今日は、昼過ぎに本屋さんに行って、ネットで見かけて(ヨビノリさんの書評:https://youtu.be/1Qxj6l0zqRA)一目惚れした本を買ってきた。そのあとすぐ、カフェで一気読みした。

 

「眼球堂の殺人」周木律

 

 

数学者が出てくる話は読まずにはいられない。憧れが強いからだろう。表紙にも、球と数式と黄金比がモチーフになったデザインが施されていて、これは手に取って読みたい!と思わされた。おかげで、いつもは電子書籍でさっさと購入してしまうのに、この本は本屋まで出向いて購入した。僕にとってこの本の表紙には、効率や利便性を凌駕させてしまう程の魅力があった。

 

ミステリーは、森博嗣をきっかけにして読むようになった。中学生の頃に、海堂尊の「バチスタ・シリーズ」のひとつである「ジェネラル・ルージュの凱旋」や「アリアドネの弾丸」を読んだことはあったが、その当時は「ミステリー」というジャンルがあるという事を理解していなかった。明示的に「ミステリー」を意識して読んだのは森博嗣が初めであり、原点だと言える。

 

本作には、森博嗣リスペクトな描写が多発する。

 

建築学を軸とした物語。

登場人物に勢揃いする天才たち。

探偵役の学者とアシスタントの女性。

壮大なトリック。

理系的要素。

 

本作は特に、S&Mシリーズの「あの作品」を思い出さずにはいられないような雰囲気が、全体に纏われていた。


また、本作には作者さんの圧倒的語彙力が遺憾なく発揮されており、しばしば読めない単語に遭遇した。「そびえる」ってこう書くのかぁとか、「あらためる」ってこういう書き方もあるのね、とか、作者さんの語彙力スゴいなぁと語彙力の無い感想を抱いたりもした。


トリックは比較的わかりやすいと思う…なんて偉そうに書いてみたが、気づいたのは一部であって、「材料・方法」には気づけなかった。もっと言えば、気づいていたトリックでさえ、それを確実にする手段を構想しながら、面倒で試さなかったために、それが明かされる最後まで「不定」だった。その「手段」を試していれば、かなり早い段階で犯人が判ったのに…。いつも詰めが甘い僕の性格がここにも出てしまい、非常に悔しい思いをした。

 

今後もこのシリーズを追いかけることになると思う。既刊の全7巻を本屋さんで買うつもりだったが、残念ながら本作と「教会堂」と「大聖堂」しか在庫していなかった。あらすじを眺める。「大聖堂」のあらすじ…北海道の孤島って、まさか…。読むのがますます楽しみになった。今回買えなかった残りの4巻も、近いうちに、どこかで手に入れたい。