(第1回はこちら
http://ameblo.jp/blayn/entry-10211243090.html
お見舞いには、ちょくちょく顔を出した。
ただ、病気のことについては
彼から何も話してこなかったので、自分からも
何も聞かなかった。
お互い、暗黙の了解かのように。
その代わりとは言ってはなんだけど
いつも
仕事の話ばかりしてた。
あれはどうなったとか
こんなんどう思う?とか。
とても病院でするような会話じゃなかったけど
あいつ、仕事の話をしているときが
いちばん
嬉しそうな顔してた。
そして
手術から5ヶ月後の、とある日。
てんもうさん。退院日が決まりました!
って、彼から電話が掛かってきた。
嬉しそうな声で。
よしそれなら晩メシでも行こうぜ!ってことになり
退院後すぐに会うことになった。
約束当日。
あいつ、すこし不自由になった左足を引きずり
向こうからヨチヨチ歩いてきた。
嬉しかった。
最初にかけた言葉はこう。
お互い、よく生き延びたなぁ~
って。
と言うのも
実は、会社のほうも相当危険な状態だった。
だってそう。
開発のすべてを仕切っていた彼を、突然失った。
=あらゆる案件が止まる
=お金が入らない。
正直、彼の入院後の3ヶ月間。
今だから言えるけど
ほんと、いつ倒産してもおかしくない状況だった。
とりあえず、先のことはいい。
今日を生き延びよう。
そう思って、毎日過ごしてた。
いま思い返しても、ほんとよく生き延びれたなぁ
って思う。
それはさておき。
食事中は、お互い相変わらず病気のことついては
話さなかった。
で、食事も終わり、すこし落ち着いたころ。
彼から、突然こう切り出された。
てんもうさん。
すみません・・・・
悪性でした。
3年間生きれる可能性は、3%以下みたいです。
・・・
・・・
あいつ、ぜんぶ知ってた。
自分の病気がどういうものなのか。
そして、残された時間がどれだけかってことも。
これを聞いて、言葉を失っていると
続けてこう言ってきた。
この先、
どれだけ時間があるか分からないですけど
仕事がしたいです。
ブレインが好きなんです。
てんもうさんと、一緒に仕事がしたいです。
お願いします。
って。