祭祀を行うにあたって、心身を清浄にするための心意的・行動的な慎みのことを斎戒と言います。

神を迎えるための祭祀前の物忌みは古くから行われてきて、その様子は『万葉集』や『常陸国風土記』にも新嘗祭の前に物忌みをして外来者を寄せ付けないようにしていた事が伺え、『日本書紀』には神武天皇が天香具山の土から平かを作って、斎戒して諸神をお祀りしたことが書かれています。

そして斎戒の制度が初めて定められたのが「大宝令」によってでした。

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大変古い歴史を持つこの制度について書く前に、現代では神職でもないと中々見聞きしたり使用する機会もない用語の説明から入らないと分かりづらいと思うので、先にそれらの説明から。

【大嘗祭】（だいじょうさい）天皇が即位後初めての新嘗祭。

【新嘗祭】（にいなめさい）今の勤労感謝の日である11月23日、宮中の神嘉殿及び全国の神社で行われる収穫祭。

【散斎】（さんさい）　荒忌（あらいみ）、大忌（おおいみ）、外清浄（げしょうじょう）とも言う。

【致斎】（ちさい）　真忌（まいみ）、小忌（おいみ）、内清浄（ないしょうじょう）とも言う。

【宍を食ふ】（ししをくう）肉を食べること

祭りには大・中・小とその重要度によって区別されており、

大祭（たいさい）＝大祀（たいし）、中祭＝中祀、小祭＝小祀である。

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斎戒の制度

　祭りの大中小によって、斎戒期間の長短も違っています。

「大宝令」「即位後の大嘗祭」の条に「散斎一月、致斎三日」とあり。

それら斎戒期間の規定を箇条書きしますと…

大祀＝散斎１か月、致斎3日　

中祀＝散斎3日、致斎1日

小祀＝散斎なし、致斎1日

散斎の期間中は『大宝令』によると…

諸司事（しょしこと）を理（おさ）むること旧（もと）の如くせよ。

喪を弔ひ、病を問ひ、宍（しし）を食ふこと得ざれ。

亦（また）刑殺を判（ことわ）らざれ、罪人を決罰せざれ。

音楽を作（おこ）さざれ、穢悪（えお）の事に預らざれ。

そして致斎には、

唯祭祀の事をのみ行ふことを得。自余はことごとくに断（や）めよ。

というように「六色の禁」を挙げて説明している。

大祀では、神祇官や神宮などの官吏も11月の1か月間は散斎としての六色の禁を守りつつ執務に従うが大嘗祭の当日と前2日の致斎は祭祀の奉仕だけ行った。

『神社のいろは・続』『神社のいろは要語集　祭祀編』より

と言う事で、この後また話が長くなりそうなので、これで一旦区切らせていただきます。

神職も基本的に焼肉OK。

いつもじゃないけど、お祭り前にそういう肉食、流血などに触れることを避ける慎みの期間があるんですね。

斎戒の制度【1】