いつ黒(魏無羨)は、白(藍忘機)の自分への思いを、はっきりと理解したのか

 

先に『仲良くなりたい』と思ったのは、黒(魏無羨)のほうだ

白(藍忘機)と(お試しで)一戦を構え、剣も仙術もできる奴として認め、興味をもち始める

それで、注意をひこうとし、いろいろちょっかいを出し、白(藍忘機)にウザいと思われる

それでもあきらめずに、またちょっかいを出す

 

そのうち、彩雲鎮の湖に水の怪が出現したときや、雲深不知処の裏山の洞窟で

藍氏のご先祖(家主・藍翼)に出会ったときなど、少しずつ

ふたりが行動をともにする機会が増えていく

その積み重ねのなかで、ふたりの距離は確実に縮まっていく

 

でもやっぱり、黒(魏無羨)は《ノンケモード》で白(藍忘機)を見ていたのだと思う

 

普通ではあり得ないほど、互いに信頼しあい、仲が良かったとしても、

しかも、その間に白(藍忘機)は確実に黒(魏無羨)への思いを深めていたとしても、だ

前にも書いたが、自分の人生のなかでの相手の占める位置が明らかに違う

 

白(藍忘機)にとって、黒(魏無羨)は間違いなく、自分の人生の最優先事項になる

でも黒(魏無羨)は、世に正義を問うという大義が先に来る。

それを白(藍忘機)とともにできればと思っているが、できなくてもしょうがないと

割り切ってもいる

 

黒(魏無羨)は、白(藍忘機)の自分への強い思いを、ある程度はわかっていたはずだ

魔道(詭道術法)にのめり込み始めた黒(魏無羨)を心配する白(藍忘機)を、

ウザそうにないがしろにする黒(魏無羨)に向かって、

あの言葉少ない白(藍忘機)がはっきりと、『お前にとって、オレはなんなんだ!』と

ガチで啖呵を切ったこともあった。これって立派な愛の告白だろう

 

でも、そのときも結局、黒(魏無羨)はスルーしている

白(藍忘機)の思いがどれほど深いものかについて

黒(魏無羨)はきちんと考えてこなかったのではないか

 

あるいは少し考えたとしても、

これから魔道(詭道術法)を使ってしか正義を問う生き方のできない自分は、

剣と仙術のメインストリームで生きる白(藍忘機)とは一緒になれるはずがないと

簡単に諦めていたか

 

では、黒(魏無羨)は、いつはっきりと白(藍忘機)の自分への思いを受け止め

それにどう応えるべきかについて、考え始めたか

 

 

このことを考えていて、えええええええ

出会ってから16年以上もたってから!?

 

正確には、崖から落ちて白(藍忘機)の前から消え、白(藍忘機)を16年ものあいだ

絶望の淵にさまよわせ、奇跡の再会をしてしばらくたつ第43話のころ

 

金光瑶の隠された秘密を暴こうとして逆に追い詰められ、傷を負った黒(魏無羨)を

白(藍忘機)が自宅(姑蘇の雲深不知処)に連れ帰ってかくまったときのことだ

 

黒(魏無羨)は白(藍忘機)の背中に、たくさんのムチの痕を見つける

本人に聞いても、何も教えてくれない

 

そこで、あるとき白の兄(藍㬢臣)に尋ねると、16年前の《不夜天の戦い》のあとに

白(藍忘機)になにがおこったかを教えてくれる。

 

白(藍忘機)が土壇場で、世のなかを敵にまわす黒(魏無羨)の側について

戦ったため、むち打ちと3年間の幽閉の罰を受けていたのだ

 

 

白(藍忘機)が自分のために、そこまでの犠牲を払ってくれていたことを

改めて思い起こした瞬間だ。そのとき黒(魏無羨)は何を考えたか


白(藍忘機)の深い愛

友情のレベルではありえない思い

 

剣と仙術の世界で生きてきた白(藍忘機)が、

そのキャリアを棒に振ってでも黒(魏無羨)と行動をともにしようとしていたのだ

白(藍忘機)の自分への思いに、いまさらながら思いをはせ、

それをどう受け止めればよいか、どう応えるべきかについて、

それまでとは違う次元で、真剣に考え始めたのではないか

 

これまでの白(藍忘機)の行動の本当の意味がわかり始める

いろんなことが、つながり始める

 

たとえば少し前(第36話)に、民家の庭に飼われていたニワトリを、

酔っぱらった白(藍忘機)が突然捕まえて黒(魏無羨)に差し出して、

黒(魏無羨)を困惑させる。ニワトリを差し出すのは、プロポーズを意味するそうだ

黒(魏無羨)はやっと、『ああそうか、あれはそういうことだったのか・・・』とか

 

それだけでなく、実は自分のなかの白(藍忘機)に対する思いも、

単なる友情からそれ以上のものに変わり、深くなっていたこと、

そのような自分の思いにきちんと向き合っていなかったことにも気づく

 

そうでなく、白(藍忘機)をいまだに単なる友達としか見ていなかったら、

白(藍忘機)の行動の裏にある、尋常じゃない思いを知って、ドン引いていただろう

 

ずいぶんと手間と時間のかかる黒(魏無羨)

一途で健気で、忍耐力の塊のような白(藍忘機)でなければ

二人の関係は成就していなかったのだろう

 

出会ってから16年後にやっと実った白(藍忘機)の告白

それも言葉ではなく、背中の傷あとをとおしてだ

それに、兄(藍㬢臣)の解説つき


人見知りでコミュ障がひどかったから、というだけではない

16年前、黒(魏無羨)が白(藍忘機)のまえに現れてから消えるまでの時間は

あっという間で、互いにきちんと告りあい、確かめ合う間もなかったというのが

ほんとうだろう

 

スローモーションのような愛の過程に驚く

そのスローさが、二人の関係の悲しさと美しさを際立たせていると思う