行動を取れるわけではありません。
ちなみに地震発生の当日、私と彼が地震発生の2時間前まで食事をしていたいわき市小名浜海岸のレストラン一帯は津波で壊滅的な打撃を受けたそうです。
命拾いしました!
この9日間、様々な思いが頭をよぎりました。
しかし、地震の後遺症は思わぬ形で、いや予測を遥かに超える形で、我々広告代理店の経営を直撃しています。
地震発生の当日から相次ぐ広告のキャンセルです。
既に掲載が決まっているものをキャンセルするわけですから、大変です。
媒体側も「大災害ですから、仕方ないですね」なんて甘い言葉でキャンセルを受けてくれるわけがありません。
もちろん間に入る我々だって掲載が決まっている広告がキャンセルされれば、売上が一気に下がる。
しかも3月という年度末です。
毎日必死に対応していますが、仕方のないものは仕方ないと今では諦めていますが、テレビを除く他の媒体はできるだけキャンセル料が発生しないように落としどころをつくるのが我々メディア本部の知恵と工夫です。
皆、休日返上で頑張ってくれています。
しかし、テレビはこれからが大変です。
地震発生以来、殆どのテレビコマーシャルが「AC」、いわゆる公共広告機構のCM素材に差し替えられています。
普段ならばCM料金を払った企業のコマーシャルが放送される枠です。
ここにはひとつの理屈があります。
災害が発生し、公共的な使命を果たさなければならないテレビ各局は通常の番組を飛ばして、特別番組を編成します。
だから企業のCM枠という既存の概念が吹き飛んでしまうことと、災害の特別番組内や前後にノーテンキな企業CMを流しては企業イメージの低下につながるという理屈が生まれるのです。
この場合、テレビ局は扱い代理店を通して、「御社が担当している企業のCM枠をACに差し替えてよろしいでしょうか?」という「お伺い」を顧客企業に投げかけます。
良いも悪いもありません。
担当の広告代理店から「ACにに差し替えますが、よろしいですね?」と聞かれれば、大概のの企業は納得します。
これが過去の通例ですから、TVコマーシャル放送の歴史が長い企業ほど、納得が早いです。
しかし、公共広告CMの差し替えがこれだけ長く続くとどうでしょうか?
企業の中からは、そろそろ我が社のCM素材に差し替えてほしいという要望が出てきます。
ここで広告代理店は悩みます。
過去にこれほど特番編成が長く続き、それに従って通常の企業CMがACに差し替えられるというのは前例がないからです。
企業が「我が社のCM素材に代えてほしい」というのには「お金を払っている以上」という明快な前提があります。
企業のCMがACに差し替えられても、これは企業の自主判断でACに差し替えたのだ。
だから広告代理店を通じて事前に「ACに差し替えてよろしいですか?」というお伺いをたてたのだ、というのがテレビ局側の論理です。
顧客企業としては、確かに「ACに差し替えてよい」と言ってはみたものの、それは当面のことであり、ここまで長く続くとは思わなかった、という思いが生まれてきます。
これも理解してしまいます。
広告代理店としは、本来理解してはいけないのですが・・・・・・・
ここで、間に入っている広告代理店の悩みはさらに深くなるというわけです。
広告会社ではなく「広告代理店」とはうまく表現したものだと、つくづく感心(?)してしまいます。