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大学教授の老いを感じ始めた男と教え子の若く美しい女性との官能ラブ・ストーリー。
イザベル・コイシェ監督の作品です。長編は「あなたになら言える秘密のこと」しか観ていないのですが、おそらくこの作品は、今までの作品とはまったく雰囲気が異なっているのではないでしょうか。濃密な大人のラブ・ストーリーに仕上げています。
大学教授のデヴィッド・ペケシュは、テレビでインタービューを受けるほどの著名な批評家でした。本能のまま生きる彼にとって結婚は窮屈であり、妻と息子ケニーから逃げるように別れ、元教え子で女性経営者のキャロラインとは20年来、身体だけの付き合いをしていました。
そんなある日のこと。講義にあらわれた魅力的な女性コンスエラ・カスティーリョにデヴィッドは釘づけになってしまいます。
デヴィッドは自宅でパーティーを催し、生徒たちを招待します。そこでコンスエラと語り合い親密な関係へとなっていくのですが・・・。
・・・デヴィッドが羨ましい・・・(^_^;
コンスエラがあんなにもデヴィッドを愛する理由は何だったのでしょうね。フィーリング?それとも、自分にはない教養や経験、美的センスなどのあこがれ?
デヴィッドもまさかこんなにもトントン拍子に誘いに応じてくれるとは思っていなかったのではないでしょうか?
何と言っても30も歳が離れている2人。
そのうち、若い男にとられてしまうのだろう・・・デヴィッドは今までにない嫉妬と不安に駆られてしまいます。
はたして、2人の愛の結末は・・・。
デヴィッド役にはベン・キングズレー。「ガンジー」を観た後に、この作品を観たのですが、やっぱり全然違いますね。でも、老いを感じる役なのですが、彼の身体つきは意外と若い!メタボの心配などなさそうな気がします。
コンスエラ役にはぺネロぺ・クルス。彼女の魅力が全開ですね。惜しげもなく裸体を披露しています。いやぁ美しい。アートの域に達していますね。でもこの作品であそこまでさらけ出す意味があったのかなぁと初めのうちは思っていたのですが・・・後半のストーリーで納得してしまいました。美しい裸体を見せなければ後半での説得力はなかったかもしれませんね。
キャロライン役にはパトリシア・クラークソン。彼女はデヴィッドと近い年齢の女性というコンスエラとは異なる女性を担う役でしたね。女性が自立することと老いを感じる不安を演じています。「ラースと、その彼女」を観た後だとちょっとビックリしてしまうかも!?です。
デヴィッドは自分の恋の悩みを親友のジョージに相談します。ジョージ役にはデニス・ホッパー。デヴィッドの聞き手ばかりの役になぜデニス・ホッパーが?とこれまた思ったのですが、最後に来ましたねぇ。老いを感じずには入られないエピソードを担っています。
ラスト。
デヴィッドの気持ちは判るところもあれば判らないところもあり・・・ちょっと複雑ですが、おそらく彼は捨てられるのが怖いあまり先に自ら捨ててしまう・・・そんな思いがあったのではないでしょうか?
だから、形として永遠に残るピアノ、絵画、写真などを手元に置きたがっていたのかも・・・。
でも、息子ケニー、親友ジョージ、キャロライン、そして、コンスエラによって、絆、思い出、愛も心の中に残るものだと気付いたのかもしれませんね。
「私はそばにいる。」
ラストシーンのデヴィッドの一言から、不安から解放された安心感のようなものを感じられました。それはコンスエラにとっても同じだったのかもしれませんね。
「エレジー」・・・心に染みました。
Title:
ELEGY
Country:
USA (2008)
Cast:
(Consuela Castillo)PENÉLOPE CRUZ
(David Kepesh)BEN KINGSLEY
(George O'Hearn)DENNIS HOPPER
(Carolyn)PATRICIA CLARKSON
(Kenny Kepesh)PETER SARSGAARD
(Amy O'Hearn)DEBORAH HARRY
Director:
ISABEL COIXET
Awards:
Los Angeles Film Critics Association Awards 2008
(LAFCA Award(Best Supporting Actress))PENÉLOPE CRUZ
