ノックアウトオプションはお申し込み殺到中?

ノックアウトオプションといえば、紛れもなく今注目を集めている金融商品の筆頭候補だ。

 

Googleで英語圏のサイトを見てもノックアウトオプションを提供する海外の業者はほぼ見つからないので、基本的には国内向けのサービスとして提供されている。

 

ノックアウトオプションを提供しているのは、ともに外資系となるIG証券とFOREX.com(社名:ストーンエックスフィナンシャル)の2社だけだ。

 

先ほど、「紛れもなく今注目〜」と書いたが、記事公開時点においてIG証券のログイン画面には下記文言が表示されている。

 

 

通常FXの口座開設というと、早くて当日から取引できる業者もあるが、ノックアウトオプションは取引できるまで10日程度かかる可能性もあり、人気が高いことが分かる。

(※ただし口座開設に時間がかかるのは、業者側のプロセスに改善が必要であることも考えられる。)

 

とはいえ、ノックアウトオプション自体の商品性に魅力を感じて、取り組んでいる人が多いのも事実だ。

 

それではFXとの具体的な違いを解説していく。

ノックアウトオプションとFXの違い

名称にオプションとあるように、オプション取引から派生した金融商品だが、FXやCFDの取引経験があるなら、何ら戸惑うことなく取引が可能である。

 

【FX】

  • 証拠金の仕組みにより、レバレッジを効かせた取引ができる
  • 取引期限の自由度が高い
  • 注文方法が多彩
  • 損切りできず損失が拡大するとロスカットが執行される
  • スプレッドが狭い

 

【ノックアウトオプション】

  • オプション取引の一種だからレバレッジの仕組みがない
  • 保有期限に制限があり、最大で1年程度(タイミングによって保有は最大2ヶ月程度となる)
  • 新規注文のときノックアウトレベルを決めて、それに伴ったオプション料を支払う
  • ノックアウトレベルはFXでいう、最終損切りライン
  • 最初に購入したオプション料以上は絶対損失しない
  • エントリーは成行で行われ、イグジットは成行/指値/逆指値が使える
  • FXよりも若干スプレッドが広い

かんたんに特徴をまとめると、上記の通りだ。

 

ここではFXの説明は割愛するが、ノックアウトオプションはオプション取引の仕組みにり、限月(期限)がある。

約一年の期限のうち、期限が終わる2ヶ月ほど前に、次回の取引がスタートするため、タイミングよく長期で保有するなら最大1年ほど、タイミングが悪ければ最大2ヶ月ほど注文を保有することが可能だ。

 

短期では制限がないため(FOREX.comはスキャルピング不可)、数秒や数分で売買を繰り返すスキャルピングやデイトレードを行うこともできる。

 

「取引期限」に加えて、もうひとつの特徴となるのが「ノックアウトレベル」だ。

レバレッジの仕組みがないためノックアウトオプションにはロスカット自体が存在しないが、最終的なロスカットラインのイメージとなる。

 

そしてノックアウトレベルごとにオプション料が設定されており、原資産価格に近いほどオプション料は安く、原資産価格から離れるほどオプション料は高くなる仕組みだ。

長所と短所

そもそもノックアウトオプションは『一定条件に達したら、権利が消滅する取引』なので、ノックアウトレベルに達したら、購入したオプション料そのものが損失となる取引となっている。

 

このルールによって、ノックアウトオプションには以下のデメリットがある。

  • FXでは損失を抱えても長期で塩漬けできるが、ノックアウトオプションでは1年以上の塩漬けができない
  • ロスカットレベルは米ドル円で最大10円程度なので、大きな変動には耐えられない
  • 一瞬でもノックアウトレベルに達したら、購入額全ての損失が確定する
ご覧のとおり、ノックアウトオプションは短期〜中期向きであり、FXのように長期で塩漬けして耐える取引ができない設計だ。
また購入額全額を失うリスクがあることもデメリットとなる。
 
