目を覚ますと、フラフラして仕方なかった。
「ん・・・ここ・・・は、ドコ・・・・・・?」
琴音は、江戸城とは似ても似つかない、質素な空間にいる。
薄い布団から出ると、よろけて無様に転んでしまった。
「いったぁ・・・もぉ~、何なの??」
「起きたのか、琴」
襖の開く音と一緒に入ってきたのは。
「えっと・・・楓、でしたか・・・?」
「そ。 当たりだ」
そう言って優しく微笑んだ青年は、琴音の胸を高鳴らせる。
長い黒い前髪に半ば隠された瞳は、秋の紅葉の様な朱色。
自分と同じ髪の色なのに、自分と違う瞳の色。
漆黒の瞳で朱色の瞳を見ていると、今までに感じたことのない満足と高揚と焦燥で胸が張り裂けそうだ。
「・・・琴?・・・顔赤いぞ 熱でもあるのか?」
そう言って無防備に近づいてくる楓に、琴音は慌てふためいた。
「こっ・・・ここ来ないでくださいぃぃぃっ!!! しっ・・・ししかもっわわわ私は『琴』ではなくって!!!!ききき『琴音』と申しますっっ」
口走って我に返った。名乗ってどーすんだ。
けれど楓は笑ったりしないで、穏やかに受け止めてくれる。
「そっか・・・琴音、か。知らなかった・・・これからそう呼んでいい?」
そう言って、また微笑んだ楓に、琴音は既に愛しさを抱いていた。
「―――――っはい!!!・・・よろしくね、楓」
