「りーちゃんの優しさ」でもご紹介したが、親バカを承知で言わせていただくと、りーちゃんは優しい。ダディは相変わらず、りーちゃんの優しさにつけ込んで、「腰が痛ーい、助けてくれる?」などと言ってはりーちゃんに協力させている。今のところまだまだこのやり口は有効である。

先日、少し遠出をしたので、車で移動をしていた時のこと。後部座席でりーちゃんとマミがお菓子を食べていて、グミを食べ始めた時に、運転中のダディも食べたくなった。りーちゃんに「ダディにも一つちょうだい」と言って手を出すと、りーちゃんはグミを二つ、ダディの手にそっと置いてくれた。

「二つもくれるの?ありがと~」と言うとマミも「そう言えばりーちゃん、いつも二つくれるよね」と言っていた。ダディはあまり意識していなかったが、言われてみればそんな気もする。優しいねぇ。

また別のある日、ダディがシャワーを浴びていると、外からマミの声が聞こえた。「りーちゃん、ここにいなくてもいいんじゃない?パパ~、りーちゃんがドアの外で待ってるよ~」何事かと思いドアを開けると、そこにはりーちゃんがミニトマトを持って待っていた。「ダディにくれるの?」と尋ねると「うん」と答えるりーちゃん。そのままダディの口にトマトを入れてくれた。「ありがと、りーちゃん。優しいね。」と言うと、ニコニコしながら居間の方へ去っていった。その表情がまた、なんとも言えないのである。もちろん、格別においしいトマトだった。

シャワーから出てマミに確認してみると、りーちゃんが朝ご飯の途中で突然立ち上がり、冷蔵庫を開けて、ミニトマトを二つ握りしめていたのだという。一つは途中でマミにあげて、もう一つを握りしめてダディが出てくるのを待っていたらしい。

ちなみにこのミニトマトは、りーちゃんが支援学校から収穫(?)してきてくれたトマトである。支援学校では小さな菜園があるようで、この時期は週に何回もミニトマトをもらってきてくれる。自分で収穫したミニトマトを、親たちに食べさせたい、と思ってくれていると思うと、なんだかとても愛おしい。

りーちゃんを見ていると、人としての優しさや強さとはなんだろうか、と考えさせられる。ある本に、「人にはそれぞれの役割はあっても、優劣はない」と書かれていたが、本当にその通りだと思う。