この作品に関しては、2024年3月10日に記事を書いているのだが、この年末年始にもう1度見直してみて、どこまでできるか、わからないが、シリーズ1作目から、順に紹介していきたいと思う。
重複するところもあるかもしれないが、新しい情報も書き加えながら、記事を書き進めていきたい。
シリーズ第1作 1956年
2月18日公開
企画「坪井興」「斎藤安代」
1961年10月号「東映の友」に「斎藤安代」氏のインタビューが掲載されている。
「スタッフ キャスト陣には、なるたけ若手を使うよう心がけている。
とりあげる事件もなるたけ「キワモノ」は避けるようにしている」

脚本「長谷川公之」
このシリーズの特色は、脚本を担当する長谷川公之氏が元警視庁の鑑識課員であった点から、ほとど実際に起こった事件に取材しており、それが作そのもののリアル性のもととなっているともいえる。
「東映の友」10月号より。

音楽「山田榮一」
監督補佐「島津昇一」
この当時は、監督補佐だが、僕は、ドラマ「プレイガール」を見て知った監督で、「プレイガール」に関していえば1969年~1971年で12本撮っている。
「島津昇一」監督のエピソードとして「プレイガール」のレギュラーだった「桑原幸子」は、こう語っている。
「霊感が強くて手を触れるだけで健康状態とかがわかっちゃう。
「プレイガール」みたいな遊びの部分は、上手い人でしたね。
でも本編のほうで撮影中にセットを燃やしちゃったの。
それで映画を干されちゃって、TVでもやってないと仕事が途絶えるので「プレイガール」を撮ってました」
さて、監督補佐から「監督」に昇進し、撮った作品は、シリーズ第15作「不在証明」(1961)
シリーズ第16作「十五歳の女」(1961)
シリーズ第18作「謎の赤電話」(1962)
シリーズ第19作「19号埋立地」(1962)
の4本。
特にシリーズ第18作「謎の赤電話」は、以前、東映チャンネルでこの作品だけ、放送されなかった。
(後に放映)
それで古本屋で「シナリオ」を手に入れ、内容を確認したことも懐かしい。
いま、これを書いていて、そんなことを思い出した。
島津監督の作品だったんだなぁ。

監督「小澤茂弘」
2000年に発売された「千原しのぶ」
インタビュー形式の本である。
この本の中で「千原しのぶ」は、「小澤茂弘」監督のことをこう語っている。
「唄ごよみ いろは若衆(1954)
ほんとに怒鳴るのね。
「ワウワウ、ワウワウ」って言うの。
「ワウワウ」って言われたら、私こっち向きたくなるの。
小澤監督は思うようにいかなかったでしょう。
仕事してるときに。
で、いっぺん監督にどこかで「先生にワウワウっって言われたら、私やる気なくなるの」って。
そんな「ワウワウ」言われたら、私なんか頭悪いから、なお分からなくなるのって。
飲み屋みたいなところだった。
演技のことをクチャクチャ、飲みながらしゃべってる。
私、ワウワウ言われたら、分からなくなる。
頭悪いから。
黙って静かに見ててくれたほうがやりやすいのよって言った。
それからセットのなかで「ワウワウ」怒らなくなった」
「千原しのぶ」は、「警視庁物語」には出演しておらず、本編には全く関係ありません。
ちなみに「小澤監督」は、シリーズ第2作
「魔の最終列車」(1956)
シリーズ第6作「夜の野獣」(1957)
と、このシリーズと合わせて計3本撮っている。
冒頭 タクシー強盗発生
運転手が射殺され、犯人は売上金を奪って逃走
カメラがグーっと寄り、場面が切り替わる。
鑑識班の捜査の場面に切り替わる。
警官のすぐ隣に「北峰有二」
かがんでいるのは「岩上瑛」
その隣にポケットに手をつっこんだ立っている
のは「須藤健」
事件を知り、野次馬や新聞記者などが集まってくる。
捜査一課長を演じる「松本克平」左)
シリーズ全てに出演しているわけではないが、やはり、このシリーズには欠かせない。
右)捜査主任を演じる「神田隆」
シリーズ24作品に全て出演。
やはり、この主任がいないと作品が締まらない。
鑑識課長役を演じる「須藤健」
シリーズ第9作から、2代目「渡辺刑事」としてレギュラー入りするが、このシリーズ1作目では「チョビヒゲ」を生やした「鑑識課長役」
さっそく、聞き込みを開始する
コートを着ている中年刑事
手前「花澤徳衛」
その隣「山本麟一」
バラック小屋? 掘っ立て小屋?
