時々ズキズキする傷を
何度も撫でながら、憎いような愛くるしいような。
私ね、普通の女の子だった。
恐らく私がおかしくなり始めたのは、君に抱かれたあの日から
いや、正確には私が君が気持ちよくなるように抱いたのだ。
君が強く抱きしめるから、純粋な私は心奪われ、
永遠に戻らないあの時の私。
梅雨の季節に出会った君は、足元がビシャビシャに濡れて
第一印象からヤバそうな奴だって本能は気づいてた。
だから、見向きもしなければ相手にもしなかったのに。
あんたの気持ち悪い元カレに捨てられるまで待ってた。
なんていうのだから、騙されてあげる。
大きなその身体で私を抱きしめて、私は君のしっとりとした長めの髪を撫でてあげる。
君の耳に優しく唇を当て、優しく茶番をささやくの。
性欲だけの紛い物の恋をしている君。
そんなことに心を奪われた、馬鹿な私。
美化された嘘に、誠しなやかに引きずられ、溺れていく。
君が揺れてはてるまで、私の船に乗せて青春の旅をしようか。
あれから何年の何十年とだろうか、
私の中の2%は盗まれたままで
その隙間にビッチ・ボーイが住み着いた。
私が負けたのだと認めたくなかったんだ。