10月は戌月

10月は神無月と言われ全国の神々が出雲大社に集まるので出雲では神在月と呼ばれると言う話はあちこちでされていますが、出雲大社の公式サイトではその一連の神事・祭りは現在の11月中、つまり旧暦で行われ、10月は17日の神嘗祭の日に神宮遥拝となっておりました。

先日私もお参りしてきた東京大神宮でも、もちろん10月17日は例大祭です。

そんな訳で、今月を神無月と言うよりは戌月という面からとらえ、

戌(犬)と屋敷神にちなんだお話を『神道のいろは要語集 祭祀編』から引用させていただきます。

屋敷神

 

屋敷神とは、屋敷地内とその周辺に奉斎される神で、そこに住む人間の生活全般にわたる守護と奉斎地域、家宅の鎮守と考えられている。

古くから文献に見え、日本全域に渡って見いだせた民間信仰の一つ。

その形態は非常に複雑であり、神社信仰の研究にとって非常に重要な存在でもある。屋敷神という語は明治以降に学術用語として一般化したが、古くは「宅神」と書いて「やかつかみ」「やけのかみ」「いえのかみ」「やどのかみ」などといい、「邸内神」と書く事もあった。

これらの概念には「竈神」などの屋内に祀られる神も含み、必ずしも屋外に奉斎するとは限らないため、屋敷神の用語が用いられるようになったと考えられる。

しかし屋内外の斎場の区分で信仰の本質を区分することは難しく神道の分野では公に認められているとはいえない。

地方によっては「うちがみ」「うぢがみ」「うつがん」「いわいじん」「いわいがみ」「じのかみ」「じぬし」「荒神」という呼称で呼ばれることもある。

屋敷と家

【屋敷】の語義は「や(家)」・「しき(敷)」で、家屋が建築されている土地、または建築されるべき地積をいう。

【いえ(家)】日常の生活を共同にしている家族をさす場合と、家族が起居し諸活動を行う場としての家屋を指す場合の二通りの意味がある。

この二つがそろって「いえ」の本質が成り立つ。

 

古くは、一般の農山村での屋敷は母屋を中心とし、離れ、納屋(なや)、厩屋(うまや)、長屋、隠居屋、倉、作業小屋などの建物を含む他に前庭、苗代田、菜園、水使い場、裏山などの屋敷林(墓地も屋敷の一部と考えられた)といった諸設備があり、これらを共同利用する家族が村落社会を構成する最小の単位となっていた。

 

戌亥の方角から祖霊来臨

 

屋敷神も歴史の流れと共に石や樹木などの自然物を対象とした神座から次第に常設の祠になっていったと考えられる。

祀られている方角は、一般的に戌亥(いぬい)方位(北西)の隅が多い。

『日本三代実録』などにも戌亥の方角とする記述がある。

 

この件については三谷栄一の詳細な論文があるが、結論を言えば祖霊の来臨する方角が西北あるいは戌亥であったという(『日本文学発生試論』)

(つづく)

※長くなるので、一旦ここで区切ります。