シリーズ「映画人を戦慄せしめよ」の第二章・第卅四回です。

 

 

第一章では、1979~80年に戦後キネマ旬報社が刊行した著書『日本映画俳優全集』等の日本映画関連書籍に於いて、長らく消息不明または没年不詳(記述が曖昧なものを含む)とされていた戦前日本の映画俳優に就いて、種々纏めていきたいと思います。

 

是等は全て独自の調査研究をもとに作成しています。なお、現在も目下調査研究中の為、飽くまで中間報告に過ぎません。新しい情報を入手次第、追補として随時更新していきます。

 

今回は「シ」から始まる戦前日本の映画俳優(女優)を纏めたいと思います。



  • 志賀曉子
    • 1990年9月17日没(キネマ旬報ほか)
  • 不忍鏡子(進藤 幸)
    • 1987年11月21日以降
    • 2008年5月23日没(調査中)
  • 忍 節子
    • 1980年12月31日以降(調査中)
  • 澁谷正代
    • 没年不詳(調査中)
  • 淸水美佐子
    • 没年不詳
    • 1974年7月1日以降(日本タレント名鑑)
  • 白石明子
    • 没年不詳(調査中)
  • 白樺小夜子
    • 没年不詳(調査中)
  • 白河冨士子
    • 没年不詳(調査中)
  • 城木すみれ
    • 1980年12月31日以降(調査中)


次回は「ス」から始まる映画俳優(女優)です。

 

※Wikipedia等無断転載防止の為、掲載した写真や引用箇所の出典は明記しません。ご了承下さい。

シリーズ「映画人を戦慄せしめよ」の第二章・第卅三回です。

 

 

第一章では、1979~80年に戦後キネマ旬報社が刊行した著書『日本映画俳優全集』等の日本映画関連書籍に於いて、長らく消息不明または没年不詳(記述が曖昧なものを含む)とされていた戦前日本の映画俳優に就いて、種々纏めていきたいと思います。

 

是等は全て独自の調査研究をもとに作成しています。なお、現在も目下調査研究中の為、飽くまで中間報告に過ぎません。新しい情報を入手次第、追補として随時更新していきます。

 

今回は「サ」から始まる戦前日本の映画俳優(女優)を纏めたいと思います。

 

 

  • 西條エリ子
    • 1980年12月31日以降
    • 1987年11月21日以降(調査中)
    • 東京都新宿区にあった旧東京大飯店で開催された「碧川道夫を囲む会」に、風見章子、村田知英子、不忍鏡子らと共に出席した記録有り(映画撮影)
  • 西條香代子
    • 没年不詳(調査中)
  • 堺美紀子
    • 1980年12月31日以降
    • 1994年10月29日以降(調査中)
  • 酒井光子
    • 2012年3月10日没(演劇界ほか)
  • 相良愛子
    • 没年不詳(調査中)
  • 佐久間妙子
    • 1980年12月31日以降
    • 1992年3月20日以降(調査中)
    • 元子役・八田なみ志が寄稿した回顧録の中で、北見禮子と共に健在であると証言している(ノーベル書房『写真集 もう一つの日本映画史 懐しの大都映画』)
  • 櫻冨士子
    • 1931年10月31日没(同書)
  • 櫻緋紗子(小笠原日凰)
    • 2002年3月20日没(朝日新聞ほか)
  • 櫻井京子
    • 没年不詳(調査中)
  • 櫻木梅子
    • 没年不詳
    • 1978年没(ワイズ出版『日本映画興亡史 マキノ一家』)
  • 櫻町公子
    • 1980年12月31日以降
    • 2005年4月14日没(長谷川紀久恵氏による)
  • 佐々木淸野
    • 戦後以降(調査中)
  • 五月潤子
    • 没年不詳(調査中)
  • 五月信子(マリア・ミタライ)
    • 1959年7月21日没(同書)
  • 五月藤江
    • 1980年12月31日以降
    • 1982年8月21日没(五月氏ご親族による)
  • 里見藍子
    • 1980年12月31日以降(調査中)
  • 小夜福子
    • 1989年12月29日没(演劇界ほか)
  • 澤 蘭子
    • 1980年12月31日以降
    • 2003年1月11日没(共同通信ほか)
  • 澤村貞子
    • 1996年8月16日没(キネマ旬報ほか)
  • 澤村春子(稻田春子)
    • 没年不詳
    • 1989年没(東奥日報)
  • 三條輝子
    • 没年不詳(調査中)
  • 三條利喜枝(三條利喜江)
    • 戦後以降(調査中)

