有名な名探偵さんの漫画に青酸カリはよく出てくる。ペロって舐めてこれは青酸カリだ!って言っているシーンが有名。(たぶん)

青酸カリを飲むと人が血を吐いて死ぬシーンが名探偵さんの漫画にはあるのですが、これはなんでなのか?分子生物学的に説明できるのか?って気になったので説明してみたいと思いました。

青酸カリについて。青酸カリと言われるものの化学式はKCN。正式名称はシアン化カリウム。青酸カリ自体はそんなに危なくなくて、体内でHCNに変化するから危険。

人の細胞にはミトコンドリアというものがある。
ミトコンドリアは細胞での呼吸を行っている場所で、呼吸をすることで有機物を分解してエネルギーを合成している。もしミトコンドリアがなければ人はエネルギーを作ることができなくなりすぐに死んでしまう。
青酸カリが体内に入ると、KCNが体内に入ると酸性の胃液と反応してHCNになり青酸という気体になる。気体になった青酸は体内に入っていく。(この青酸はアーモンド臭がするらしいので、青酸カリで死んだ人の口からアーモンド臭がするのはこのため)

青酸が体内に入るとどうなるのか?
CN-は体内の金属イオンと結合しやすい性質を持っている。
ミトコンドリアでは電子伝達系という電子を流してプロトン(H+)を移動させて、濃度差を作ることでエネルギーを合成させている。

CN-がやってくると電子伝達系にあるシトクロム酸化酵素の邪魔をして正常に働かなくなる。
この結果、ミトコンドリアでエネルギーを作ることが困難になり、青酸カリを飲んだ人はエネルギー不足になって死亡する。呼吸は出来るけど、酸欠状態になるような感じなのかな(実際に経験したことないから知らない)。酸欠状態ということと等しいのでチアノーゼという、爪が青紫に変わる現象があるって言われている。

ミトコンドリアでのエネルギー合成ができなくなると、大きくダメージ受けるのはやはり脳になる(脳がエネルギー消費量一番多いから)。脳でダメージ受けたりすると他の場所にも影響が出て(例えば血管運動神経とか、呼吸中枢とか)それらも致命的なダメージになって死ぬらしい。
いや、青酸カリって怖いなぁ。化学式簡単で単純な構造してるのに簡単に人殺せるのかって感じ。

でも某探偵マンガには血を吐いて死ぬ描写されてたりするのはなぜなのか?臓器が破れたりはしないはずなので凄く不思議に思ってます。
個人的にゴルゴ13の何巻か知らないけどお偉いさんが青酸カリで殺されるシーンは正確に描写されているんじゃないかなと思います。(ちゃんとアーモンド臭の描写あり、血を吐かずに倒れるだけ)

血を吐くのはなんでなんだろうか?お偉いさんいたら教えてください。