『信長と家光』 その5 | しま爺の平成夜話+野草生活日記

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関白と言ったがな。
正しくは権の関白のようなもの。
ああ、権関白のごんとは、なにがし待ちと言った意味だ。
つまり、それになれる格といったようなもんかのう。
水戸黄門はテレビの影響で天下の副将軍で知られておるが、位階は権中納言。

信長の息子とは、五つも六つも位階差がある。




じっちゃんよう。
だから、その息子って誰なのさ。





ここまで話たのに、まだ分からんのか。
ダメじゃなあ。
がっこで、年号丸暗記をよしとし、考えないことが重要だとする戦後教育の弊害だわな。


穴は空いていません。
ただちには影響がありません。
復興の努力をしています。
みーんな信じてしまうわけだ。

そうした教育の成果が、今花咲き出した。
次は、できるだけ考えない人間を手足にすること。
考えるやつは切り捨てることだな。


おっと、また話が飛んでしまったぞ。


えーと。
どこまで話した?




信長の息子が、権関白だかとかいうところ。





そうじゃった、そうじゃった。

右大臣になった、おひろいの話までだったな。





! ! !


じっちゃん!
おひろいって、秀頼のことか?




ああ、そうだ。茶々の次男坊だよ。




えーっ。
じっちゃん、お茶々、つまり淀は、信長の姪っ子だよ。
ありえねえ!




なんで?




だって姪だよ……。





あのなあ、儂が若い頃は叔父と姪の結婚など当たり前だったぞ。と言っても、平成生まれのお前には、明治の話はわからんか。




? ? ?


あれっ。
じっちゃんは明治生まれなのか。
昭和バリバリだろうよ。
きのうだって、出目金になごり雪歌って聞かせていただろが。




人聞きの悪いことを言うんじゃない。
誰が出目金に、イルカの歌なんぞ歌うかい。





ほーら、やっぱり。
なごり雪歌った歌手知ってんじゃん。




こら、坊主。
これは内緒だぞ。
儂は、明治生まれのよぼよぼ爺さんということになっておる。
特に、隣のあや婆さんには絶対言うよ。

まあ、事故を起こした車両を穴に埋めちまうよりはましだ。




分かった。
そのかわり、あと少し詳しく話してよ。





いいか。
長男のすてにしろ、次男のおひろいにしろ、本当に秀吉の子どもだとおもうか?
秀吉には側室ばかりか、諸国から集めた美女、人質にとった城主の妻。
手をつけただけで、数百人の女が周りにいた。

でも、誰ひとり身籠っていない。

唯一の例外が茶々だよ。
これは、どう考えてもおかしいだろうよ。

だから、昔からいろんな噂も立ったわけだ。

だかな、信長が父という話はない。

これは、すっかり信長の術にはまったわけだな。

さすが、天武以来の、日本には珍しい革命家だわな。




はあ?
天武って……。






つづく。


★今日本には、信長だか龍馬に自らを重ねるご人がいる。

確かに、綱吉くらいに名を残すかも知れない。

いやこれは失礼だ。
もっと国際的、そうイワンとか阿Qさんくらい有名になるだろう。