海外ドラマFRINGEセカンドシーズンの第9巻の1話目がめちゃくちゃ感動です。

前置き

ネタバレありです


フリンジサイエンスをぐぐると、「疑似科学」と出てきます。
詳細な定義は置いておくとして、
要するに、空想科学のような類のものです。

ただ、空想とは違う点として、実際に現存する科学手法またはその応用、
または計算上、実現が可能であるとされているのが擬似科学のようです。

予算や時間、マテリアルを含め、
その実現に膨大すぎるエネルギーが必要で現実的でなかったり、
偶発的に確認されているが、再現性を確認出来ていないなどの理由で非現実的な扱いをされていたりするようです。

本題に入りまして、
ある男が自分の犯した罪を告白し、償おうと決心し、
その罪を告白するのに手紙にしたためることにしました。
その男の名前はウォルター、ウォルタービショップ博士。
罪とは、病気で亡くなったはずの最愛の息子、
ピーターをパラレルワールドから連れてきてしまったという罪です・・

この時点で猛烈にぶっとんだ話ですが、
当初ウォルターはピーターの病気を治そうと必死に治療薬の開発を試みました。
しかしどうしても合成が上手くいかない。

そこで彼は以前より独自にその発見と存在の研究を重ねてきた幾つもの平行する世界。
パラレルワールドの存在に目を向けます。
(この宇宙は多元宇宙であるという説がダークマターの発見と役割の解明により、近年現実味を増してきておるようです 直接関係無いですが)

そこはこちらと鏡写しの世界であり、様々な異なる選択の積み重ねによって異なる世界になっているという不思議な世界。
こちらの世界にはないものがあり、あるものが無い。
そしてウォルターはそちらの世界を覗けるモニターの開発に成功。
それは空間にある量子にエネルギーをかけて歪ませて小窓を空けるというものw

そこで彼はこちらのピーターと同じように「あちら」で病気に苦しむ「あちら」のピーターを見ます。
さらに「あちら」にいる自分はピーターを助ける薬の調合に成功しているにも関わらず、
その完成を見逃し、薬品の安定を逃してしまうのを見るのです。

ピーターの死をどうしても諦めきれないウォルターは、
あちらの世界にいる自分が開発に成功した薬を同じ手順でこちらで精製し、
あちらの世界に持ち込んであちらのピーターを治そうと考えたのです。

違う世界、違う宇宙を行き来するにはワームホールというものが必要です。
しかし、理論上ワームホールというのは入った時間が出た時間であり、
そこを通るにはとてつもない10の64乗という重力を乗り越えなければならないとされており、
それを人口的に作ることは現段階ではエネルギー量的に限りなく不可能に近いとされているとのことです。
更に出来たとしてもそこを原型を留めたままヒトが通ることはこれまた限りなく厳しい・・

しかしまあそれをウォルターは疑似科学の応酬でクリアw
なんと、人工的に虫食い穴(ワームホール)を完成させ、生身のまま通り抜けてしまいます。

問題は思いっきり山積みですが、全くの不可能なことではないので、
まあ、全くのSFでもないかなと思います。
その代わりファンタジー要素はありませんが・・・

そしてピーターの病気を治す薬を携え、いざパラレルワールドへ!


ピーターの病気を治す薬を持って、
パラレルワールドに来たウォルターでしたが、

ピーターの死期が迫っていることを知っているので、
採るものも採らずの大急ぎだったため、
薬をしっかりしたケースに入れている時間がなかったのです。

残念なことに、ワームホールを作り出すことのできる扉を通る際、
薬を入れて持ってきた瓶が割れてしまっていたのです。

もう一度、薬を取りに帰っている時間も機会も技術もエネルギーも、
その全てがすぐにはありません。

落胆したウォルターでしたが、
突発的にしてはいけない禁断の行動に出てしまったのです。

パラレルワールドの妻とピーターに嘘をつき、
ピーターをこちらの世界に連れてきてしまいました。

こちらの世界で再度薬を合成し、ピーターは一命を取りとめますが、
一度戻ってきた最愛の息子を再び手放すことなど、ウォルターには出来ませんでした。

その事実をピーターに伝えることなく、
30年余り過ごしてしまったのです。
しかし、罪の意識にさいなまれたウォルターは、
そのことをピーターに打ち明けようと、手紙を書くのです。



FRINGEはこのパラレルワールドにまつわる本題を軸に、
一時間枠の中で終わる事件からなる伏線の2つの要素で構成されています。



手紙を書き終えたウォルターに事件の知らせが舞い込みます。
ピーターやオリビア(画像の女性)と共にFBIのFRINGEチームに捜査協力しているウォルターは、
その手の事件が起こると、2人と共に借り出されるのです。
ウォルターは手紙をポケットに入れ、車に乗り込み現場に・・・

事件とは、謎の男が突然現れ、
その男が現れたとき、周りにいる人全員が、
原因不明のまま、まるで一時停止してしまったかのように、
亡くなる直前の姿のまま絶命しているという、奇怪極まりない事件です。

そこに科学の見地からメスを入れるのがウォルターの役目ですが、
今回のこの奇奇怪怪な事件、意外な展開を見せるのです。

この事件を引き起こした男、当初はとてつもない悪意に満ち満ちた、
政府や闇組織、または軍関係による人体実験ではなど、
想像を掻き立てるのですが、実はそうでもないのです。

