またしても、”箱物”に手を出してしまいました。
リリース当時には食指が動かず、最近リマスター盤を買いなおしている際に、結局買う羽目になりました。(何のこっちゃ!?)
まあ、結果的には自分へのクリスマス・プレゼントと言うことになりました(家人からは何も貰えなかったので!?)。
『Give Me Strength The ’74/’75 Recordings』SUPER DELUXE EDITION です。 CD6枚組(内、6枚目は”Blu-ray Disc Audio ”)です。 また、装幀は豪華ですが、内容的には貴重とは言い難いブックレット(33ページ分が写真と記事になり、残り半分近くはレコーディングデータです。)に、日本盤はそのライナーノートの和訳と歌詞が掲載されています。
2013年12月の発売当時は16,200円でしたが、今は多少値下がりして12,400円弱という価格なので食指が動いたわけです。
結局は、エリック御大のボックス・セットものは全て購入すると云う、お馬鹿なファンの一人なんでしょうね。(苦笑い) それにしても、エリック御大の周囲には彼の音源を体系だってきちんと管理するパッションを持ったスタッフがいないんでしょうかね(トホホ)。
ニール・ヤング(Neil Young)や極め付けのボブ・ディラン(Bob Dylan)のように、年代別にツアー音源やセッション音源を整理して”ブートレッグ”シリーズ化してリリースして欲しいものです。音源の内容の素晴らしさと言ったら、もう凄まじいものですよね、比べてはいけないんでしょうが?!
巷で話題のボブ・ディランの今回のブツ、何と"Like a rolling stone"1曲だけでCD1枚分、計20トラックと云う凄まじさですよ!(6枚組は買いませんが、このCDだけは欲しいと思います、ホントに!!)
さて、このブツの内容ですが、『461 Ocean Boulevard』、『There's One In Every Crowd』(安息の地を求めて)、『E.C. Was Here』(エリック・クラプトン・ライヴ)に、ボーナス・トラックや未発表曲を加えた、CD5枚組にBru-rayオーディオの計6枚組のセットです。
この時期のクラプトンといえば、世捨人のように引き籠り、ドラッグ中毒に陥っていた3年間余りの空白の時から、ようやく復帰を遂げた時期になります。音楽活動に復帰するために、マネージャーであったロバート・スティグウッド(Robert Stigwood)のお膳立てで、レコーディングの為にフロリダに渡ったのです。
その後発表された、ボブ・マーリー(Bob MaIrley)作のルーツ・レゲエをカヴァーしたシングル"I Shot The Sheriff"の予想外のヒット、それを収録したアルバム『461 Ocean Boulevard』が共に全米1位と、新生クラプトンの誕生となり、復活を遂げた時期になります。
本作の内容ですが、Disc1は『461 Ocean Boulevard』に、ボートラ8曲が追加されたものになります。
その8曲の内、3曲4トラックだけが初出になります。まあ、メジャーなアーティストになったエリック御大ゆえに、所属レーベルであったRSOからは、
- 初のボックスセットである、88年リリースの『Crossroads』
- 違うセレクションのベスト盤である、99年の『Blues』
-『461 Ocean Boulevard』のデラックス・エディション
と、出されるたびに未発表音源が付け加えられて来ました。
ちなみに、その4曲とは、"Getting Acquainted"、"Getting Acquainted 2 "(Too Late)、"Please Be With Me "(Acoustic)、"Give Me Strength" (Dobro 1)」の4トラックになります。"知り合いになる"と云う意味の"Getting Acquainted"は殆どスタジオジャムと言う内容で、進化を予兆させる様な感じはしません。唯一興味を持って聴けるのが、ドブロによる演奏が愉しめる、ハコのタイトルにもなっている"Give Me Strength"でしょうか。この曲、私のフェイヴァリットな曲であり、想い入れの強いセンティメンタリズムを刺激するものです。
Disc2は、あまり評価の高くない『There's One In Every Crowd』(安息の地を求めて)に、ボーナス・トラック5曲と、シングル「Knockin’ on Heaven’s Door」(天国への扉)の両面を収録しています。 どうでもいいんですが、何故にこのような邦題を付けたのでしょうか?
