西日本新聞の朝刊に載りました。

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孤児避難NGO 元商社マンの福大講師

スマトラ沖地震で家族や住まいを失った子どもたちを支援するため、元商社員で福岡大講師の山口実さん(55)=福岡市中央区=らが、非政府組織(NGO)「明日のアジアにかける橋(Bridges over Asian Dreams=BOAD)」を設立する。商社時代の人脈をもとに国内外の賛同者を集め、孤児の避難施設を建設。長期的には教育支援も目指す。十八日に被災地に出発し、ともに活動する現地政治家らと支援策を詰める。

 山口さんが商社時代に四年半駐在し、「第二の故郷」と思っているインドネシア・スマトラ島は、津波で最大の被害を受けた。現地の友人から「(北部の)アチェ州が悲惨。五万人の住民が八千人になった町もある」と連絡を受け、何かできないかと考えていたところ、東南アジアで燃料会社を経営する友人の合田真さん(29)=同市出身=から、「二人の力で支援の輪を広げられないか」と持ちかけられた。

 一九九〇年、クウェート駐在時代にイラク侵攻に巻き込まれ「人間の盾」にされた山口さんは、「混乱の中で、生活基盤を失った子どもたちにどれほど助けが必要か、痛いほど分かる」と語る。孤児の人身売買まで伝えられており、急ぎ協力を募ったところ、九州の事業家をはじめ、マレーシアのマハティール前首相の三男ムクリズ氏やスリランカの前エネルギー相、インドネシアの事業家ら十数人が集まった。

 山口さんは、合田さんと二週間をかけて、孤児を取り巻く状況やシェルターの候補地、活動に協力する現地企業などを調べる予定で、「復興を通してアジアに国境を超えた助け合いの気持ちを広げたい」と意気込んでいる。問い合わせは、BOAD九州事務局=yamaguchi@nbf-web.com