http://release.nikkei.co.jp/detail.cfm?relID=100421&lindID=4


帝人グループのCO2削減に向けてバイオマス燃料化の推進について


 帝人株式会社(本社:大阪市中央区、社長:長島 徹)は、従来より帝人グループとしてCO2削減に積極的に取り組んでいますが、このたびの京都議定書発効を受け、さらに取り組みを強化するため、バイオマス燃料化を推進していくこととしました。
 具体的には、産業繊維事業の中核会社である帝人テクノプロダクツ株式会社の三原製造所(広島県三原市)においてバイオマス燃料化を決定し、また、衣料繊維事業の中核会社である帝人ファイバー株式会社の松山事業所(愛媛県松山市)においてはバイオマス燃料を混合燃焼(以下「混焼」と表記)する方法でバイオマスの有効利用を推進していくこととしました。
 この2つのバイオマス燃料化プロジェクトが完遂すると、帝人グループ全体の国内CO2発生量を年間6.5万トン(1990年度の2.6%に相当)削減することができます。

 詳細は下記のとおりです。


                                 記

1.背 景
(1)帝人グループは、従来から生産設備、オフィスの双方で省エネルギーに取り組んでおり、国内のグループ会社全体で1990年度から2004年度の間にエネルギー消費量(重油換算)を13%、CO2発生量を9%削減してきました。
(2)今年度からは、温室効果ガス削減に向けて帝人グループ横断的な専門部会を設置し、省エネルギー施策をグループ全体で推進するとともに、より環境負荷の少ないエネルギーやバイオマスなどの再生可能エネルギーへの転換を進め、CO2をさらに削減することとしています。
(3)こうした取り組みの一環として、このたびの京都議定書発効も勘案し、CO2削減の取り組みをさらに強化するためにバイオマス燃料化を推進していくこととしました。

2.帝人テクノプロダクツ三原製造所のバイオマス燃料化について
(1)帝人テクノプロダクツは、三原製造所近郊のバイオマス、リサイクル燃料関係事業者と協議を進めてきた結果、樹皮、製材屑、建築廃材などの木質バイオマス、および廃タイヤ・RPF(再生紙としてリサイクルできない古紙やプラスチックで製造される燃料)などのリサイクル燃料の調達見込みが一定規模に達したため、発電設備で使用する石炭の一部をバイオマス、リサイクル燃料に転換することを決定しました。
(2)バイオマス、リサイクル燃料を利用する循環流動層ボイラー(*1)を新たに設置する計画で、新設ボイラーから発生させる蒸気は既設のタービン発電機を利用して発電に利用します。この新設ボイラーが完成すると、バイオマス、リサイクル燃料の比率は従来の石炭消費量の36%となり、三原製造所でのCO2発生量を年間3.3万トン(1990年度の11%に相当)、帝人グループ国内のCO2総発生量を1.3%(1990年度対比)削減できる見込みです。
*1 循環流動層ボイラー:燃料などをボイラーの内部で循環させながら燃焼させる型式。多種多様な燃料を使用する場合に適している。
(3)なお、三原地区では発電電力の60%を外販しており、この外販分はRPS法(*2)における新エネルギーによる発電電力として登録することができます。
*2 RPS法:2003年度より、電力会社は一定割合の電力を新エネルギー(太陽光、風力、バイオマスなど)で発電するか、このような方式で発電した電力を購入することが義務化された。この法律を通称RPS(Renewables Portfolio Standard)法という。
(4)三原近郊の未利用木質バイオマス、廃タイヤの有効利用は、地域循環型社会形成に貢献できるものとして期待されており、既に現時点において各所よりの利用依頼を受けています。
(5)新設ボイラーの設計、建設は帝人エンジニアリング株式会社、運用管理は帝人エンテック株式会社が担当します。


【三原製造所のバイオマス燃料化プロジェクト概要】

■新設ボイラーの発電能力    55トン/hr

■三原製造所の平均発電量   20,000KW
                     内 バイオマス発電量 4,800KW
                     内 外販電力     12,000KW

■バイオマス利用量
 (1)木質バイオマス 5万トン/年
 (2)廃タイヤ、RPFなど 1.2万トン/年

■設備完成予定          2006年12月

■投 資 額             約17億円


3.帝人ファイバー松山事業所のバイオマス混焼について
(1)帝人ファイバー松山事業所は、帝人テクノプロダクツ三原製造所とは異なるアプローチとして、既存の微粉炭ボイラーを有効に活用し、バイオマス燃料を混焼する方法でバイオマスの有効利用に取り組んできましたが、このたび、三菱商事株式会社と共同で微粉化した木質バイオマスを石炭と混焼するテストを実施したところ、5%のバイオマス混焼の実現に成功しました。
(2)一般的に、既存の微粉炭ボイラーでの混焼は難しいとされていますが、木質バイオマスの微粉砕技術(三菱商事株式会社が開発)を活用し、微粉砕した木質のハンドリングや混焼システム技術に工夫を凝らしたことにより、良好な結果を導き出すことができたものです。
(3)燃焼試験の結果、環境指標であるボイラー排ガス中の硫黄酸化物、窒素酸化物の排出濃度低減も確認できたことから、今後はさらに比率を高め、10%のバイオマス混合燃焼を目標に、実用化に向けた検討を進めていきます。
(4)この取り組みが実用化すると、松山事業所でのCO2発生量を3.2万トン/年(1990年度の2.8%に相当)、帝人グループ国内のCO2総発生量を1.3%(1990年度対比)削減できる見込みです。
(5)なお、木質バイオマスの調達については、地元愛媛県や関係協議会などの協力を得ながら進めていくこととしています。
(6)本バイオマス混焼技術の開発は帝人エンテックが担当しています。


以  上