内なる気品
と題された変型の10段カラー広告が8月12日朝日新聞夕刊に掲載されました。
私が目を惹かれたのはデッキに佇む女性の写真でした。
美しいだけでなく気品がある。
写真の鮮度が良くないので、伝わりにくいかもしれませんが、とてもステキな絵です。
美しい女性は大勢いますが、内なる気品を秘めた女性に出会うことは滅多にありません。
そんな滅多にない女性の写真でした。
思わずその下に書かれた光野桃さん(作家)の文章を読んでしまいます。
「第二の肌」と題されたこの文章がまた良いのです。
「ふとした瞬間に、その人の内面に触れる・・・・そんな装いというものが確かにあるのだということを知ったのは、ある秋の深まった日のことだった。
それはクルーズをして記事を書くという仕事で、船会社の社員や媒体の編集者など、大勢のスタッフと共に船に乗り込んだ。そして無事に取材が済んだあと、わたしは店内を散歩していた。
奥まったデッキに、ひとりの女性がいた。確かスタッフの中にいた人だ。携帯で話をしている。話し終わると、海風に吹かれながらその場に佇んでいた。」
ふむふむ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
いい感じの出だしではないでしょうか。
ここまでは客観的な描写です。
一体何の宣伝だろう?と首をかしげるワ・タ・シ。
後で気づくのはですが、ポイントは彼女がこのイベントの主催者側のスタッフだということです。
「彼女のほうに何となく足が向いたのは、こっくりとしたラズベリー色のロングカーディガンと同色同素材のニットワンピースという組み合わせの美しさに心惹かれたからだ。気品と温かみ。どこか不思議な懐かしさも感じさせるそのスタイルに、この人と話をしてみたい、と思ったのだ。」
ひょっとして・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
ここまで読むと鈍感なワ・タ・シでも分ります。
どこぞのアパレルメーカーの宣伝?
中略
「彼女は第二の肌を持っていた。自身と、そして出会うすべてのひとに対する慈しみの気持ち。それがその肌の、類まれなる感触を選ばせたのだろう。
装いという思いやりの形を知った一瞬だった。」
やっぱり!
アパレルメーカーの宣伝でした。
「アクリスジャパン」 という名前が下に書かれています。
「アクリス」を調べるとスイスの高級アパレルメーカーで、2002年に日本に進出した知る人ぞ知る高級ブランドとあります。
ワ・タ・シ知りませんでした。
全国の有名百貨店やホテル内のみに18店しかありませんから、ポピュラーではありませんが、2007年に井野智恵子さんという人が社長にヘッドハンティングされてから、同社のマーケティング戦略が変わってきたそうです。
井上さんは、イヴ・サンローラン、クリスチャン・ディオール、ジョンソン・アンド・ジョンソンなどでキャリアを積んで来た人ですが、1999年から1年半在籍していたスターバックスコーヒ・ジャパンで、同社の国内店舗数が28店から100店になるときにマーケティンセクションの第一線で活躍したそうです。
自ら、これほどエキサイティングな経験はないと語っています。
すごいキャリアですね。
アクリス・ジャパンのこれからに注目したいと思います。
こういう広告に出会えるから、新聞が好きなのです。
ただひとつ、「アクリスジャパン」のホームページがカッコよくないし、見ずらいです。
折角なのでリニューアルをオススメします。