1956年といえば終戦から11年
まだまだ、貧しく、このような家に住んでいる人が多かったのかな。
右)ロングコートを着ているのが
長田部長刑事役「堀雄二」
宮川刑事役「南原伸二(現・宏治)」
ロングコートを羽織り
斜めに帽子を被っている姿がオシャレ
シリーズ4作まで出演している「南原伸二」だが、この格好 このスタイルは「宮川刑事」のトレードマーク
そして、割烹着姿のご婦人がた
いまは、こういう格好見かけませんね。
後ろ姿「松本克平」中央)南川直
チラとうつる看護婦は、「山本緑だよなぁ」
さて、法医技師として登場の「南川直」さん
わりとセリフも多い。
「眼球 眼瞼の結膜に溢血点が著名です」
と、専門用語がチラホラ。
セリフはまだ続きます。
「南川直」さん、「警視庁物語」には、これ以降、数本出演しているけど、この作品が1番セリフが多いんじゃないかな。
その後ろにチラッと見えるのは「山本麟一」
左から「神田隆」そして「松本克平」と
「須藤健」の間に挟まれているのが鑑識課員役を演じる「北峰有二」(現・篠恵輔)
「須藤健」の隣「南川直」
「北峰有二」のセリフ
「ホシの遺留品かどうかわかりませんが、客席にこんなものがありました」
その「北峰有二」の後ろにチラッと見えるのが「岩上瑛」(セリフもアップもなし)
「北峰有二」が差し出した名刺を手にする
「松本克平」
夏子 柳橋 田中
と記されていた。
さっそく、長田部長刑事&宮川刑事があたることに。
ちょうど70年前の柳橋ですね。
もう1枚
場面が切り替わる。
この家というかお屋敷
立派だね。
なんかこういう懐かしい風景好きだな。
左から「山本緑」「堀雄二」「南原伸二」
「あそこですけど」とセリフも一言だが、声で「山本緑」とわかる。
ちなみに「山本緑」ノンクレジット
懐かしい風景
タクシーの客席に落ちていた
「夏子・柳橋・田中」と書かれた名刺を手がかりに捜査を開始する「長田」「宮川」両刑事
「堀雄二」「南原伸二」(現・宏治)
中央)片山滉 右)花澤徳衛
このシリーズの常連の「片山滉」は、銃器技師として登場。
シリーズが進むにつれ、演じる役も法医技師などに変わるが、知的な役柄を演じることが多い。
このシリーズではおなじみの「片山滉」だが、ネットで調べても生年月日ぐらいしかわからない。
1979年発行の「日本映画俳優全集・男優編」には掲載されていない。
映画やテレビと脇役で活躍した俳優という認識だが、役者になった経緯など詳しいことがわからない。
先日、購入した「星を喰った男」
この本は、俳優「潮健児」が映画全盛時代の思い出を綴ったもので、そのなかで「片山滉」のことがチラッと紹介されている。
「本当のインテリ役者でしてね。
もと海軍中尉か何かだったという、頭のいい人だったんですよ。
女子高校の先生までやってたことがあるという役者」
デスクに座って書き物をしているのは
東映の大部屋俳優「相馬剛三」さん。
今回は、ノンクレジットで出演。
「片山滉」同様、このシリーズの常連で演じる役は、警官やタクシーの運ちゃん、ガソリンスタンドの店員、守衛、旅館の番頭だったりと、演じる役は幅広い。
ちなみにロングコートを着ている後ろ姿の男優は、「関山耕司」
チラッと見える顔は「南原伸二」(現・宏治)
「相馬剛三」
「警視庁物語」シリーズ第24作
「行方不明」(1964)より。
このときは守衛さんを演じていた。
8年経つと、だいぶ風貌が変わるなぁ。
またまた、懐かしい風景
もう1枚 
子供を抱きながら、割烹着を着ている母親
ブランコやシーソーで遊ぶ子供たち。
いまでは、見られない光景
「警視庁物語」は、内容もさることながら、こうした懐かしい風景を見ることができるのも魅力のひとつ。
