え?うそ臭い!?
本当なんです!
だってぇ、宇宙飛行士さんてチョーカッコいいじゃないですか!?
それにぃ、私の茨城の実家の近くに、よく隕石が落ちてたんでコレクションしてたんですよ!
今はもう捨てちゃったから持ってないんですけどね!
え?うそ臭い!?
本当なんです!信じてください!」
なぜそうなってしまったのか、日本のバラエティタレント鈴木奈々がスペースシャトルの発射ボタンを押すという大役を任されることとなり、NASAで記者会見が開かれていた。
「最近、ウチの旦那さんが全然発射してくれないんですよ!
私はチョー頑張ってるんですけど、旦那さんのロケットが元気ないんですよぉ!
本当にNASAけないですよ!
NASAけない!
わかります?NASAと情けないをかけたんです!
もっと笑ってくださいよぉ!」
リップサービスのつもりだった鉄板の「夜の営みネタ」も世界各国から集まった報道関係者にはイマイチ響かず、会見場には微妙な空気が流れるが、初のアメリカ上陸でテンションの上がりきった鈴木奈々にとって、それは大した問題ではなかった。
「赤いのが発射ボタンで、青いのが自爆ボタンですね!?
わかりました!
ぜっっったいに間違いません!
両方一緒に押すとどうなるんですか?
自爆しちゃうんですか!?
チョー怖いですね!
了解です!
青が発射で赤が自爆!
インプットしました!
え?逆ですか!?
ホントごめんなさい!
チョーソーリー!
大丈夫です!
私こう見えて本番に強いタイプなんです!」
NASA職員の悪ふざけで、スペースシャトル乗組員の命を鈴木奈々が握ることとなった。
そして世界中が注目する発射1分前。
カウントダウンが読み上げられる中、時差ボケの鈴木奈々は目を開けたまま寝ていた。
夢の中の鈴木奈々は宇宙海賊の妻として銀河系を舞台に大立ち回りを演じていた。
「5…4…3…2…1…」
宿敵の宇宙盗賊に心臓を撃ち抜かれた鈴木奈々は、ガクッと倒れこみ、その拍子に額でボタンを押し込んだ…