愛は倫理を消さない。
でも、倫理より優先される「例外」を生む。
そしてその例外は、ときに
世界そのものを壊すくらい強い。
水月の意図を理解した上で、私が
加わることにより増える選択肢から
その結果を「最善」に上書きすること。
水月が計画した通りに、事が運んだ場合において
結果的に楽になるのは、私ひとりだけ。
端的に、水月は、私に嫌われることで
私を「救う」つもりなのだろうと思う。
御言は口が裂けても、姉からのお願い——
依頼内容は漏らさない。
だから、私は勝手に予想する。
・先ず、巫女舞に、私からのアメンバー申請が来ても
3,4日は放置して、その後
承認し、1時間以内に承認を解除すること。
・「不帰の客」の記事を一般公開し
私に、何を言われようと消去しないこと。
・仮に、私が怒り、収拾が付かないと判断したら
「手紙」のことに、触れること。
(そしてこれは、水月からと言わないこと。)
——水月はどれも、私が酷く傷付くことを知っている。
そして、巫女舞から、私とのやり取りを消去した。
どうしても、消せなかった言葉だけを残して。
私は、香の死因を知らない。
それでも、その別れを
水月と抱え、ふたり生きることで耐えて来た。
そして私は、水月の死因も知らない——立て続けに起こった悲劇を
直視することが、どうしても出来ない。
自分が愛する人は、みんな死んでしまうなんて
そんな現実を、誰が受け入れられると言うのか。
愛があれば、病気は乗り越えられると
ふたりに、何度も言った。
愛しているから、私は死なないとも書いた。
違う。
愛せないなら、私は生きていけないってだけ。
弱い、脆い、私も人間だ。
周りの善意や優しさですら、痛い。
御言まで、病気だなんて——今の私には、受け止められない。
それでも、愛し続けることに意味はあるか。
多分、無い。救いにもならないかも知れない。
それでも、思い出してしまうことがもう、答え。
水月、冗談だよって、言ってよ。
私の愛を試しただけって、笑ってよ。
私、めっちゃ怒るけど、許してあげるからさ。