前回は、りーちゃんの絵が(特別枠ながら)学校の代表として展示された、というお話だったが、今度はなんと、学校で表彰されるという。全校の朝礼で賞状をいただくことになった。

その日は校内テレビ放送での朝礼があり、指定された時間までにりーちゃんを放送室へ連れてきてほしい、とのご指示が先生からあった。

放送室…。実は、朝、放送室にりーちゃんを連れていくことは、とてもハードルが高い。

放送室は学校の3階の端にある。りーちゃんは支援級と交流級(一般のクラス)に所属しているのだが、支援級は1階、交流級は2階である。6年生になって最初の頃は、朝は必ず交流級に行っていた。しかしだんだんと時間に遅れるようになると、支援級に直接行くことが増えた。

こうなるとりーちゃんは、朝、階段を登ることが億劫になったようで、早く学校に到着した日でも2階に上がることを拒むようになってしまった。今では2階に連れて行こうとすると全力で拒否するので、朝は必ず支援級に向かう。

交流級が嫌なのかというと決してそうではないらしく、先生のお話では授業の関係で交流級に行っても、お友達と楽しく過ごしているのだという。要するに、朝、階段を登ることが面倒になったのだろう。親の私たちが時間通りに学校に到着するようにコントロールできれば良かったのだが、朝食や身支度など、りーちゃんはなかなかこちらが思うようにはしてくれない。

そうした状態になっているりーちゃんを、交流級よりもさらに1階上の3階まで連れていくというのである。実は少し前にも、朝、放送室に連れて来て欲しいという要望があった。その時は同じく校内テレビでの朝礼で、りーちゃんが何かしゃべる役を仰せつかったのだ。

その時も案の定、階段を登ろうとしないりーちゃんだったが、ダディが力づくで抱きかかえて3階まで登り、廊下も抱きかかえたまま歩いて、ゼーゼー言いながらどうにか放送室まで連れて行った。だがこの時のりーちゃんは、放送でしゃべることも嫌がってしまい、お役目を果たせずに終わってしまった。

そんな経験があったので今回も苦戦は予想された。ただ、絵を褒められたり表彰されたりすること自体は、りーちゃんもなんとなく嬉しく思っているようだったので、今回はもしかしたらウキウキで階段を登ってくれるかも、という淡い期待もあった。

果たして当日…りーちゃんはまず支援級に行きたがり、支援級に荷物を下ろすとその後はしゃがみこんでしまって動かなかった。やっぱりねぇ…。仕方がないので今回もダディが抱きかかえて放送室に向かう。途中ですれ違うお友達には「お姫様ダッコしてる~」と驚かれる始末だった。

必死の思いで2階までたどりつき、さらに上の階は遠いなぁと思いながらふとりーちゃんの顔を見ると、なんとニコニコ笑っているではないか!お姫様ダッコをされて、周りにもそう言われて、嬉しかったらしい。その笑顔を見てダディも力が抜けてしまい、りーちゃんを下ろしたのだが、そこからのりーちゃんは上機嫌で、3階までの階段を進んで登り、廊下もスタスタと歩いて行った。

放送室に着くと今回は他のお友達と同じようにキチンと列に並び、先生から賞状を笑顔でいただくことができて、お役目をしっかり果たした。いや、もちろん並んでいる間はじっとしていられるわけではなく、独り言を言ったりピョンピョン跳ねたりしてはいたが、上出来だったとは思う。さらに、帰りは先生に連れられて2階にある交流級へ、やはり笑顔で入っていったのだった。

毎日接しているが、りーちゃんの気持ちを読むことはなかなか難しい。いろいろとご尽力してくださった先生方、放送の係のお友達、一緒に表彰されたお友達に、感謝、感謝です。そして「お姫様ダッコ~」と言ってりーちゃんの機嫌を爆上げしてくれたお友達に、一番の感謝ですね。