外から部屋の中を撮影 
もちろん音声なし。
その間12秒ほどかな。
椅子に腰掛けているのは、「瀧謙太郎」
デスクに座っているのは「相馬剛三」
ドアが開き、部屋のなかに入ってくるのは
「花澤徳衛」
スラッと背の高い「南原伸二」
カメラに背を向けているのは「神田隆」
5人の役者のセリフのない
思い思いの芝居を見ることができる。
このシーンも部屋の中からではなく、外から撮影
13秒ほど音声なし。
ただ、「堀雄二」の唇を読むと、「主任」と云っているのはわかる。
左から「堀雄二」
鼻から上がうつってないのが「南原伸二」
その隣「花澤徳衛」
カメラに背を向けているのは「神田隆」
農林相係長役「スガイ」を演じるは
「瀧謙太郎」(現・滝謙太郎)
柳橋から恋人とタクシーを拾って田端まで。
タクシーを降りると、すぐにマスクをした男が乗車してきたとのこと。
その男は、「深川」まで行くよう運転手に指示したという。
さて、「滝謙太郎」について
1979年に発行された
「日本映画俳優全集・男優編」を見てみる。
それによると、1919年3月13日長野県生まれ。
帝国高等音楽学校を卒業後は、原信子歌劇団 日劇 創作座、芸術小劇場を経て日活 大映、松竹 
を経て1952年に東映専属となる。
おおまかに記すと、こうなる。
「滝謙太郎」さんも「警視庁物語」シリーズには、何本か出演している。
さて、「スガイ」とその恋人にモンタージュ作成に協力してもらうことに。
長田部長刑事を演じるは「堀雄二」
モンタージュ1
顔の輪郭や眉毛の太さ、目元などを細かく2人から聞きながら作成していく。
1956年当時の技術というものは、こういうものだったんだなぁ。
さて、完成した犯人のモンタージュ
また、タクシー強盗が発生し、現場へ急行する
長田部長刑事と宮川刑事
左)佐原広二 中央)堀雄二 右)南原伸二
「佐原広二」は、このあともコンスタントにゲスト出演(役柄は違うが)
シリーズ第7作「七人の追跡者」(1958)で高津刑事役でレギュラー入りし、シリーズ第17作
「12人の刑事」(1961)まで作品に貢献する。
シリーズ第11作「遺留品なし」(1959)より。
「佐原広二」
本部へ戻ってきた「長田部長刑事」「宮川刑事」から報告を受ける主任
しかし、今回は、被害者が車内にいないことから、今までと手口が違うようだと、疑問を持つ主任。
しかし、長田部長刑事は、おそらくどこかで死骸を捨てて、そのまま現場まで運転してきて、乗り捨てたんじゃないか、と、考える。
犯行の推定時刻は、午前4時30分~5時
左)主任こと「神田隆」
中央)長田部長刑事役「堀雄二」
右)宮川刑事役「南原伸二」(現・宏治)
モンタージュ写真による前科照合
3人の容疑者が浮かぶが‥‥
左)神田隆 
中央)山本麟一
右)堀雄二
東京駅にある床屋から「ワイシャツの袖口に血を付けた客がいる」と本部へ連絡が入る。
さっそく、理髪店へ向かう「宮川刑事」
「サービスにワイシャツの洗濯と服のアイロンをかけている」
このくだりは、印象に残る。
実際にそういうサービスをしてくれる理髪店が当時あったのか? 
それとも、映画オリジナルなのか。
いま、そういうサービスをしてくれる理髪店があるのかどうかはわかないが。
何回見てもこのくだりは、気になる場面。
どの客?と、女性店員に聞く「宮川刑事」
「いま、あちらで頭を洗っている方です」
と、云われ、モンタージュ写真で確認する
「宮川刑事」
ちなみに頭を洗っている男優は、「伊藤久哉」
モンタージュ写真を手にする「宮川刑事」
これだと、わかりづらいので。
拡大すると。
ジャン!
