新書野郎 -5ページ目

東京今昔歩く地図帖

東京今昔歩く地図帖―彩色絵はがき、古写真、古地図でくらべる (学研ビジュアル新書)東京今昔歩く地図帖―彩色絵はがき、古写真、古地図でくらべる (学研ビジュアル新書)
井口 悦男 生田 誠

学研パブリッシング 2010-11
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学研はビジュアル版は別扱いか。確かに本体はパッとしないが。

ユーロ

ユーロ――危機の中の統一通貨 (岩波新書)ユーロ――危機の中の統一通貨 (岩波新書)
田中 素香

岩波書店 2010-11-20
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著者は2002年にも岩波新書でユーロを書いた人らしい。それまでユーロ成功論を謳っていたところ、著名な週刊誌記者(誰だ)に、今回のユーロ危機の件で、手厳しく非難され、その弁明という形になったとのこと。素人読みでは何が弁明なのか分からないところもあるのだが、ではユーロを無くしたらどうなるかという仮定は興味深い。ギリシャ、スペイン、ポルトガルにイタリアを加えた危機国家が南欧通貨同盟を作ってやっていけるのか。ドイツがかつてのマルクのプレゼンスを望まず、ドルの様な他国で自国通貨が基軸通貨のなることを怖れていたということを思えば、フランスのユーロへの積極姿勢は事実上、マルクに対する降伏だったのかもしれない。
★★

尖閣戦争

尖閣戦争――米中はさみ撃ちにあった日本(祥伝社新書223)尖閣戦争――米中はさみ撃ちにあった日本(祥伝社新書223)
西尾幹二 青木直人

祥伝社 2010-10-30
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尖閣本も、もっとドバっと出るかと思ったが、意外と少ないな。新書はこの祥伝社だけか。岩、平、集といった左派陣営は手を出さんだろうけど、文、新、P辺りは乗ってこないのか。青木直人も田母神の次は西尾と共演となると、ますますキワモノの道である。田母神にしても西尾にしても中国に関する知識はないから、青木がもっぱら説明役となっているのだけど、現役時代に人民解放軍と軍事交流はあった田母神の方が中国に対する偏見がない様に思えた。西尾はドイツ時代にトルコ人を見てきてトラウマになっているのか、やがて日本は中国人に乗っ取られると本気で思っているから怖い。中国人のことを平松茂雄は優秀な民族といっているが、石平とか宮崎正弘はそうでんしと言っている。どっちが本当なんだろうとかアホみたいなことを言っている。十四億をいれば優秀なのもカスなのもいるだろう。内藤湖南らが中国の知識人とか付き合わず、本当の中国人を紹介しなかったから、日清戦争で本当の中国の姿を見て、180度日本人の対中意識が変わったというのはまあそうで、それは反日デモを目の当りにした最近と同質のものはあろう。その意味では今回の尖閣の件はもう慣れっこになってしまったというか、中国で何が起きても驚かなくなってしまったし、もはや幻想の時代は過ぎたというか。

北朝鮮の人間改造術、あるいは他人の人生を支配する手法

北朝鮮の人間改造術、あるいは他人の人生を支配する手法 (講談社プラスアルファ新書)北朝鮮の人間改造術、あるいは他人の人生を支配する手法 (講談社プラスアルファ新書)
宮田 敦司

講談社 2010-10-21
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元航空自衛官で、北朝鮮の情報収集を手がけてきたという人が著者。何でもスパイの嫌疑をかけられ、退職したそうだが、北のスパイとなれば退職しただけでは済まないだろう。在官中に北朝鮮研究で総合社会文化博士となったとのことだが、この辺は機密違反にならないのか。ということで、退職5年の今の仕事は分からんが、スパイの嫌疑をかけられるほどの情報が書かれているということは全く無い。というか北朝鮮の実情というより、心理学の本みたいな感じで、事実、同列に置いているが、北朝鮮でもオウムでも大川隆法でも素材はなんでもよかった様だ。恋愛に関する話が多いのは自身の事情が反映されているのかもしれない。