 

 

次回は「シ」から始まる映画俳優(女優)です。

 

※Wikipedia等無断転載防止の為、掲載した写真や引用箇所の出典は明記しません。ご了承下さい。

シリーズ「映画人を戦慄せしめよ」の第二章・第卅二回です。

 

 

第一章では、1979~80年に戦後キネマ旬報社が刊行した著書『日本映画俳優全集』等の日本映画関連書籍に於いて、長らく消息不明または没年不詳(記述が曖昧なものを含む)とされていた戦前日本の映画俳優に就いて、種々纏めていきたいと思います。

 

是等は全て独自の調査研究をもとに作成しています。なお、現在も目下調査研究中の為、飽くまで中間報告に過ぎません。新しい情報を入手次第、追補として随時更新していきます。

 

今回は「コ」から始まる戦前日本の映画俳優(女優)を纏めたいと思います。



  • 小池春枝
    • 没年不詳(調査中)
  • 小唄勝太郎
    • 1974年6月21日没(同書)
  • 小阪照子
    • 没年不詳(調査中)
  • 小櫻葉子(上原葉子)
    • 1970年5月12日没(同書)
  • 小式部八重子
    • 没年不詳(調査中)
  • 五條貴子(皆川ひろ子)
    • 没年不詳(調査中)
  • 琴 絲路
    • 1956年没(同書)
  • 琴路美津子
    • 1980年12月31日以前(調査中)
    • 戦争末期または終戦直後に満州で病死したとの事(同書ほか)
  • 小濱美代子
    • 没年不詳(調査中)
  • 小林加奈枝
    • 1980年12月31日以降
    • 2001年9月8日没(調査中)
  • 小町とし子(片岡登志子)
    • 没年不詳
    • 1946年3月16日斬殺(演劇界ほか)
  • 小松みどり
    • 1982年10月26日没(演劇界ほか)
  • 小松峯子
    • 没年不詳(調査中)
  • 五味國枝
    • 1980年12月31日以降(調査中)
  • 小峰千代子
    • 1980年12月31日以降
    • 1988年没(週刊新潮ほか)
  • 金剛麗子
    • 1964年12月5日没(同書)



次回は「サ」から始まる映画俳優(女優)です。

 

※Wikipedia等無断転載防止の為、掲載した写真や引用箇所の出典は明記しません。ご了承下さい。

シリーズ「映画人を戦慄せしめよ」の第二章・第卅一回です。

 

 

第一章では、1979~80年に戦後キネマ旬報社が刊行した著書『日本映画俳優全集』等の日本映画関連書籍に於いて、長らく消息不明または没年不詳(記述が曖昧なものを含む)とされていた戦前日本の映画俳優に就いて、種々纏めていきたいと思います。

 

是等は全て独自の調査研究をもとに作成しています。なお、現在も目下調査研究中の為、飽くまで中間報告に過ぎません。新しい情報を入手次第、追補として随時更新していきます。

 

今回は「ク」から始まる戦前日本の映画俳優(女優)を纏めたいと思います。

 

 

  • 草香田鶴子
    • 戦後以降(調査中)
  • 草島競子
    • 1980年12月31日以降(調査中)
  • 草笛美子
    • 1977年10月29日没(同書)
  • 草間錦糸
    • 没年不詳(調査中)
  • 久慈行子
    • 1977年7月27日没(同書)
  • 九條和子
    • 1949年7月29日没(同書)
  • 楠田 薰
    • 2012年6月1日没(朝日新聞ほか)
  • 久世小夜子
    • 没年不詳(調査中)
  • 國友和歌子
    • 1980年12月31日以降(調査中)
  • 久原良子
    • 没年不詳(調査中)
  • 久米順子
    • 没年不詳
    • 1945年8月15日以前(調査中)
    • 引退後は大連で酒場を経営していたが、戦時中に同地または神奈川県茅ヶ崎市で病死(寺島浩『音楽家』ほか)
  • 雲井鶴子(雲井ツル子)
    • 没年不詳(調査中)
  • 雲井八重子
    • 没年不詳(調査中)
  • 黑木しのぶ
    • 1964年1月15日没(同書)
  • 黑田記代
    • 戦後以降
    • 2004年没(調査中)
  • 桑野通子
    • 1946年4月1日没(同書)

 

 

次回は「コ」から始まる映画俳優(女優)です。

 

※Wikipedia等無断転載防止の為、掲載した写真や引用箇所の出典は明記しません。ご了承下さい。

こんにちは。

 

