昔はがりがりに痩せた華奢な女性が好きだった。安室奈美恵とか。鈴木亜美とか。鎖骨とか太ももとか、女の自分のワンパンで折れるんじゃないかと思わせてくれるほどの枯れ木のような細さが好きだった。ある時から、それが変わった。旦那の習慣で、自分にグラビアを見せてこの子は可愛い・可愛くないを話し合うという趣味があるが、グラビアに載っている子は割とグラマーな子が多い。細くても、しっかり胸と尻とに柔らかそうな肉が付いているような子。最初は「みんなデブだな」と思っていた。だが目が慣れると、筋肉の上からふくふくした脂肪が取り巻く、若々しくてしなやかな肢体の美しさを理解した。それからはガリを見ると「コッチェビ……」「ご飯食えよ」としか思わなくなった。パリコレのスーパーモデルを見た日には自分が飢餓感に襲われてとても不安になる。黒人女性アスリートに見られる、しなやかで獰猛な肉食獣のような引き締まった体は美しいと思うが。

そう言えば自分の親や先生世代は、よく自分が体重のことで悩んでも「少し太ってるくらいがちょうど良いのよ」と言っていたなと思い出す。女の賞味期限の切れたドラム缶みたいなやつに言われても、と相手にしなかったが、今更共感している。肉体美とは健康美だ。がりがりの体は病気や、貧乏を連想させる。それから、老いも。最近のトレンドとしても、AKB小嶋陽菜のふっくら脂肪を感じさせる体型に人気が集まるなど(実際は細いけどふっくら、というのがミソ)一昔前とは流れが変わってきている。自分はジャングルでも生きていけるくらいの筋肉と、1週間飲まず食わずで生き残れる程度の脂肪の付いた体が今の理想。3.11のような非常事態が人間の生存本能を刺激して、より強く、より健康な方面を世の中が志向してしまうのかなと考えてみる。ガリじゃ生き残れないから。