なぜ、横浜中華街に人が集まるのか

なぜ、横浜中華街に人が集まるのか(祥伝社新書211)なぜ、横浜中華街に人が集まるのか(祥伝社新書211)
林 兼正

祥伝社 2010-09-01
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中華街の顔役である著者はリンさんではなく、ハヤシさん。横浜中華街の生みの親が日本人であったことはその字面を見れば分かることなのだが、たしかに南京町のままであったら、今日の観光化はなかったかもしれない。別に歴史認識とは関係ないが、その点は神戸の様な包容力が首都圏の人間にはないとも言える。関帝廟再建や国共対立のいざこざなどの記述はあるが、内容的にはビジネス本の類。実際、ピーク時を思えば、中華街の地盤沈下も相当なもので、老舗が次々と姿を消す中、新華人系が増殖しているのだが、そうした現状に触れられることは無い。中華街は中国産の野菜は使わないから安心というのも著者レベルの店に限っての話だろう。

おしりの健康

おしりの健康 大腸がん・肛門の病気のわかりやすい話 (朝日新書)おしりの健康 大腸がん・肛門の病気のわかりやすい話 (朝日新書)
森田博義

朝日新聞出版 2010-10-13
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それほど分かりやすくもない。

「科学技術大国」中国の真実

「科学技術大国」中国の真実 (講談社現代新書)「科学技術大国」中国の真実 (講談社現代新書)
伊佐 進一

講談社 2010-10-16
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著者は科技庁出身の文科官僚。中国へは科技、知財担当として大使館に派遣された様だが、その中国当局との攻防戦の真実を明かす。なんて話ではなく、現役官僚の手前もありごく一般的な話だった。まずは自身のマラソン大会の経験から中国はとても科学技術大国には見えないが実際はどうなのという素朴な疑問から入り、でも宇宙へ有人飛行を達成し、中枢は理系が占め、米国での博士号取得は清華がトップ、スパコンも世界一達成となると、東大宇宙工学科卒で、ジョンズホプキンスで中国経済修士の政府官僚となると気になるところではるだろう。実際におそらく米国留学中だと思うが、かなり日本という国に対してあせりがあったらしく、中国勤務ではその真実を確かめてやろうという意気込みだったらしい。結局、技術力は日本がリードしているという常識に落ち着くのだが、それも時限的なものだろうし、著者のあせりが解消された訳でもない様だ。
★★

本は、これから

本は、これから (岩波新書)本は、これから (岩波新書)
池澤 夏樹

岩波書店 2010-11-20
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別に危機意識はないのか。

ルポ 在日外国人

ルポ 在日外国人 (集英社新書)ルポ 在日外国人 (集英社新書)
高 賛侑

集英社 2010-08-17
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すごく一面的な見方だな。
それでも外国人が日本にいる理由って何だよ。

アメリカン・デモクラシーの逆説

アメリカン・デモクラシーの逆説 (岩波新書)アメリカン・デモクラシーの逆説 (岩波新書)
渡辺 靖

岩波書店 2010-10-21
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米国社会研究では気鋭の著者なのだが、今回は岩波新書ということで、例の貧困大国路線みたいなものになってしまっている。それでも堤みたいにアメリカには夢もチボーも無いと言っているのではなく、かつては共通の価値観として作用していたデモクラシーが、社会の多極化により、対立関係を招く事由にもなっていることを明らかにしている。都市型文化人類学の手法は新書という性格上、ますますジャーナリスティックに近いものであるが、これまでのフィールドワークのダイジェストとも取れるものである。「宗教左派」についても言及しているが、右派リベラルとか、保守系左派とか従来の枠に収まらない集団が出てきていることはたしか。ティーパーティもその主張はともかく行動様式は左派っぽいし。
★★