男はマサチューセッツ工科大学の教授でNASAの職員もしていた学者で、
その他の組織には属しておらず、犯罪歴もない善良な市民でした。

しかし、特殊相対性理論を軸にした自らの理論を元に、
タイムとラベルを可能にし、その実験をこれまた自ら行っていたのです。

その時間移動の際に必要な膨大なエネルギーの為に、
男がタイムトラベルした際、そばにいた人間はエネルギーを瞬時に奪われてしまい、
即死に至っていたのです。

そのことを突き止めたウォルターとFBIのFRINGEチームは、
その男の自宅に乗り込み、これ以上犠牲者が出るのを食い止めるため、
彼を狙撃し、殺すことで、時間移動をやめさそうとします。

しかし、彼は、自分の時間移動によって死んだ人は一時的に今死んでいるだけで、
また元に戻る、正確には死んだ事実が起こらないと主張します。

誰もそれがどういうことなのか、分からない中、
ウォルターだけが即座にピンときていました。

彼はより安全な場所を選んで過去に移動し、何かをして、
※因果律への影響のないまま、そのまま時間の経過を過ごせば、
今起こっている事件は事実から消える。
だから今回の実験で死んだ人達も何も起こらない時間を過ごしていると言う理屈です。




彼は過去に戻って何をしたいのか・・・



実は彼には結婚を約束した恋人がいました。

しかし、その彼女は今年5月16日に、事故で亡くなってしまったのです。

彼は彼女の無くなった日の朝、彼女とケンカをしたそうです。

原因は些細なことです。

彼女は結婚式に着るウエディングドレスの試着をしに行きたいと彼に言ったところ、

彼はその日は忙しいから行けない、別の日にしてくれと・・・

そんな些細なことからケンカになり、

結局彼女は一人でその日ウエディングドレスの試着に行くことに・・・

二人で行くときと一人で行くときとでは走る道、走る時間帯ももちろん異なります。

結局彼女は一人で行ったために、事故に合う時間に事故に合う場所にいることになってしまい、

その通り事故に合い亡くなってしまうのです。

彼はどうしてもそれを止めたかったのです。

そこで研究に研究を重ね、自分の命を削り、何とか過去に行くことに成功したのでした。

しかし、どうしても特定の日の特定の場所に行けず、

実験の度に犠牲者を作ってしまっていたのです。

その間違いににウォルターが気づき、彼に助言します。

時間の曲率の計算は彼のもちいている7次多項式ではなく、

9次以上でないと5月までは行けないと・・・

しかしウォルターは続けます。。。

やめろと。。

自分も過去にパラレルワールドに行き、

死んだはずの息子をこちらに連れてきてしまった・・・

それ以来罪の意識にさいなまれ、妻はそれが原因で耐え切れなくなり自殺し、

自らも廃人同様になり、何年も入院していた時期があった。

そして、その罪は今も消えないばかりかもう取り返しもつかなくなってしまった・・と。

もし、冬の時期にどこからか白いチューリップが送られたなら、

それが許された印だと思って生きていると・・・

男はウォルターに言います。

冬の時期に白でも何でもチューリップは咲かない。と・・・

男はウォルターの制止を振り切って、5月16日に行ってしまいました。

そして、彼女が事故に合う直前に来ました。

誰も犠牲にならない誰もいない大きな広場を選んで。

そこから彼女の乗り込む車まで、必死に走って走って走りまくります。

汗を流して、疲れきったとき、何とかギリギリで彼女の車に追いつき、

助手席に乗り込み、手を握ります。

朝ケンカしたばっかりの彼が急に汗だくで顔面蒼白で乗り込んできて手を握っていることに、

彼女は不思議顔です・・・

そして、彼の口が動きました・・・I LOVE YOU・・・

彼女は意味が分からないまま、I LOVE YOUと返事したそのとき、

二人の乗った車にトラックが突っ込み・・・

その後シーンは現代に戻り、彼女の元気な姿が・・

しかし代わりに彼はいません。

あの時、彼女に覆いかぶさったのでしょうか、彼が死に彼女が生き残ったのです。

そして、彼のデスクには一通の手紙が・・・

宛名はウォルタービショップ・・・・

手紙は投函され、ウォルターの元へ、

そのときウォルターは例の手紙をちょうど書き終わったときでした。

封を開け、中身を見ると、白いチューリップの絵が書かれていました。

ウォルターは罪を告白し、ピーターに手紙を渡すのをやめ、

手紙をポケットに入れずに暖炉にそっと燃やしたのでした・・・


もちろん一連の事件は起こりません、

男の言うとおり、事件の事実はなくなり、歴史が変わった瞬間でした。

あの男が変えたのです。



婚約者にI LOVE YOUを言い、事故から救うためだけに、

全てをかけて時間を超えた男の話・・・




※因果律:
過去へ戻って過去の自分と対面し、その自分をその場で殺したら、
自分や自分の子は、その瞬間消えるのか? 
それなら未来の自分は元々存在してないということになるから、
やはりそもそも時間移動は不可能ではないのか という論理?でしたっけw)