先日、約10年ぶりに広島を訪れた水沢江刺です。

 

去る6月1日から翌2日にかけて、福岡県福岡市中央区の大濠公園境内にある福岡市美術館ミュージアムホールにおいて開催された居島一平&坂本頼光 福岡2Days(第15回 博多活弁パラダイス)に、我々参列致しました。

 

居島一平&坂本頼光二人会のパンフレット(サイン入り)

 

記念すべき1日目は、開口一番としてお笑い芸人・如吹矢ーさんの強靭な時事漫談からスタート。その後、YouTubeチャンネル「苦肉祭チャンネル」の人気企画『居島一平・坂本頼光の暗黒迷画座』の福岡公開収録と題しまして、ピーター・フォーク主演の名作TVドラマ『刑事コロンボ』シリーズについて、お笑い芸人・居島一平さんと活動弁士・坂本頼光さんが熱く語る!!

 

その他、名女優・シガニー・ウィーバーが主演を務めた、アイヴァン・ライトマン監督『デーヴ』や、大映の誇る名作シリーズ『座頭市』や『眠狂四郎』などを手掛けた安田公義監督『妖怪百物語』についても取り上げられ、途中恒例の脱線話を交えながら灼熱なトークが繰り広げられました。YouTubeを観ている時もそうですが、両氏の博学多才には頭が下がる思いで御座います。

 

2日目は、先ず開口一番として昨日に引き続き如吹矢ーさんが登場。その後、お待ちかね居島一平さんの爽快なシネ漫談ライブが始まりました。今年で公開70年を迎えた黒澤明監督の最高傑作『七人の侍』と、本多猪四郎監督の名作『ゴジラ』にまつわる熱血トーク。山田洋次監督『男はつらいよ』シリーズなど、名作映画の再現モノマネや完全オマージュ。更にはライブに行かないと聞けない禁断トーク(嫌いな映画ジャンルについて、某映画・某大物俳優の批評など)云々。非常に衝撃的で、かつ大いなる共感と爽快感を覚えました。

 

そして、坂本頼光さんの活動写真では、滅多にお目にかゝらないであろう宝塚キネマの作品を一本。ヴェテラン監督の後藤岱山(後の後藤昌信)がメガホンをとった正月映画『韋駄天數右衞門』が上映されました。因みに、後藤岱山改め後藤昌信は、後に大都映画にても大乘寺八郎・三城輝子主演、城木すみれ、都健太郎、藤間林太郎助演で再び『韋駄天數右衞門』を撮っております。

 

宝塚キネマは僅か1年で解散してしまう映画製作会社である為、俗に「三流キネマ」「弱小プロダクション」と言われておりますが、同作には貧乏臭さや煩雑さが全く感じられません。また、主演を務めた剣戟スター・羅門光三郎特有の豪快な殺陣と、頼光さんの役に入り込んだ熱弁、更に曲師・玉川鈴さんの絢爛たる三味線演奏が相重なり、観る者を圧倒させました。羅門光三郎が、数多の撮影所を転々としながらも、如何に人気を博していたのか、非常に勉強になる作品で御座いました。

 

如吹矢ーさん、居島一平さん、坂本頼光さん、玉川鈴さん

その節は本当に有難う御座いました…感謝。

 

今回はその公演記念と致しまして、先ほどご紹介致しました後藤岱山監督の力作『韋駄天數右衞門』の配役及び出演者の概要に就いて、徹底解剖して参りたいと思います。先ず、配役と出演者は以下の通りです。

 

寶塚キネマ撮影所製作・配給

『韋駄天數右衞門』

 

『韋駄天數右衞門』の羅門光三郎

 

【スタッフ】

 

  • 監督…後藤岱山(後の後藤昌信)
  • 原作・脚本…波多野理一(後の波多野利一)
  • 撮影…小柳京之助

 

 

【出演者と配役】

 

  • 不破數右衞門・大石内藏之助…羅門光三郎
  • 大石主税…靜田二三夫
  • 矢頭衞門七…市川龍男
  • 大野九郎兵衞…矢野伊之助
  • 大野群太夫(大野軍太夫)…金子文二郎
  • 原惣右衞門…市川花紅
  • 渡邊政之助…加藤義夫
  • 相良久八郎(佐良久八郎)…豐島龍平
  • 淺野内匠頭…阪東太郎
  • 藤澤大膳…菊地雙三郎
  • 質屋亭主…天野榮太郎
  • 或る道塲の士…鳴戸史郎
  • お國…原 駒子
  • 芳枝…三原珠子
 