その反面、FXを上回る資金効率を誇り、一度設定したノックアウトレベルは二度と変更できないため、購入額以上の損失は絶対にない安心感がノックアウトオプションのメリットとなる。
 

オプション料とレバレッジ概算のイメージ

前述したように、レバレッジ取引ではないため「ノックアウトオプションはレバレッジ〇〇倍」というのはナンセンスである。

 

しかしながらノックアウトオプションでは、1ロットや2ロットで米ドル円などを取引するのはFXと共通だ。

そのため元手と運用金額のバランスを見ることで、FXと比較してどのくらい資金効率が高いのかひとつの判断材料にできると考え、レバレッジに置き換えて計算してみた。

 

※2021年9月14日時点、米ドル/円が110円のとき

 

通常FXのレバレッジを計算するとき、最大レバレッジは25倍のため、110万円÷25=44,000となり、レバレッジ約25倍で取引するなら44,000円、レバレッジ1倍で取引するなら110万円が必要な計算となる。

 

以下では110万円÷オプション料でレバレッジの目安を計算している。

 

【IG証券の場合】

オプション料 ノックアウトレベル レバレッジ概算
最小800円程度 6pips 1,375倍
1,000円 8pips 1,100倍
2,000円 18pips 550倍
3,000円 28pips 366.6倍
4,000円 38pips 275倍
5,000円 48pips 220倍
6,000円 58pips 183.3倍
7,000円 68pips 157.1倍
8,000円 78pips 137.5倍
9,000円 88pips 122.2倍
10,000円 98pips 110倍
15,000円 148pips 73.3倍
20,000円 198pips 55倍
最大110,000円程度 1098pips 10倍

 

IG証券は1万通貨から取引でき、米ドル/円は最小800円程度から購入できる。

 

 

【FOREX.comの場合】

オプション料 ノックアウトレベル レバレッジ概算
最小1,000円程度 10pips 1,100倍
2,000円 20pips 550倍
3,000円 30pips 366.6倍
4,000円 40pips 275倍
5,000円 50pips 220倍
6,000円 60pips 183.3倍
7,000円 70pips 157.1倍
8,000円 80pips 137.5倍
9,000円 90pips 122.2倍
10,000円 100pips 110倍
15,000円 150pips 73.3倍
20,000円 200pips 55倍
最大72,000円程度 720pips 15.3倍

 

上記は1万通貨の例だが、FOREX.comは1,000通貨から取引できるので、米ドル/円は最小100円程度から購入できる。

近距離のKOレベルは損失リスクが高い

ノックアウトレベルを近距離で設定すると低価格で購入でき、資金効率を高めることも可能だ。
 
しかし、FXなら大きな損失を抱えてもちょっと待てば損失を回避できたりするが、ノックアウトオプションのノックアウトレベルは変更不可により、FXよりも損失確定リスクが高いといえる。
 
そのためオプション料が安いからといって購入していては、損失ばかりが積み重なるリスクが存在する。
 
もしも週末ポジションを持ち越すことになった場合、ノックアウトレベルが近ければ、週明け月曜日のギャップでノックアウトされる可能性も高い。
 
ノックアウトオプションの購入にあたり、取引期間に見合ったノックアウトレベル選びができれば、攻守に優れたパワーを発揮してくれる金融商品といえるだろう。
 
ネットサーフィンしたところ、ノックアウトオプションに関してはこのサイトが情報が豊富だったのでリンクを貼っておく。
 

最後にまとめると、資金効率の高さにだけ注目すればチート級の金融商品ともいえる。

 

しかし正直、ノックアウトオプションよりもスプレッドが狭いFXのほうがスキャルピング向きであり、ノックアウトオプションは限月があるため、数ヶ月以上保有するポジショントレードには向いていない。

そのため積極的な為替差益を狙いたいデイトレーダー、スイングトレーダーに限定された設計といえる。

 

しかしFXと違い、20万円〜30万円といった証拠金を用意する必要がなく、追証の心配なく5万円でチャレンジできるのはノックアウトオプションならではの強みといえるだろう。