とあるバーの2階で軽い音楽の催しをやることになった。目的は興味のある人に見てもらい、バーの売り上げに貢献すること。演者の中で意見が割れた。一人はオリジナル曲を持った実力はあるけど名は売れてないミュージシャン数人に来てもらってそれぞれ演奏をしてもらうというもの。もう一人は名の知れたジャズのスタンダードナンバーを演奏するというもの。前者が中心的存在でイベントをやって、結果は全くはかばかしくなかった。つまり客は呼べたのだが、知らない人間の知らない曲ばかりなのでつまらなそうに帰ってしまう。前者の主張はせっかく生演奏で音楽を聴いてもらうのに、あり合わせのよくある曲ばかりではつまらないだろうというものだったのだが見事に的外れだったわけだ。彼は芸術性や独自性を音楽に求めていたが客は違うものを求めていたわけだ。恐らく目の前で実際に楽器から音が鳴ってそれが曲として成立しているところを見たいというアトラクションだ。この場合、曲は知っているものの方が当然良い。スーパーで聴いた曲が、TVCMで流れた曲が、実際人の手で演奏可能なのだということを検証するのだから。エンターテイメントは難しい。昔なら奴隷同士の死闘や小人・エレファントマンと呼ばれる奇形に生まれた人々が見世物(エンターテイメント)として成立した。人は喜んで金を払ってそれを見たのだ。芸術だなんだと騒ぐ前に、エンターテイメントの本質をもっと考えるべきだ。