【出演者概要】
 
赤穂藩淺野家に仕える粗忽者の不破數右衞門と、後に赤穂浪士四十七士の指導者となる大石内藏之助二役を演じたのは羅門光三郎。初めは本名岩井憲次を名乗り、小笠原プロで映画デビューを果たしました。その後、岩井健夫と改名し、惡麗之助プロ(大阪港パーク撮影所)を経て東亜キネマに移籍します。相変わらず脇役・端役出演が続いておりましたが、同所の剣戟スター・光岡龍三郎の弟子となり、羅門光三郎を襲名して以降、一躍トップスターとなりました。因みに芸名の由来は、無声映画時代の活劇スターとして一世を風靡したラモン・ノヴァロの「ラモン」と、師匠・光岡龍三郎の「光」と「三郎」を取ったものであります。ところが、東亜解散後は、東活映画、富国映画、宝塚キネマ、フリーランサー(第一映画作品では芳澤一郎名義で出演)、極東映画、甲陽映画、今井映画と、戦時中に新興京都(後の大映京都)に移籍するまでの間、新設しては直ぐに潰れてしまう中小プロダクションを転々としました。それでもなお、若者を中心に大変な人気を集め、俗に「三流キネマの大統領」と云う異名を持っております。
數右衞門の女房・お國を演じたの原駒子は、羅門光三郎の夫人(当時)にあたります。幼少期、松竹蒲田の人事課長、事務総長を務めた六車修のもとに寄寓していたのが縁で映画界に入り、原こま子を名乗って関東大震災後の松竹下加茂で映画初出演を果たしました。その後、原駒子と改名し、帝キネ小阪を経て東亜京都に移籍してからは、夫君・羅門光三郎と行動を共にします。同じく東活映画、富国映画、宝塚キネマ、フリーランサー、極東映画と転々とし、極東映画分裂まで夫婦共演も多くされました。トーキーの製作が本格化してからは、マキノ・トーキー、日活京都、松竹京都と移籍し、終戦後の溝口健二監督『西鶴一代女』の脇役出演を最後に引退するまで、数多の作品に出演しました。同作では數右衞門の清楚な女房役を演じておりますが、本来は妖婦役・毒婦役を得意とし、俗に「姐御女優」とも呼ばれました。
大石内蔵之助の御子息・大石主税を演じたのは靜田二三夫。当時、研究生を経て新人スターとして売り出し中の俳優でありました。宝塚キネマ解散後は、興国映画、極東映画(後の極東キネマ)、大宝映画と転々としますが、三流キネマの若衆スターとして主演を務めたほか、羅門光三郎をはじめ、雲井龍之介、綾小路絃三郎、市川壽三郎ら「極東三羽烏」とも多数共演しました。戦時中は本名隆野唯勝と改名し、東宝の専属俳優として活動します。特に山本嘉次郎監督『ハワイ・マレー沖海戦』など戦争映画に専ら出演し、終戦後の東宝争議勃発まで活躍しました。
赤穂城を後にする數右衞門を見届けた、赤穂浪士四十七士の一人である若侍・矢頭衞門七を演じたのは市川龍男。剣戟スター・阪東妻三郎と犬猿の仲で知られる市川幡谷の御子息であります。市川市松を名乗る歌舞伎役者として活動していた頃、帝キネで映画初出演。歌舞伎廃業後は、実父・市川幡谷が当時在籍していたマキノ御室に移籍。同時に市川新藏を名乗って活動していましたが、名前が被ってしまったのか、東亜京都移籍と同時に市川龍男と改名。以降、多数の時代劇映画に出演し、特に若侍役・気の弱い若旦那役を得意としました。実父・市川幡谷が芸能界を引退してからは、有田晃之助と改名して日活京都に移籍しますが、馴染めず早期退社。市川龍男に戻し、東活映画、宝塚キネマ、極東映画と転々とした後、戦時中は中村吉十郎、市川壽三郎、松園桃子らと共に実演に転向。終戦後はえくらん社に在籍していました。
