【小説】緊急電話 | しま爺の平成夜話+野草生活日記

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・火事です。すぐ来てください。



いやあ、保険には入ってません。
とにかく、早く。
中に子どもがいるんです。 足腰の弱い母も!



いや、カードはありません。 そんなことより、早くしてください。



はあ?
現金?
明日の飯代はあります。





えーーーーーーーーーっ!
そんな殺生な!







・車に轢かれました。
救急車をお願いします。

いいや、国のも民間のも入っていません。




はあーーーーっ!

なんでだ、なんでだーーーーっ!






・車に轢かれました。
救急車をお願いします。



えっ!入ってますよ。
アンタラーイ保険です。


はあ、引き落とし銀行?
ゴーホックバンクです。
いいから、早く?


(病院にて)

ああ、右足首が複雑骨折してますなあ。
切り取りますか?
それとも、手術して残しますか?




残しとなるとですなあ。
ちいと待っててよ。

あんたの契約じゃあ、保険がききませんなあ。




えっ?
それには銀行残高不足です。あなた不動産は?




いや、早くと言われても、支払い能力を確認しませんと。うちは、慈善事業をしてるわけじゃないですから。




あーあ、大丈夫。
その出血なら、3時間はもちますから。



ええと。
まずは、不動産屋に査定してもらってと……。




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