佐田三季さんのデビュー3作目です。
今回のお話は書き下ろし。
これもまた痛さのある重いお話でした。

クライ、くらい夜の終わりに 著者:佐田三季 イラスト:麻生海
ショコラ文庫 BL小説 2011年5月
★★★
クライ、くらい夜の終りに (ショコラ文庫)/佐田 三季
¥670
Amazon.co.jp


◆あらすじ(裏表紙)
「俺のこと、覚えてない?」――大学の教室で須田にそう聞いてきたのは、見たこともない男だった。幼なじみだと言いはるその男・寺岡を人違いだと突っぱねたものの、実は須谷は子供の頃の記憶がなく、その後遺症のように悪夢を見続けている。 その後も人懐こい笑顔でやたらとかまってくる寺岡に押し切られるように親しくなるが、寺岡の好意がただの友情ではなかったこと、そして須田の「過去」が二人の関係を歪ませていく――。 ◆

なんと言いますか、読んでると
どんよりとした鈍色の塊が胸に沈殿していくような感じなんですよ。

寺岡が須田の過去に
大きく関わっていたのだろうと想像はつくのですが、
それがいったいどういったものなのかが知りたくて、
重苦しい気持ちになりながらも読むのを止められませんでした。

実際に明らかになった過去もとても痛くて辛いものでしたしね。

佐田作品は3作目ですが、
どれも受けがなかなか攻めを好きにならないパターンですねw
この作品もそう。須田はずっと寺岡に心を許しません。

そして須田の辛い過去に寺岡が深く関わっていて、

寺岡はそれについて呵責の念を抱えて生きてきたようなのです。

ただ、寺岡が罪の意識を持ちながらも
須田を求めてしまうという
彼の強い想いの裏づけになるような魅力が
今の須田からあまり感じられなかったのが少し残念でした。

終盤の展開では寺岡がとても可哀相な事に…。

ダークさを追い過ぎてエンドへの回収が覚束なくなってる印象もありました。
そして甘さはほとんどありません。
もう少し、痛さと甘さの配分を変えて欲しかった感もあり(笑)

この本には番外編ペーパーが付いてました。
那義はアニメイトで買ったので、
ショコラ文庫のものと、さらにアニメイト限定のペーパーも。
ペーパーはどちらもその後の二人で甘さもあります♪

カプとしてはまだこれからといった結末なので
ペーパーで救われました(笑)

他にもツッコミどころはありますが
佐田さんの世界観は好きなので今後に期待です。

最後に、大きなミスを発見。
キャラの名前が間違ってた箇所もありますが、
それは初版ではたま~にあることなので置いておくとして。
それよりももっと大きいもの。

191ページで、「寺岡はまだ一度も須田の部屋に来たことがなかった」
とありますが、実は前にも一度来てるんですよ。

那義、読んでて「あれ?」と思って、前の方を探したら、
やっぱり来てるんです。部屋の中にも入ってます。
それが書いてあるのが92ページ。
体調の悪い須田を寺岡が須田の部屋に送ってきてます。

それなのに、来たことがないということになっていて、
寺岡が何故、須田の部屋を知ってたか
という理由を説明する文章もあるんです…なんで?(゚д゚)

うーん。なんで作者も編集も気づかないの?
書いた後は、読み返したりしないってこと?
編集さんも通してチェックしないってこと?
「(´へ`;ウーム これはちょっと…。

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