御子息・大野群太夫を數右衞門に人違いで斬り付けられ、怒りに荒れ狂う不忠臣の赤穂藩家老・大野九郎兵衞を演じたのは矢野伊之助。当初は秋月桂太郎、後の山崎長之輔門下の新派俳優でしたが、30歳代後半で突如として映画デビュー。老役・父親役を得意とし、光岡龍三郎、市川小文治、片岡時次郎ら当時の東亜京都の剣戟スターと多数共演。また、長年の舞台経験を生かし、井出錦之助監督『街の潜航艇』など、時代劇だけでなく現代劇にも積極的に出演。東亜解散後は、東活映画、宝塚キネマ、興国映画、極東映画と撮影所を転々としますが、極東映画分裂まで、同所になくてはならない芸達者な名脇役として活躍しました。
同じく赤穂浪士四十七士の一人である参謀・原惣右衞門を演じたのは市川花紅。映画界入りは古く、新たに創設された日活京都第二部からキャリアを始めました。当初は市川鬼久十郎を名乗り、市川姉藏一派の助演者として活動していました。後に実業家・牧野省三が日活を退社するにあたり、沼田紅綠、嵐冠三郎、片岡市太郎、市川幡谷、市川鬼久丸(後の阪東太郎)、市川小蝦(後の春本泰男)らと共に牧野教育映画に移籍し、芸名も牧野省三の義太夫名から市川花紅と改名。マキノ等持院、東亜マキノ等持院、東亜京都と改称された後も継続入社し、後年は本間直司と共に俳優幹事を務めていました。東亜解散後は、東活映画、宝塚キネマ、嵐寬壽郎プロと移りますが、以後も老役専門として数多の時代劇映画に出演しました。
厚情な赤穂藩主・淺野内匠頭を演じた阪東太郎は、市川花紅の御子息にあたります。当初は市川鬼久丸を名乗る市川鬼丸門下の歌舞伎役者でしたが、松竹合名会社専属の新派俳優としても活動していたと云う珍しい経歴を持っております。後に歌舞伎を廃業し、実父・市川花紅と同じく日活京都第二部で映画初出演。牧野省三らと共に牧野教育映画に移籍すると同時に、芸名を市川省紅と改名しますが、東亜とマキノが合併されて東亜マキノ等持院に改称後は、本名高頭道太郎で活動。更にマキノキネマと分離して東亜京都に改称後は、阪東太郎と改名。三枚目役を得意とする剣戟スターとして人気を集め、数多の作品で主演を務めました。東亜解散後は、東活映画、宝塚キネマ、嵐寬壽郎プロ、新興京都、大映京都と移り、終戦後まで長く活躍しました。
數右衞門に仇討を仕掛ける相良久八郎一党の侠客・藤澤大膳を演じたのは菊地雙三郎。映画界入り以前の経歴は調査中ですが、市川右太衞門プロで映画初出演。その後は東亜京都を振り出しに、東活映画、宝塚キネマ、極東映画、甲陽映画と、羅門光三郎と同じく中小プロダクションを転々とし、敵役・斬られ役・三枚目役を多く演じました。戦時中は東宝に在籍し、芸名も谷山光と改名。時代劇だけでなく現代劇にも積極的に出演していましたが、終戦後の東宝争議勃発と同時に新東宝に移籍。入社当初は本名木塲福池を名乗って活動していましたが、間も無くもとの菊地雙三郎に戻し、以後新東宝が倒産するまで非常に長く活躍しました。
悪相たる或る道塲の士を演じた鳴戸史郎は、固より映画俳優を志し、舞台経験無くして東亜京都で映画初出演を果たしました。当初は大部屋俳優として、役柄の付かない端役が続いておりましたが、光岡龍三郎が主演を務めた後藤岱山監督『からくり蝶』や『幡随院長兵衞』シリーズで頭角を現わします。若手ながらも、謂わゆる東亜時代劇の「敵役の双璧」と称された片岡左衞門、瀨川路之介に次ぐ憎々しい敵役として売り出しました。東亜解散後は、東活映画、宝塚キネマ、東洋映画、極東映画、甲陽映画、全勝キネマ、興亜映画と、やはり中小プロダクションを転々としますが、引き続き憎まれ役・敵役を多く務め、戦時中に興亜映画が松竹太秦に吸収合併されるまで活躍しました。
 

