私がイギリスを嫌いになるまで vol.3 | N e w  Y o r k B l o w -NYでもタコ焼きを焼く英国人へ-

私がイギリスを嫌いになるまで vol.3


vol.2の続き



店頭に無い商品を探すべく、
店舗の奥に在庫の確認に行ってくれたマーク君。
「じゃ、直ぐ戻って来るから待ってて」と、
見た目26-7歳の可愛い笑顔を残して消えて行ったマーク。
私は5分やそこらで切れて帰る忍耐力の無いアホ外人とは違い、
15分待った。

文句も言わず、
チョット隣の列に行ってる間にも戻ってきたかな?と気を遣い、
行ったとしても元居た場所をチラチラ気配を気に掛け、
秒針を見詰め乍ら40秒ダッシュの状態で戻り、
アホ外人の3倍待っても切れる事もなく、
マークは私の為に探しに行ってくれてると信じ、
限られた中でもチョロチョロと動き乍も、
私の為に働いてくれてるマークを待ち続けた。

しかし、ピーター店長は、


「15分前に帰りました」


と、平然と宣った。
私の怒りは一気に7合目まで駆け上り、
そして一瞬にしてパニックに陥った。

へ?!何ですとぉ??  (; ̄□ ̄)ナヌッ?
帰った??
何で?
何時?
15分前...!!  Σ( ̄□ ̄;)
俺が用事頼んで、そのまま帰っとんのかいっ!!
いっこも探さんと、帰っとんのかっ!!   ヽ(`Д´)ノ ナンヤト!
ゴルァッ!!!  (▼▼〆)
どーゆー事なんじゃっい!!  ウリャ(;-_-)/∝━━━━━━∈グサグサ

頭の中でこれ等の事柄が活火山のマグマの様に、
一気に噴出してきた。
私はピーター店長に冷静に訊ねた。(「尋ねた」ではない!)

私-「何時帰ったんだ?」

ピ-「15分前だそうです」

私-「誰かが見てたのか?」

ピ-「今日は4時までの勤務なのでタイムカードを確認したら、
    15分前に退社してました」


私-「15分って!?」

ピ-「確かに15分前に退社してます」

私-「私がマークに用を頼んだのは15分前だったから、
    頼まれて探す振りして直ぐに帰ったって事?!」


ピ-「そうですねぇ...それはマークに聞いてみないと...」

私-「あなたのお店では、いや、イギリスでは、こういういい加減な事を
    しても良いっていう社員教育してるのかっ?!」


ピ-「いや、そういう事は無いんですが...(歯切れが悪い)」

私-「残って仕事しろとは言わないよ。でも、もう帰る時間だったんなら、
    そう言って断ればいいのに、放置して帰るなんて無責任だ。
    こんな無責任な事を、店長は許してるのか??」


グラグラと煮え立つ怒りのマグマが噴出しない様に、
冷静さを保ちつつピーター店長に聞いた。

ピ-「そんな事は無いです。」

私-「でも実際、無責任な事が今ココで起こってるじゃないか。」

ピ-「それは、彼が悪いだけです」

私-「ハァ??」

辛うじて7合目までに留めていた怒りのマグマに、
こやつは意図も簡単にスイッチを入れ、とうとう私は三原山と化した。

ピ-「私を問い詰められても、私が悪い訳じゃない。」

私-「......。(呆れ顔)」

ピーター店長の受答えが余りにもアホ過ぎて、
反論する事すら忘れてしまう調子だった。
これが、産業革命を起こした国の成れの果てなのだ。
『ご先祖様、アホ過ぎてゴメンなさい』と謝っとけ、ボケっ!

そこへ、生鮮を手にしたマロ母登場。
店長を捕まえたまま、マロ母に事情を説明した。
勿論、アホ店員の仕出かした事を正面切って非難する、
心成しか強い私の口調はマロ母への同意を求める様な物だった。
そしてマロ母は開口一番、こう言った。

母-「バカに何言っても時間の無駄よ。」

ピ-「バカって...(絶句)。」

私-「はっ??(絶句 too)」

母-「さ、もう帰ってご飯食べるよ」

私-「えっ!あっ...!(腕を曳かれて強制送還状態)」

ピ-「...。(放置)」

と、そのまま私は連行され、マロ母と列に並んだ。

マロ母は、順番待ちの間に私をこう諭した。
イギリス人の水準は日本人と比較不可能な位の差が有る。
なのでもっと目線を下げて、100万歩引いて見るのが丁度良い位。
だからイギリス人に何かを求める時は、レベルを低く設定する事。
そして、ムカついても人前では大人の振舞を為さい。
でないと、自分の品位を落としますよ。
ムカつかない為には、イギリスに来たらバカになれってな事だった。


納得。


流石、マロ母。
「品位を落とす」と口にする辺り、古典的なイギリス女性だ。
子供の頃躾けられた際に、毎日の様に言われた言葉と同じ。
この辺の感覚が似てるので、私の中にギャップを埋める作業が、
マロとの生活でそんなに大きな比重で圧し掛かる事は無い。
こんな時はただ只管、マロ父・マロ母に感謝有るのみだ。

でもね、マロ母。
それを聞きながらも、内心こう思ってました。

ヴォケーーーーーーーーーッ!!
そこに直れぇぇぇぇぇっ!!!
打ち首、獄門じゃぁぁぁぁぁーーーーーっ!!!!
この場で、死にやがれーーーーーーーーーッ!!
うりゃぁぁぁぁぁーーーーーーッ!! ヽ(`Д´)ノ(暴れる)


マロ母の様に、マリア様のような広い心を持ちたいのです。


だけど...


まだまだ私には、修行が必要なようです。


最後に...


イギリス人よ、己を知れ。

それも、一刻も早く!!