ベートーヴェンの弦楽四重奏曲ではどれを聴いたらいいか。

これは一択です。

ベートーヴェンには生涯を通して作曲を続けた作品群があります。全９曲の交響曲、全３２曲のピアノ・ソナタ、そして全１６曲の弦楽四重奏曲です。

その中でまず聴いて欲しいのが、第十四番の弦楽四重奏曲です。

ベートーヴェンが五十六歳の時に作曲しました。２年前に第九交響曲を作曲し、もうすでに古典派の枠を超えてしまっている感じがこの曲にも多分にあります。弦楽四重奏曲は通常四楽章構成ですが、この第十四番は七つの楽章を持ちます。

私見ですが、この曲は晩年を迎え死を意識し始めたベートーヴェンの別れの言葉、生に対する渇望や世の様々な事や人への許しが込められていると感じます。そしてそれが選定の理由です。

音楽を聴いて直接的な感動を得ることが、音楽を聴くということの目的だと思いますが、作曲者の想いのようなものを感じられた時、その感動は興奮とは違う心に染み入るものになります。

色々書きましたが、そういうことを無しにして素直な気持ちでこの曲を聴いてみて下さい。演奏は何を聴いても構わないと思いますが、私がよく聴いているのはアルバン・ベルク弦楽四重奏団のものです。

何か必ず感じるものがあると思います。

気に入られたら、その後に７番から１６番を、できれば順番に聴いてみて下さい。

この章終わり。

名曲を聴いてみよう〜ベートーヴェン 弦楽四重奏 第十四番