こちらの中では、お初となるのが「Burial」(埋葬)と「Fools Like Me」の2曲です。前者はピーター・トッシュ作のレゲエですが、かなりユルい演奏で未収録となったのが頷けます。
もう一つは、ジェリー・リー・ルイス?の曲をブルーズ風にアレンジしたものですが、特にこれと言った展開はありません。この頃多用していた、フェイズシフターとスライドの組み合わせのギターソロが含まれますが、特にどうこう言える出来ではありません。
このレコーディング・セッションの緩さ、大量のアルコールとタバコのせいで?焼けたのか、かなりヴォーカルが荒れていて、決して良い出来とは言い難い出来だと思います。ただ、後半のオリジナル曲から漂う"明るさ"、"解放感"は特筆すべき点でしょうね。やはり、パティ・ヴォイド(Pattie Boid)と云う伴侶を得たハッピーな気分が支配しています。
オリジナルとカヴァー曲との間にかなりの違和感があり、これがチャート・アクションの鈍さに繋がったんだと思います。
そして、このタイトル、意訳すれば『十人十色』(何処にでもいる平凡な人間なんだ!)とでも言えばいいでしょうか? もともとのタイトルでは、『Eric is God…There's one in every crowd』となっていました。エリック御大なりの意思表示(反論)だったのでしょうね。
このギター、74年の初来日時には話題となりましたね、プロトタイプであった”Explorer Elbow Cut” ですね。 このギターは、その後ボブ・マーリー&ザ・ウェイラーズ(Bob Marley & The Wailers)のギタリストであったジュニア・マーヴィン(Junior Murvin)に譲られたそうです。すでに本人は亡くなってしまいましたが。
Disc3とDisc4が、もともとオリジナル・リリース時には僅か6曲しか収録されていなかった『EC was here』(エリック・クラプトン・ライヴ)を大幅に拡張して、2枚組16曲にしたものです。
やはり、前作のセールスの結果を受けて、従来のファン向けにギターを前面に押し出したブルーズ中心のメジャーな選曲となっていました。
ただ追加された大半の曲は、
- 83年の『Time Pieces Vol.II ;Live In The Seventies』
- 96年の『Crossroads 2(Live In The Seventies)』
の中で既発となったトラックになります。完全なる未発表曲は、
Disc3の"Crossroads"、"I Shot The Sheriff"、"Layla"、"Little Wing"
の4曲のみとなっています。全て、ロングビーチ・アリーナ(Long Beach Arena)での収録曲であり、ブートレッグで出まわっていた曲なので、目新しさはありません。
ファン待望の"愛しのレイラ"はあっさりしたヴァージョンで、後半のピアノのコーダはありません。原曲に近い完全なヴァージョンは、2005年のトリプルギターのニュー・デレク&ドミノスの時に聴けます!(但し、ブートレッグ)。
この中では、イヴォンヌ・エリマン(Yvonne Marianne Elliman)の熱唱が聴ける、テンポをグッと落とした"Little Wing"がオススメです。柔らかくて、ゴスペルの香りがする声が好きですね。
Disc5が、エリック御大が敬愛するフレディ・キング(Freddie King)のRSOレーベルでの第1作目の『Burglar』レコーディング時の未発表音源です。エリック御大肝入りで、自身と同じレーベル、RSOに移籍したフレディ・キングをお膝元のクライテリア・スタジオに招き、行われたセッションを収録したものです。4曲中、下記にあるジャム・セッションの2曲が初おみ見えとなります。
"Boogie Funk"と"Gambling Woman Blues"(編集された短縮ヴァージョンはベスト盤『Freddie King (1934-1976)』 に収録済み、こちらは20分の長尺版)になります。
完全なる未発表は、"Boogie Funk"になります。ギターの振分けは、センターがフレディ、右がエリック、左がジョージ・テリーです。エリック御大はリズムに徹しており、ジョージのソロがあるだけでした。次の完全版のブルーズでは、三者三様のソロが聴けますから、こちらの方がまだ価値はあるかな~と言ったところです。
エリック・クラプトンが最も影響を受け、そしてリスペクトしていたフレディ・キングとのセッションは本当に楽しかった筈です。しかしながら、フレディー・キング自身はその2年後に心不全のために42歳で急逝してしまいました。
そしてブルーレイには、『461 Ocean Boulevard』と『安息の地を求めて』のサラウンド・ミックスが収録、ただ私のAV環境では内容を確認することはできません(無念!?)。
ということで、5枚組のオーディオCDに含まれる55曲中、12トラックが初登場ということになります。 私はマニアックな収集家ではないので、希少性があるかどうかよりも、70年代以降の音源が少しでも丁寧に整理(リマスター&リミックス)されることに意味があります。
評価は他の方々にお任せします(笑い)。
ブックレットに収められた写真の中で、最も好きなショットです。 クライテリア・スタジオの庭でアコギを抱えているエリック、絵になりますね。
いつになるかは分りませんが、次回は大嫌いな『Slowhand』の35周年アニヴァーサリー・エディションについて一言書きたいと思います。
□ ハコの内容;
Disc 1 - 461 OCEAN BOULEVARD expanded version
Disc 2 - THERE’S ONE IN EVERY CROWD expanded version
Disc 3 - E.C. WAS HERE remixed and expanded version
Disc 4 - E.C. WAS HERE remixed and expanded version
Disc 5 - THE FREDDIE KING CRITERIA STUDIOS SESSIONS
Disc 6 (BLU-RAY)
- 461 OCEAN BOULEVARD 5.1 Surround Sound mix (previously unreleased Elliot Scheiner mix)
- 461 OCEAN BOULEVARD original 4.0 quadraphonic mix
- THERE'S ONE IN EVERY CROWD original 4.0 quadraphonic mix
今聴いてもイイですね、シンプルなアル・ジャクスン(Al Jackson)のリム打ちのタイコに、エリックのドブロが映えますね。一度でいいから、ライヴで聴きたい曲なんですけど、もう演るようなことはないでしょうね・・・・。
◇ ”Give Me Strength” Live at in '75;