下村健二監督『怪奇 江戸川乱山』の羅門光三郎(おまけ)

 

安達伸生監督『透明人間現わる』の羅門光三郎(おまけ)

 

以上、経歴の判らない男女優を除き、補足説明して参りました。『韋駄天數右衞門』の出演者の中には、牧野省三光岡龍三郎羅門光三郎などを師匠として仰ぎ、東亜キネマを振り出しに各撮影所を転々とした者も居れば、終戦後も長く活躍した者も居り、是亦映画俳優の多様性が見受けられました。また今回、少し大雑把に書いてしまった箇所も多々ありますが、何卒ご容赦くださいませ。
 
改めて活弁は面白い。観る度に色々な発見がある。この面白さが世に伝わると良いのだが…。

 

シリーズ「映画人を戦慄せしめよ」の第二章・第卅回です。

 

 

第二章では、1979~80年に戦後キネマ旬報社が刊行した著書『日本映画俳優全集』等の日本映画関連書籍に於いて、長らく消息不明または没年不詳(記述が曖昧なものを含む)とされていた戦前日本の映画俳優に就いて、種々纏めていきたいと思います。

 

是等は全て独自の調査研究をもとに作成しています。なお、現在も目下調査研究中の為、飽くまで中間報告に過ぎません。新しい情報を入手次第、追補として随時更新していきます。

 

今回は「キ」から始まる戦前日本の映画俳優(女優)を纏めたいと思います。



  • 岸 輝子
    • 1990年5月10日没(演劇界ほか)
  • 岸 旗江
    • 2008年11月17日没(キネマ旬報ほか)
  • 喜多川千鶴
    • 1997年3月4日没(演劇界ほか)
  • 北原夏江
    • 1938年12月18日没(同書)
  • 北見禮子
    • 1980年12月31日以降
    • 2007年没(調査中)
  • 衣笠淳子
    • 1980年12月31日以降(調査中)
  • 衣笠みどり
    • 没年不詳(調査中)
    • 引退後は、京都府京都市中京区でスナックを経営(映像研究ほか)
  • 絹川京子
    • 戦後以降(調査中)
  • 木下千代子
    • 1980年12月31日以降
    • 1989年10月1日以前(中村房吉・中村よつ子『目玉の松ちゃん 父、尾上松之助の想い出』)
  • 木下双葉
    • 1938年8月30日没(同書)
  • 木下八百子
    • 1967年8月29日没(同書)
  • 淸川玉枝
    • 1969年1月21日没(同書)
  • 淸川虹子
    • 2002年5月24日没(キネマ旬報ほか)
  • 喜代三(中山喜代三)
    • 1963年3月23日没(キネマ旬報ほか)
  • 霧島黎子
    • 没年不詳(調査中)
  • 霧立のぼる
    • 1972年3月22日没(同書)



次回は「ク」から始まる映画俳優(女優)です。

 

※Wikipedia等無断転載防止の為、掲載した写真や引用箇所の出典は明記しません。ご了承下さい。




【告知板】


▲去る6月2日、大濠公園境内にある福岡市美術館にて開催されました「居島一平&坂本頼光 二人会」(第15回博多活弁パラダイス)におきまして、お馴染み坂本頼光さんの活弁と玉川鈴さんの三味線演奏によって上映されました、後藤岱山監督『韋駄天數右衞門』(1933年・宝塚キネマ)の出演者に就いて纏めたブログ『韋駄天數右衞門』出演者概要を本日深夜更新いたしました!

▲同作品で主演を務めた羅門光三郎原駒子は勿論の事、靜田二三夫市川龍男市川花紅菊地雙三郎など、ネットで調べてもあまり情報が無い映画俳優についても述べております。興味のある方は是非ご覧下さいませ。なお、豐島龍平天野榮太郎につきましては、目下調査中で御座います。


シリーズ「映画人を戦慄せしめよ」の第二章・第廿九回です。

 

 

第一章では、1979~80年に戦後キネマ旬報社が刊行した著書『日本映画俳優全集』等の日本映画関連書籍に於いて、長らく消息不明または没年不詳(記述が曖昧なものを含む)とされていた戦前日本の映画俳優に就いて、種々纏めていきたいと思います。

 

是等は全て独自の調査研究をもとに作成しています。なお、現在も目下調査研究中の為、飽くまで中間報告に過ぎません。新しい情報を入手次第、追補として随時更新していきます。

 

今回は「カ」から始まる戦前日本の映画俳優(女優)を纏めたいと思います。

 

 