こうなります。
「ウーン。頭を洗っている男性と似ているかなぁ。」
理髪店のサービスが気になったので、
宮川刑事が店内に入る場面
右に「バーバー タカヤ」と看板が。

店のドアにも「理容 タカヤ」とある。
実際にあるお店を借りて撮影したのか、東映のセットなのかは、わからないが。
左)南原伸二(現・宏治)が警官に血の付いたワイシャツを渡す場面。
後ろに看板があり、
「近代設備 技術を誇る
理髪 タカヤ」とある。
スゴいね。
ガウンを着て「散髪」「シャンプー」
そして別室で着替え
さて、理髪店から出た男を尾行する
「宮川刑事」
演じるは「南原伸二」(現・宏治)
タバコを口にくわえ、左手にライターを持ち
火を付けるのかと、思いきや‥
カメラだったんだね。
24作品のなかで、こういう小道具(スパイアクション思わせる)が出てくるのは、この1作のみ。
尾行シーンでカメラが足元を捉える
このアングル好きだな~
先を行く「モンタージュ」写真の男
それを追う宮川刑事
2人の足元を交互にカメラが追う。
こういう演出いいなぁ。
70年前の風景
「山手線 上野 大塚 池袋方面行き
まもなく発車致します。
ご乗車の方はお早く願います」
と、アナウンスが。
山手線
どこの駅かわからないが、女性の後ろに伝言板があるのを確認できる。
切符を受けとる、駅員さんの姿も
僕が小学生の頃は、まだ駅に伝言板があったが、いまは、伝言板も切符を切る、駅員さんもいない。
さて、「モンタージュ写真の男」がホテルへ入っていく所を物陰からうかがう「宮川刑事」
斜めに帽子を被るところがオシャレ。
この作品が公開された9ヵ月後「少年探偵団」で「怪人二十面相」を演じている「南原伸二」
対比して見ると、「南原伸二」の演技の幅の広さがよくわかる。
演じる役によって、ガラッと印象が変わるのはさすが。
「モンタージュ写真の男」が入ったホテルのエレベーター
階数を示す表示が時計みたいだな。
「モンタージュの写真の男」の使いで現れた女
演じるは「小宮光江」 
この「警視庁物語」シリーズの常連
清楚な役から悪女役まで幅広くこなす。
個人的には、色っぽい役がはまり役だと思う。
ホテルの従業員の女性から「304番さんが電話かけましたけど」と、「宮川刑事」へ。
304番さんとは「モンタージュ写真の男」
304号室に入ったから、こう呼ばれている。
ホテルの女性従業員がコードを差し込み受話器を「宮川刑事」へ渡す。
会話を盗み聞いた宮川刑事は、「モンタージュ写真の男」が小磯と名乗っていたこと、浅草に電話してことなどから、事件の手がかりを掴む
「宮川刑事」から応援要請を受け、ホテルへ駆けつけた「長田部長刑事」
2人が部屋へ入ると、もぬけの殻
ふと、窓を見ると、下へと続く階段が。
「モンタージュ写真の男」は、危険を察知して非常階段を利用し、外へ。
左)堀雄二 右)南原伸二(現・宏治)
2つの事件で使用された拳銃の弾が同じだということがわかる。
そして、ワイシャツの血痕と田町(第2の事件)の死体は、血液型が同じと判明する。
左)関山耕司
中央)山本麟一
右)神田隆
八百屋の主人を演じるは「大東良」
「モンタージュ写真の男」がホテルからかけた電話番号から「浅草」と判断した「長田部長刑事」
使いの女が所属している「ある会」を調べるため近所の八百屋へ聞きこみをする。
主人の妻を演じるは「檜有子」
この女優の顔と名前が一致したのは、だいぶ後のことで何十回と見てやっと‥
新たに発見や感動、気づきがあるというのは嬉しいことで、この作品の持つ魅力のひとつでもある。
「檜有子」は、シリーズ第17作「12人の刑事」
(1961)で旅館の女将役で登場。
僕がこの女優を認識したのは、この作品である。
左)大東良 
中央)檜有子
右)堀雄二
「小宮光江」
今回は、「ステッキガール」役で出演。
「ステッキガール」って何?
