三島・大山祇信仰には2系統ありまして…いや、あることになっていまして、
総本社が静岡県三島市に鎮座する三島大社と愛媛県今治市に鎮座する大山祇神社です。
同じ御祭神の大山祇命、大山積(大山津見)神で、信仰別神社数では、この両社を一つの信仰としてくくり、全国約700社ぐらいと数えられているんですが、
その後、研究が進んで来たり、私も昨年(2023年)三島大社に参拝してみたら、
『このくくり方はどうかなぁ?』と思いました。
神話で系譜を言えば、大山祇命、あるいは大山積(大山津見)神と表記されているこの神様は、伊邪那岐命・伊邪那美命の生んだ子で山の神様。
山々を統括する為、御神徳も広く、林業、鉱山、農業、海、鍛冶、酒造などの分野にまで及びます。
そして天孫・瓊瓊杵尊(ににぎのみこと)の妃となった木野花佐久夜毘売(このはなのさくやびめ)の父です。
つまり、初代・神武天皇の曽祖父にあたる訳です。
三島大社の御祭神である三島大明神も、かつては大山祇命とされていましたが、
事代主神(ことしろぬしのかみ)説の登場で、現在は積羽八重事代主神と二柱になっています。
事代主神とは俗に恵比須様と親しまれている神様です。
三島大神は、山の神と言っても、現代の動かざる山ではなく、上代、富士火山帯に属する伊豆諸島地区の、熾烈な噴火・造島が盛んに行われ、これを神業(かみわざ)と畏怖し仰がれたのが三嶋大神で、三島大社の「みしま」は「御島」で伊豆七島など、神造の島を尊んで言ったものに他ならない。(と、三島大社略史の本で断定されていました)
国史以下にその記事を見る事が出来ます。
『日本書紀』天武天皇13年(西暦648年)冬10月壬辰(14日)
伊豆嶋の戌亥(西北)二面(ふたおも)、自然(おのずから)に、三百余丈(みももつえあまり)を増益(ましま)して、更に一嶋(ひとつのしま)となる。
則(すなわ)ち鼓音(つづみのおと)の如きは、神是(こ)の嶋を造れる響きなりと。
この他、三嶋大社の授与所で入手してきました三嶋大社〈略史〉の本には、
西暦832年、840年、887年にも他の扶桑略記などでも記録がありました。
源頼朝の旗揚げを後押しした武神でもあるのは、こうした熾烈な噴火や島生みの力強い霊威を知ると納得です。
大変有り難い事に、2023年、國學院大學博物館で行われた三島の神関連の展覧会の動画がありましたのでリンクさせていただきます。