猫のいる生活をしていらっしゃる方はもう既にご存じかもしれませんが、猫関連の神社というのもあります。招き猫は一般にもよく知られていますよね。
日本では、平安時代前後に猫がペットとして飼われるようになったと言われています。
また『日本霊異記』に化け猫の話が出てくるように、古くから不思議な霊力を持つ動物とも捉えられていたようです。
もちろん福を招く猫のお話もあります。
福を招く猫の今戸神社
江戸時代、ある夜、今戸神社(現在所在地:東京都台東区今戸1-5-22)の近くに住んでいた貧しい老婆の夢枕に愛猫が立ち、自分の姿を人形にしたら福徳が授かると告げました。
そこで老婆が愛猫の人形を作って売ったところ、たちまち評判になり裕福になったそうな。
この猫の人形が「招き猫」で、今戸神社は福を招く猫の神社と呼ばれるようになりました。
ちなみに今戸神社は創建1063年、御祭神は応神天皇(八幡様)、伊弉諾尊(いざなぎのみこと)、伊弉冉尊(いざなみのみこと)、福禄寿です。
猫に戻ってきて欲しい時に蚕影神社
猫を飼っていると行方不明になってしまう事がありますが、
そんな時に「猫返し神社」と呼ばれる「蚕影(こかげ)神社」が、
東京都立川市砂川町4-1-1にあるようです。
何でも、ジャズピアニストの山下洋輔氏が行方不明になった愛猫の帰宅を願ったところ、無事に戻ってきたという事から、これにあやかり「猫返しの神社」として信仰を集めるようになったとか。
境内の猫の像は山下氏の愛猫を模したもので、絵馬も片面は猫の絵で、無事に戻ってきて欲しい人たちが願いを掛けているそうです。
主祭神は金色姫命。1860年創建。
狐でなく猫の像の赤坂・美喜井稲荷神社
一般的に、お稲荷さん、稲荷神社だと神使として狐の像が置かれていて、
御祭神は神社だと宇迦御霊神(うかみたまのかみ)でお寺だとダキニ天ですが、
東京・赤坂の警察署向かいにある、(猫の額ほどの?)小さな美喜井(みきい)稲荷神社は珍しく狐ではなく猫の像が置かれてまして、御祭神も猫!ですが、実は京都・比叡山から降りてこられた霊格の高い神様だったのです。
戦前、そこに暮らしていた方のお宅に「美喜井」という猫がおりまして、
その猫は不思議な力をもっていました。
ある晩、飼い主の女性が寝ていると、美喜井が盛んに鳴いて、起きると煙が漂い火事になっていて、そんな風に美喜井おかげで命を助けられた事が何度もあったそうです。
そして美喜井が死んだ後、この家の女中が毎晩猫の夢にうなされるようになりましたが『もしやこれは美喜井の霊か』と深くお参りするとその晩からぴたりとやみました。
また、とある高僧が「美喜井は比叡山から猫の姿を借りてやって来た霊位の高い神様だ」と話しました。
それ以来、この家の方は本格的にお祭りするようになったということです。
この神様にお願いした方は、タコを食べないで下さいと伝えられています。
その鳴き声から「美安温(みゃおん)閣 美喜井稲荷神社」という正式名称。
宗教法人としての登録は仏教系らしく香炉も置かれています。
猫関連の授与品
こちらで紹介した神社は遠いという方は、大阪の住吉大社に招福猫という初辰の日に授かると良いとされる授与品もあるそうです。
あと、よくハローキティのお守りが授与されている寺社もありますね。
猫が帰って来るおまじない
これは『日本の呪術』という本に書いてあって、昭和30年代は結構一般的だったらしい、可愛がっていた猫がある日突然姿を消してしまった時のおまじない。
「立別れ いなばの山の 峯に生(お)ふる まつとし聞かば いま帰り来む」
と書きつけた紙を自宅の戸口に貼っておく。(お)は私が読み仮名降っただけなので入れなくて大丈夫です。