と思い、調べてみたら‥‥当時の歴史もわかり興味深かった。
「小宮光江」という女優を知ったのは、
この「警視庁物語」シリーズ。
清楚な役から派手な役。
悪女役まで幅広くこなす。
若くして亡くなったのは残念でならない。
「大村文武」と並んで出演回数が多い。
おみくじ屋を演じる「潮健児」
「星を喰った男」
「片山滉」のところでチラッと紹介した「潮健児」の本
この本のなかで「小澤茂弘」監督の思い出も紹介されている。
「「警視庁物語」でね、僕は、あの、縁日なんかに出る、ヤマガラっていう小鳥にひかせるオミクジ屋があるでしょう。
その役をもらった。
ところが、あれにはあれで、やっぱりコツとかがあるらしいんですね。
それを一応マスターしとかないと、小鳥がいうことをきかないというので覚えなくちゃならない仕儀になったんです。
とはいったって、どこで習えるというものではないですしね。
まあ、テキ屋さんの仕事らしいんですけどね。
どうしたらいいんでしょう、って監督に訊きにいったら、「縁日に行きゃ、オミクジ屋が出てるだろう。
それに訊いて勉強してこい」って。
でもね、オミクジ屋さんといったってねえ。
どこにでもいるってものじゃないでしょう、あれは。
で、浅草あたりで行ってみりゃわかるだろうって。
行ってみたりしましたが、どこで縁日やってるかもわかんないし、もう困っちゃいましてね。
探しようがないんですよ。
「困っちゃったなぁ」って、本当にね、悩んだんですよ。
ああいう、うるさい監督だから、本番までになんとかと、思ってたんですが、とうとう、それがつかまらない。
もう、しょうがないと思ってね。
叱られのを覚悟でそのまま本番に行ったんですよ。
そしたらね、何のことはない、それを持ってくる小道具の係、それが本当のオミクジ屋さんだったんです。
考えてみればヤマガラのおみくじひきの道具なんて、どこにでもあるものじゃないから、借りてこなくちゃいけないわけですよ。
それで本職に頼んで、そのひとが持ってくるわけ。
で、そのひとが全部その場で教えてくれるんですよ。
なんだい、監督も早く教えてくれりゃいいのにと思いましたね。
やっぱり、いじわるなんですよ。
能書きがあって、それは現場で教わったんですよ、そのオミクジ屋さんに。
それで、ヤマガラがね、ちゃんと打ち合わせをやってくれるんです。
僕が替わりに口上を言ってもちゃんとオミクジを取ってきてくれる。
刑事が聞き込みにくるのだったかな。
オミクジ屋に。
そういうようなワンシーンだけの役なんですが、そのなかで僕がね、刑事さんたちをからかうようにニヤニヤ笑いながら、「へへ、なにしろ小鳥のすることですから」というところがある。
ところが、そのセリフをなぜか、小澤監督がね、えらく気に入って自分でも「へェ、なにしろ小鳥のすることですから」なんて、なにかあるたびに、その言葉を年中使うようになっちゃった。
会話のなかで、おい、そりゃ、話が違うじゃないか、なんて言われると、「ええ、なにしろ小鳥のすることですから」という具合に。
気に入ってくれたわけですよ、僕の演技をね。
それで機嫌がよかったんでしょう。
そのときのセリフを繰り返し、繰り返し、自分で使う。
そういう人なんですよ。
「よかったよ、潮ちゃん、あれ」
なんてことは絶対言わない。
俳優に対するいじわるも、ひょっとして小澤監督一流のシャイさの裏返しのあらわれなのかもしれないと、そのとき思ったものでした。
それにしても「カット・・・35点!」
は、ひどかったなあ、と、これはいまだに古い役者の間で語りぐさになってます。
アハハ。」
左)澤彰謙
書類に目を通しているのは「澤彰謙」
悪役のイメージが強いが、この当時は、刑事役など、いいひとを演じていた。
正面は、「山本麟一」
「澤彰謙」
「警視庁物語」シリーズ第3作
「追跡七十三時間」(1956)より。
刑事役で登場。
この人は、見覚えのある俳優だが、名前がわからない。
懐かしい風景
右)戸田春子
「警視庁物語」シリーズには、数本出演している。
事件現場に落ちていた万年筆が盗品とわかり、その犯人が窃盗前科のある「黒岩センゾウ」と判明する。
身柄は、地検ということで「山本麟一」が赴くことに。
