久しぶりに水原さんの作品を読んだような気がします。

痛さはまったくありません。
それはいいのですよ。
作品によっては、そゆ展開もありますから。

ただ、恋愛としての盛り上がりもなく、物足りなさを感じました。


夜へと急ぐ二人 水原とほる イラスト:葛西リカコ
ガッシュ文庫 BL小説 2011年1月
★★★

夜へと急ぐ二人 (ガッシュ文庫)/水原 とほる
¥650
Amazon.co.jp

◆あらすじ(文庫裏表)
病気の母のために暴走族を抜け、整備工場で勤務する翠。彼は暴走族の時代の後輩が犯した過失を庇い、弁護士の北原に謝ることに。北原は一見すると知性的で温和な男だったが、何でも言うことを聞くから許してくれないかと頼み込む翠に突然キスをしてきた。「その程度で我慢しているんだ。十分紳士だろう?」紳士然とした北原が一変して、したたかで不遜な笑みを浮かべた。真夜中を駆け抜ける男たちのデッドヒートラブ。 ◆



水原さんのあとがきに
「都会に生きるまったく毛色の違う二人が出会い、恋に落ちるプロセス」
とあるのです。

確かにお話はそれなのですよ。
受けの翠は母子家庭で育った20歳。
一方、攻めの北原は弁護士で
ポルシェを乗り回しているような裕福な男。

この二人が出会い、
翠のかつての仲間のしでかしたことがきっかけで、
二人の関係が進展していきますから。

ただ、「恋に落ちるプロセス」というよりも、
「20歳の翠が人生についていろいろ考える話」といった印象が強くて(笑)

翠が族時代の仲間に拉致られるという
事件っぽいものもありますが、それほど盛り上がらず、
恋愛の進展に関わってくる心情描写も
甘さやトキメキ、あるいは切なさといったものが足りなくて、
中盤は退屈だったりしました。


翠はツンデレなのかな?
気が強いので、北原に対しては
愛想がなかったり、強がったりしていますが、
内面は、迷いながらもきちんと考えて善悪を判断し、
責任感も強く、自分なりの筋を通そうと頑張ってます。

ただ、ひとまわり以上年上で、しかも弁護士という職業柄、

百戦錬磨な大人であってもいいはずの北原が
意外とこじんまりとまとまってしまってるのが残念。

序盤では、紳士然とした顔と、

ヤクザかと思うような凶暴さのギャップを見せてたんで、
那義的にはとても期待してたのですけどねー。

でも、ラストは優しくあたたかい感じでまとめられているので、

読後感は悪くはありませんでした。
ただ、印象が薄い話だというのは否めませんが。


バイクの描写もいっぱい出てきます。
翠が乗ってるのは、カワサキのZEPHTR χ(ゼファー カイ)
北原のはドゥカティのモンスター1100Sのブラック。
バイクに疎い那義はさっぱりポンとわかりませんが(笑)

この作品で知りましたが、
今の暴走族って、峠の走り屋さんみたいなんですねー。
バイクが好き、走るのが好きという集団なのかな?

那義の若かりし頃の族は、旗や鉄パイプ持って、
道交法違反の走りで一般車両の走行を妨害しながら、
自分たちの凶暴さをアピールするのがデフォでした。
バイクだけでなく4輪もいましたしね。
どんだけ大昔なんだー!!って突っ込まれそうですな(笑)


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