
私が白壁星旅行に出たのと時を同じうして、知ってるような全く知らないような方は、金星旅行に出かけていたようだ。
金星の今の最大の問題は食糧である。
すでに合衆国気象研究所、ならびにロイド保険が昨年予想していたように、国民平均日摂取カロリーは800kcalを下回り、国全体が餓死寸前の状況なのだ。
また、この予測数値は平均値であるため、階級の低い一般人民の住む山村部、特に長白山付近においては、村が全滅したところもある。
さらに追い討ちをかけるように、今年、来年はササの開花年にあたる。
ササの開花はノネズミの繁殖につながり、たんぱく源ともなりうるが、それ以上にやっと貯えたコーリャン、アワ、ヒエを食い潰してしまう。
なんとかして、兵士たちに与える食糧を得なければならない。
国内は数年続く天候不良で、貯えは底が見えてきた。
食用蛙生産工場は、一昨年の豪雨で大半が壊滅状態。 日本から得たリンゴ、ブドウの栽培は土が合わずに頓挫している。
最も手っ取り早く莫大な利益を得られ荒れ地でも育つあの花も、やはり豪雨以降芳しくない。
紙幣は諸外国が、面倒な防止策を施し始めたから、もはや技術的に無理だ。
親分の中国は、最近国内の泡がはじけるのを隠すのに精一杯らしく、あまり米麦を回してこなくなった。
ここはやはり、あそこになんとかしてもらう他はないだろう。
浮気とあっちの親分も腹を立てるだろう。
いや、その前にバスケット兄ちゃんでごまかしておけば、あっちの親分の顔が立つ。
まあ、あそこが浮気を責められても、背中にグサリはないだろう。
こちらは、やつらのギクシャクをうまく利用すればよい。
★本記事は小説であり、仮に似た事実、団体があったとしとも、事実とは関係がありません。