読書の仕方
有能な人でも優れた歴史家でも、大抵はこのような物語や主張に足を踏み滑らし、そうした考えにはまり込んでしまう。考え方が薄弱で無批判な人の多くは、このような話を彼らから学ぶわけであるが、有能な歴史家さえ批判的調査もせずに承認してしまい、彼らの資料にその話を付け加える。その結果、歴史学は無意味でこんがらがったものになり、その学徒は混乱する。挙句に歴史学は、凡人の領域と考えられるようになる。したがって、今日のこの学問の分野の学者には、政治の原則や存在物の性質に関する知識、民族、地域、時代の相違によって見られる生活様式や道徳、慣習や宗派や学派、その他あらゆる状態の相違に関する知識が必要とされる。その上歴史家には、これらの全ての状態について包括的な知識も要求される。
歴史家は現在の状態と過去の状態との類似点と相違点を比較しなければならないし、類似の原因と相違についても知らねばならない。また彼は、諸王朝とか宗団とかの起源や創始についても、またそれらを成立せしめた原因や動機、それらを支持した人々の状況や歴史についても知らねばならない。歴史家は最後に、あらゆる出来事の原因とあらゆる事件の起源について精通するまでにならねばいけない。
(P92. 「歴史序説」 イブン=ハルドゥーン著 森本公誠訳 岩波文庫 2001年)
非常に読みにくい本です。
この文にたどり着くまで、全く興味のないイドリース朝やらアッバース朝やらの細かい話とその話がいかに嘘っぱちかを、14世紀に生きた人が延々と語っていました。
世界の名著とされる本で、イスラム世界では大家の方らしいのですが、読んでいて半端ない知識人だったのだろうと容易に想像できます。
そもそも、今のように情報が溢れている世界ではない中で、上記のような思想を持って語れるだけでもすごいのに。
しかし、第一巻だけで後400ページもありす。こういう本は、頭から真面目に読んでいくと絶対に挫折します。
拾い読み、飛ばし読みで要点を掴み、ここは!という部分をじっくり読むことで制覇できる類の本だと思います。
読書の形も色々ありますね。
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