  • 甲斐世津子
    • 戦後以降(調査中)
  • 笠置シヅ子
    • 1985年3月30日没(新劇ほか)
  • 風見章子
    • 2016年9月28日没(朝日新聞ほか)
  • 香椎園子
    • 没年不詳(調査中)
  • 柏 美枝
    • 1966年5月20日没(同書)
  • 香住佐代子
    • 1980年12月31日以降(調査中)
  • 桂 珠子
    • 戦後以降
    • 1959年1月1日以降(調査中)
    • 終戦後は東京都郊外で料亭を経営(映画情報ほか)
  • 葛城文子
    • 1945年8月19日没(同書)
  • 加藤治子
    • 2015年11月2日没(讀賣新聞ほか)
  • 香取千代子
    • 没年不詳(調査中)
  • 上村節子
    • 1980年12月31日以降
    • 1984年5月25日以降(能間義弘『図説福岡県映画史発掘 戦前篇』)
  • 上山珊瑚
    • 1927年9月8日没(同書)
  • 加茂川緋佐子
    • 1930年6月27日没(同書)
  • 川上朱實
    • 没年不詳(調査中)
  • 河上君榮
    • 戦後以降(調査中)
  • 川上彌生
    • 1980年12月31日以降
    • 1994年8月25日以降(盛内政志『映画俳優事典 戦前日本篇』ほか)
  • 川口秀子
    • 2009年1月5日没(朝日新聞ほか)
  • 川路龍子
    • 1996年4月20日没(キネマ旬報ほか)
  • 川島奈美子
    • 没年不詳(調査中)
  • 川田芳子
    • 1970年3月23日没(同書)
  • 河原崎しづ江
    • 2002年1月1日没(朝日新聞ほか)
  • 神田千鶴子
    • 1980年12月31日以降(調査中)

 

 

次回は「キ」から始まる映画俳優(女優)です。

 

※Wikipedia等無断転載防止の為、掲載した写真や引用箇所の出典は明記しません。ご了承下さい。

シリーズ「映画人を戦慄せしめよ」の第二章・第廿八回です。

 

 

第一章では、1979~80年に戦後キネマ旬報社が刊行した著書『日本映画俳優全集』等の日本映画関連書籍に於いて、長らく消息不明または没年不詳(記述が曖昧なものを含む)とされていた戦前日本の映画俳優に就いて、種々纏めていきたいと思います。

 

是等は全て独自の調査研究をもとに作成しています。なお、現在も目下調査研究中の為、飽くまで中間報告に過ぎません。新しい情報を入手次第、追補として随時更新していきます。

 

今回は「オ」から始まる戦前日本の映画俳優(女優)を纏めたいと思います。

 

 

  • 及川道子
    • 1938年9月30日没(同書)
  • 大内照子
    • 没年不詳(調査中)
  • 大江美智子
    • 1939年1月6日没(同書)
  • 大河三鈴
    • 戦後以降(調査中)
  • 大河百々代
    • 戦争末期没(調査中)
  • 大久保淸子
    • 1980年12月31日以降
    • 2006年8月4日没(京都新聞)
  • 大倉千代子
    • 1980年12月31日以降(調査中)
  • 大塚君代
    • 1980年12月31日以降
    • 1996年2月1日没(調査中)
  • 大塚田鶴子
    • 没年不詳(調査中)
  • 大林梅子
    • 1995年3月17日没(讀賣新聞ほか)
  • 大原雅子
    • 1961年1月1日以降(調査中)
    • 終戦後は神奈川県鎌倉市在住(伊奈もと『髪と女優』)
  • 大山デブ子
    • 1981年7月15日没(キネマ旬報ほか)
  • 岡島艶子
    • 1989年2月4日没(キネマ旬報ほか)
  • 岡田靜江
    • 戦後以降(調査中)
  • 岡村文子
    • 1976年8月15日没(同書)
  • 小川雪子
    • 没年不詳(調査中)
  • 尾崎靜子
    • 没年不詳(調査中)
  • 小田照葉(高岡智照尼)
    • 1994年10月22日没(六大新報ほか)
  • 音羽久米子
    • 1980年12月31日以降(調査中)

 

 

次回は「カ」から始まる映画俳優(女優)です。

 

※Wikipedia等無断転載防止の為、掲載した写真や引用箇所の出典は明記しません。ご了承下さい。

シリーズ「映画人を戦慄せしめよ」の第二章・第廿七回です。

 

 

第一章では、1979~80年に戦後キネマ旬報社が刊行した著書『日本映画俳優全集』等の日本映画関連書籍に於いて、長らく消息不明または没年不詳(記述が曖昧なものを含む)とされていた戦前日本の映画俳優に就いて、種々纏めていきたいと思います。

 

是等は全て独自の調査研究をもとに作成しています。なお、現在も目下調査研究中の為、飽くまで中間報告に過ぎません。新しい情報を入手次第、追補として随時更新していきます。

 

今回は「ウ」と「エ」から始まる戦前日本の映画俳優(女優)を纏めたいと思います。

 

 

