「最近寒すぎませんか。
東京って2月になってもこんなに寒いんですね。」
沖縄出身だと言う美容師にこう言われ、反射的に
「寒い、寒い。早く春になって欲しいよね。」
と言ったものの、
私は春が苦手だ。
子供の頃から酷い花粉症で、
ある時は、通知表に、
『花粉症のせいで授業に集中できていません。』
と書かれた。
(花粉症だけのせいとは思わないけど)
またある時は、職員室に呼び出され、花粉症の症状緩和に効果があると言う鼻うがいに関する新聞記事の切り抜きを担任から渡された。
それ位、花粉症にはずっと悩まされている。
もっとも、アレルギー体質であるため、一年中、何かしらの花粉に反応してはいる。
ただ春がダントツに辛い。
春が苦手な理由は花粉症だけではない。
春は変化の季節だ。
卒業、入学クラス替え、就職、人事異動、
と変化が苦手な人には、恐怖のイベントが目白押しだ。ワクワクなんてとんでもない。
小学4年生の4月に転校を経験した。
ドラマとかのイメージだと転校生は、担任と一緒に教室に入ってきて自己紹介と言うパターンが多いけど、
私の時は違った。
3クラスしかない小学生に転校してきた私は、自己紹介もなく、いきなり教室の席に座らされ、クラスメート達が登校してくるのを待たされた。
「知らない子がいるよ」
「あの子、誰?」
と俯いて座っている私の上履きに書かれた名前をクラスメート達がジロジロと見ていた光景が今でも忘れられない。
高校に入学したての頃は、
特にいじめられていた訳でも、除け者にされていた訳でもなかったけど、
毎日不安で、
明日は誰と昼ご飯を食べればいいのか、
と考えると眠れなくなった。
当時の私は何を思ったか、高校に行きたくないが為に、
「高校を辞めて語学留学したい。」
と両親に訴えた。
日本人のクラスメートとさえコミニュケーションが取れない人間がよく言うよ、と今の自分ならツッコミを入れられる。
大学に入学し、初めての一人暮らしをスタートさせた時も、ホームシックが酷く、次の帰省までを指折り数えた。
ただ、どんな環境にも1か月も過ぎると慣れてきて、そんな事は忘れてしまう。
そんな自分の性分を理解してからは、1か月の辛抱とやり過ごすことができるようになったが、不安は不安だ。
満開の桜や
甘酸っぱい卒業ソング、
パステルカラーの洋服、
そんな春のイメージ引っ張られて、
春を恋しく思うところだった。危ない、危ない。
今日、たまたま通った道に、
早咲きの紅梅が咲いていて、ほのかに梅の香りがした。
と同時に胸騒ぎがして、謎の不安が襲ってきた。
もうすぐ、あの季節がやって来る。
大人なった私は来たる4月、何に辛抱しているのだろう。