著:萩尾望都 FC(少女コミ)
著名な作品に、海外(宇宙も含むw)が舞台や
SF、ファンタジーが多いので、そういうイメージで
すが、この作品は、純和風です。
16Pと短いながらも、昭和の情緒溢れる、良い
部分が全編に描かれています。
劇的なドラマはありません。兄やその友人の乱
入もありますが、(その兄の友人に淡い恋心があ
るのかな?。かな?というやけで、今の恋愛漫画
のようにはなっていないで、さらーと流しています)
少女の日常とその想いを繊細に表現しています。
しかも舞台は、14歳になった女のこの部屋のみ
(と言うても、この頃の子供部屋は、ふすま一枚が
しきりで、しかも、開けっ放しなので、現代のような
”個室”ではありません^^)で、後は、回想シーンに
なっており、現実から回想へ、また、回想から現実
への場面転換が、絶妙です。
小夜(主人公)は、14歳。夏休みの宿題である
ゆかたをこれから縫うところ。
ゆかた地は、少し子供っぽいかなあ・・・と思う柄
なものの、これは、2年前に母が見立ててくれたも
のなので、ぜひ、これでゆかたを完成させたい。
ゆかたを縫っていると、盆踊りに間に合うように母
が作ってくれた、ゆかたを着て、お祭りに行った時
のことが、色々思い出される。
突然の嵐で、転んで、ゆかたを汚してしまったこ
と。
ゆかたを貸したら、忽然と消えてしまった少女の
こと。あれは、盆に帰ってきた仏さまやったのやろ
うか?
そして・・・・・2年前、交通事故で突然、他界して
しまった母のこと。
あれから背も伸びたけど、おととしの母の見立て
たゆかた地・・・完成したら、きっと、私に似合うと
思う。
「週間少女コミック」夏の増刊に掲載。
「トーマの心臓」第3巻
1975年6月1日初版発行に収録
「大和和紀DERAM」VOL1
漫画家招待席 第一回ゲスト作品に収録