  • 潮みどり
    • 没年不詳(調査中)
  • 歌川絹枝
    • 戦後以降(調査中)
  • 歌川八重子
    • 1943年9月13日没(同書)
  • 歌川るり子
    • 没年不詳
    • 1950年没(サトウ・ハチロー『青春風物詩 ハチロー半生記』)
  • 歌路英子
    • 没年不詳(調査中)
  • 梅園龍子
    • 1980年12月31日以降
    • 1993年4月30日没(芸能人物事典ほか)
  • 浦路輝子
    • 没年不詳(調査中)
  • 浦波須磨子
    • 没年不詳(調査中)
  • 浦邊粂子
    • 1989年10月26日没(キネマ旬報ほか)
  • 江川なほみ
    • 没年不詳
    • 1958年5月15日以前(映画情報)
  • 繪島千歌子
    • 没年不詳
    • 1945年8月15日以前(調査中)
    • 京都府京都市上京区にある法輪寺(だるま寺)に霊牌がある(貴寧磨殿)
  • 悦ちやん(江島瑠美)
    • 没年不詳
    • 戦後以降(調査中)
    • 1958年9月30日に公開されたジョン・ヒューストン監督の日米合作映画『黒船』において、日本側のキャスティング・ディレクターとして参加(ゴシップ10年史)
  • 江戸川蘭子
    • 没年不詳
    • 1990年11月5日没(芸能人物事典ほか)
  • 江波和子
    • 1947年没(同書)
  • 江間光括
    • 1937年7月15日没
    • 1973年7月15日没(同書)

 

 

次回は「オ」から始まる映画俳優(女優)です。

 

※Wikipedia等無断転載防止の為、掲載した写真や引用箇所の出典は明記しません。ご了承下さい。

シリーズ「映画人を戦慄せしめよ」の第二章・第廿六回です。

 

 

第一章では、1979~80年に戦後キネマ旬報社が刊行した著書『日本映画俳優全集』等の日本映画関連書籍に於いて、長らく消息不明または没年不詳(記述が曖昧なものを含む)とされていた戦前日本の映画俳優に就いて、種々纏めていきたいと思います。

 

是等は全て独自の調査研究をもとに作成しています。なお、現在も目下調査研究中の為、飽くまで中間報告に過ぎません。新しい情報を入手次第、追補として随時更新していきます。

 

今回は「イ」から始まる戦前日本の映画俳優(女優)を纏めたいと思います。

 

 

  • 飯塚敏子
    • 1991年12月14日没(キネマ旬報ほか)
  • 井川邦子
    • 2012年10月4日没(キネマ旬報ほか)
  • 生野初子
    • 1988年没(調査中)
    • 1967年没説有り(菅谷紅葉氏による)
  • 伊澤蘭奢
    • 1928年6月8日没(同書)
  • 石井美笑子
    • 戦後以降(調査中)
  • 石河 薰
    • 1972年2月17日没(同書)
  • 五十鈴桂子
    • 没年不詳(調査中)
  • 泉 淸子
    • 1950年8月26日没(同書)
  • 泉 春子
    • 1998年頃没(芸能人物事典)
  • 出雲八重子
    • 戦後以降(調査中)
  • 市川翠扇
    • 1974年9月27日没(同書)
  • 市川春衞
    • 1980年12月31日以前
    • 1934年3月27日没(愛媛県百科大事典)
  • 市川春代
    • 2004年11月18日没(キネマ旬報ほか)
  • 一城竹子
    • 没年不詳(調査中)
  • 一の宮あつ子
    • 1991年2月16日没(演劇界ほか)
  • 市丸
    • 1997年2月17日没(演劇界ほか)
  • 市村美津子
    • 没年不詳(調査中)
  • 一色勝代
    • 没年不詳
    • 1950年5月26日没(讀賣新聞)
  • 伊藤智子
    • 1974年1月17日自殺(同書)
  • 伊藤みはる
    • 没年不詳
    • 1956年8月10日以前(南部僑一郎『スターと恋と金』)
  • 井上久榮
    • 1980年12月31日以降(調査中)
  • 井上雪子
    • 没年不詳
    • 2012年11月19日没(朝日新聞ほか)
  • 伊村利江子
    • 戦後以降(調査中)
  • 岩井咲子
    • 1980年12月31日以前(調査中)

 

 

次回は「ウ」と「エ」から始まる映画俳優(女優)です。

 

※Wikipedia等無断転載防止の為、掲載した写真や引用箇所の出典は明記しません。ご了承下さい。