「警視庁シリーズ」では、金子刑事でおなじみだが、このシリーズ第1作では、「金子くん」と呼ばれていない。
役名不明である。
さて、地検に赴いた「山本麟一」は、黒岩センゾウは、5万円の保釈金を支払い、保釈されたことを知る。
さっそく、黒岩の住まいを訪れる
「山本麟一」
70年前の浅草
交番の前の看板
「インチキ五目ならべ 注意」とある。
右のスラッと背の高いコートを着た男性は、
「宮川刑事」こと「南原伸二」
「モンタージュ写真の男」がホテルからかけた電話の相手が浅草の「つや」という名の女とわかり、さっそく、その女のところへ。
70年前の浅草
活気がある。
もう1枚
さらにもう1枚
黒岩の内縁の妻を演じるは「星美智子」
個人的には、東映の時代劇女優とのイメージが強いが、現代劇にも出演している。
(多羅尾伴内シリーズにも1本出てたなぁ)
この「警視庁物語」シリーズにも数本出演しているが、印象に残っているのは、シリーズ第13作
「血液型の秘密」(1960)で演じた小料理屋の女将
化粧を直しや着物に付いたゴミをサッとハンカチで落としたり、聞き込みに訪れた「花澤徳衛」や
「山本麟一」にお茶を入れて出したり、なんてことのない、この一連の動作をセリフをいいながら、自然にこなす。
ワンシーンの出番でこれだけ印象に残る演技をする「星美智子」って素晴らしい女優だったんだなぁ、と再認識。
この正月休みに「警視庁物語」シリーズを見直して、新たな気づき、そして発見がいろいろあったが、そのひとつが「星美智子」の芝居のうまさ、存在感。
そして和服がよく似合う。
艶っぽい。
話が横にそれてしまったが、第13作「血液型の秘密」を紹介するのは、まだ先の話(年内に紹介できるかな)
忘れずに書いておく。
黒岩の内縁の妻を演じる「星美智子」が
営む古本屋
その後ろの張り紙が目に留まった。
クリームパン15円
チョコレート15円
ジャムパン15円
アンパン15円
これらを見たら、「あんぱん」(つぶあん)と
「クリームパン」が食べたくなった。
古本屋の前を張り込む「関山耕司」
シリーズ第2作まで警視庁の刑事を演じていたが、レギュラーに定着しなかった。
シリーズ第6作「夜の野獣」(1957)では、犯人役で出演。
シリーズ第10作「108号車」(1959)では、巡査部長役で出演。
シリーズ第14作「聞き込み」(1960)では、酔っぱらいの役
左から、堀雄二 神田隆 南原伸二
関山耕司
4人とも背が高い。
宮川刑事は、黒岩の内縁の妻「つや」に売りたいものがあると掛け合い、夜の11時に木場のいずみ橋で黒岩と小磯の2人と待ち合わせることに
タバコをふかしながら2人を待つ「宮川刑事」
「南原伸二」(現・宏治)
もう1枚
様になるね。
このシリーズ第1作でタバコをふかすのは、
「南原伸二」と「関山耕司」だが、シリーズが進むにつれ、「神田隆」「堀雄二」もタバコをふかす場面が多くなる。
いつ頃からだろう。
映画やドラマで「タバコを吸う」シーンが見られなくなったのは。
そういえば「プレイガール」でも「沢たまき」がしょっちゅう「タバコ」吸ってたっけ。
張り込む「神田隆」「堀雄二」「山本麟一」
張り込む「花澤徳衛」「関山耕司」
待ち合わせ場所に現れた「黒岩」と「小磯」
左)富田仲次郎 中央)伊藤久哉
右)南原伸二
「富田仲次郎」は、もう1本
「警視庁物語」シリーズ第6作
「夜の野獣」(1957)にも出演している。
事件には関係ないが、ガラの悪いタクシーのドライバーを演じていた。
「富田仲次郎」は、やはり東映時代劇の悪役のイメージでこういう現代劇に出演していたのには、ちょっと以外だった。
「警視庁物語」が製作される前年
「終電車の死美人」(1955)より。
「モンタージュ写真の男」こと「小磯」を
演じた「伊藤久哉」
知的で聡明
端正なマスク
「終電車の死美人」では、刑事役だったが、
「警視庁物語」では犯人役。
ちなみに「終電車の死美人」では、犯人役は「南原伸二」
「星美智子」は、「南原伸二」の妻を演じていた。
ラストシーンに近づくと‥‥
張り込んでいた刑事たちに追われる
「黒岩」と「小磯」の2人
そして、最後は、2人とも御用。