Comment:

人気劇評家の男が家族に振り回されるブラック・コメディ。

フランク・キャプラ監督の作品です。登場人物＆ストーリーはサイコ・サスペンスなのに、なぜか作品全体はコメディという摩訶不思議な作品です。

笑える要因の1つに主人公モーティマーの慌てぶりがあるのでしょう。この日はモーティマーにとって長い一日だったことでしょうね。

隣家に住むエレインと婚姻届を提出するところからドタバタ劇が始まります。

演劇劇評家としてだけではなく、作家としても売れっ子なモーティマーは、独身男性の代弁者だったのです。

有名な著書が「イケてる独身男」ですから(^_^;

世間体を気にするモーティマーは、結婚を隠したがります。この性格が災いして、この後起きる様々な事件も隠そうと迷走してしまうのですが･･･。

･･･でも、あの家族では仕方ありませんね(^_^;

まずは、叔母のアビー＆マーサ姉妹。裕福で人柄も良い彼女たちは、街の人々から信頼されています。大きな家に住む彼女たちは、余っている部屋を貸し出すのは彼女たちなりの「慈善」の表れでした。

しかし、彼女たちには恐ろしい秘密があったのです。

次に、叔母の息子テディ。彼は叔母たちと同居していますが、自分は「ルーズベルト大統領」だと思い込み、時に大声で叫び、来訪者を「大統領に会いに来た者」として、その応対を逐一チェックします。

彼は大騒動のキーパーソンですね。

そして、モーティマーの兄ジョナサン。家を出てしばらく会っていなかったジョナサンが、何の因果かこの大騒動の日にやって来るのです。お互いにいがみ合っているモーティマーとジョナサン。

このジョナサンにも恐ろしい秘密がありました･･･その容姿を見れば一目瞭然なのですが(^_^;

さすが舞台劇の映画化しただけあって、この家族が大広間で入れ代わり立ち代わりするさまはリズミカルかつ鮮やかで、それがストーリーをさらに面白くしています。

婚約者（というか既に結婚しているので新妻ですかね）のエレイン。

街を巡回する警官のブロフィーとオハラ。

ジョナサンの相棒で医師のアインスタイン。

ハッピーデール療養所のウィザースプーン医師。

大騒動を収束しようとするルーニー警部補。

らがさらに大騒動を更なる混乱へと招きます。

モーティマーの途中でキレて「どうぞ、ご勝手に。」とでも言いたげな素振りに笑えました。

モーティマー役にはケイリー・グラント。二枚目なのに、この作品では完全な三枚目です(^_^;

監督の作品群としては、ヒロインがあまり活躍しなかったことが残念な点ですかね。ヒロインであるエレイン役のプリシラ・レインがほとんど脇役に転じてしまっています。

もしかして、真のヒロインはタイトル通り、アビー＆マーサ姉妹なのでしょうかね(^_^;

ラストは思いもよらない展開で大騒動は収束します･･･ん？してるのかなぁ(^_^;

と、とにかく、フランク・キャプラ監督のスクリューボール・コメディ「或る夜の出来事」のように二転三転する面白い展開ですが、

「スクリューボールを投げたら、審判の判定をきっかけに大乱闘になってしまった。」

「観ている観客たちも大盛り上がり。」

･･･と例えることができそうなハチャメチャな作品でした(^_^;

･･･何気にモーティマーよりタクシーの運転手が一番可哀想だった気がする･･･。

Title:

ARSENIC AND OLD LACE

Country:

USA (1944)

Cast:

(Mortimer Brewster)CARY GRANT

(Elaine Harper)PRISCILLA LANE

(Abby Brewster)JOSEPHINE HULL

(Martha Brewster)JEAN ADAIR

('Teddy Roosevelt' Brewster)JOHN ALEXANDER

(Jonathan Brewster)RAYMOND MASSEY

(Dr. Einstein)PETER LORRE

(O'Hara)JACK CARSON

(Brophy)EDWARD McNAMARA

(Lt. Rooney)JAMES GLEASON

(Mr. Witherspoon)EDWARD EVERETT HORTON

(Reverend Harper)GRANT MITCHELL

(Taxi Cab Driver)GARRY OWEN

Director:

FRANK CAPRA

←ランキング参加中です。

毒薬と老嬢