お正月が近づくと、年神(としがみ)様、あるいは歳徳神(としとくじん)、お正月様とも呼ばれますが、その神様をお迎えする為に玄関に門松を立てたり、しめ飾りなどをしますね。
それは新しい年に豊かな実りをもたらす神様がいらっしゃるという古くからの信仰に基づくものです。
門松は年神様をお迎えする為の依代(よりしろ)とも言われています。
と、ここまではよく聞く話ですが
『安倍晴明(土御門)暦』の【年中故事要解】には、
門松が立てられ注連縄を引くようになった経緯や松竹の意味が解説されていました。
いつものように、原文のままだと改行・句読点などが無くて漢字も古くて分かりづらいので、多少、現代人向けに漢字を直したり、改行などしてご紹介します。
門松 注連縄
門に松竹を立て注連縄を引き、シダ、ゆずり葉、炭など飾るは
「賎が家居は大方封戸(ふこ)なるにより民戸申待れば
一町の内を五丈づつに割りて門を立つれば八の門ありて
其中に賎が家居作り待れば門なかるべきにやあらず
その門の前に松竹を立待り
松は千年を契り、竹は万代を契る物なれば、
年の始め祝事に立待るべし」と
という訳で
「封戸」は、昔聞いた気もするけど、よく覚えてなかったので調べると…、
日本の律令制下で皇族や高官などの位階・官職・勲功などに応じて与えられた俸禄(ほうろく)の一種で、
特定数の公民(農民家族)の戸(世帯)のこと。
これらの家々から得られる米や税金及び労役などが
封主(ほうしゅ)と呼ばれる受給者の収入源だった。
という事で、つまり公民の農民家族世帯が住む家屋のことか。
続く「民戸申待れば」も分からないので、一旦がおいといて、
調べたところ、一町=約109.1m
それを五丈=一丈が約3mだから大まかに15mくらいづつ割って門を立てれば8つの門があって、
その中に公民が家を作ったならば門があって当然だ。
或いは、それぞれにふさわしい門がある。
門の前に松竹を立て、松は千年を契り、竹は万代を契るものだから、年始めの祝い事として立てまつる
…と、いうような、公民が皇族や高官など封主へお仕えし、
門のある家を建てさせてもらい、誇らしい、嬉しいので、
こうして門を飾って、この治世が末永く続く様に祝う意味があるように読み取れました。
年神様の依り代とは書いてなかったです。
