11月3日。『ゴジラ-1.0』が公開される。

監督は『Always 三丁目の夕日』などで有名な山崎貴監督だ。

庵野監督の『シンゴジラ』ぶりの実写ゴジラ、いったい誰がその嫌なバトンを引き継ぐのかと思っていたがまさか山崎監督とは…。

ある意味真逆の人選のように思う。

誤解を恐れずに言えば今まで僕は正直山崎監督とはあまり相性がよくなかった。

だから今回もあまり期待しないでおこう…と思っていたのだが、先日公開された『ゴジラ-1.0』の予告編は

 

 

 

 

お、おもしろそうじゃないか…!!

人間ドラマのシーンはまだ予告編の段階ではわからないが、特撮シーンに関していえばすごく期待できそうだ。

とくに民衆がゴジラの巨大な足につぶされていくシーン。

シンゴジラには人間が殺戮されるシーンがあまりなかった。

三丁目の夕日の監督だ。ぜひとも『ゴジラ 大怪獣総攻撃』の篠原ともえが殺されるシーンのような、人間が絶望する瞬間をこれでもかと見せてほしい。

 

 

ということで本題の映画レビュー。

今日見た映画はゴジラシリーズの第二作

『ゴジラの逆襲』

 

 

 

 

 

 

 

『ゴジラ』のヒットを受けて、公開直後に大急ぎで作ったと言われる今作。

一作目が1954年の11月4日で逆襲が翌年1955年の4月24日。

半年もたっていない。戦後まもなくの日本人のバイタリティはすさまじいですなあ…。

 

開始十分でゴジラが登場するのが素晴らしい。出し惜しみはしない。

ついでにシリーズ初の敵怪獣アンギラスの登場。

中盤大阪で戦うシーンはやけにチャカチャカと早回しのような戦いを見せてくれる二人がなにか微笑ましい。(撮影助手の人がなにかをミスってできあがった映像らしいが、円谷英二がおもしろがってそのまま採用したらしい。本物の野生動物の戦いのようだと評したとか)

逆襲のアンギラスのなにがすごいって

中盤であっさり死ぬことである

ゴジラに首を噛まれて。

そのままあっさり退場である。

後年のシリーズでもあまりいい扱いを受けていないアンギラスだが(ファイナルウォーズでサッカボールになるアンギラスが大好きだ)まさかデビュー作からこんな感じだったとは…。

シリーズ初(怪獣映画としては世界初といってもいいのでは?)の「怪獣同士の戦い」を描いた映画にも関わらず、一匹は中盤であっさり退場してしまうのだ。

おそらくこの辺はまだまだ怪獣映画を作るノウハウというものが制作側になかったがゆえなのではなかろうかと思う。

中盤以降は一匹になったゴジラをどう対処するのか、である。一作目と同じ展開…。

かと思いきや、一作目とは決定的に違うところがる。

一作目は芹沢博士という一人の天才によってゴジラを葬ることができた。

今作ではただの凡人、たくさんの市政の人々の協力と犠牲によってゴジラを封印するのだ。

この辺り、『シンゴジラ』は第一作よりもむしろ『逆襲』を参考にしたのではないか?と思うほどわりと展開として似ている。

一作目ではオキシジェンデストロイヤーという超兵器によってゴジラを跡形もなく溶かしてしまったわけだが、『逆襲』では雪崩によって雪と氷のしたに「封印」するのだ。

これなら雪崩さえどかせばすぐにゴジラを復活させることができる。

続編を作る気まんまんである。

 

面白いのが人間ドラマの部分だ。

一作目では山根博士の娘とそのフィアンセ、そしてそのライバル的ポジションである天才芹沢博士による三角関係によってドラマが作られていた。

『逆襲』にも飛行機乗り(円谷英二が元飛行機乗りだったこととなにか関係があるのか?)の月岡、その妻秀美、月岡の同僚の小林という三人のキャラクターがでてくるがこの三人は前作と違って三角関係になることもなく良好な関係を築いている。

ゴジラを発見したという月岡の応援に小林も飛行機に乗る。

そのとき見送る秀美に「最近ちょっといい雰囲気の女性がいるんだ。僕が生きて帰ったらその人にどんなプレゼントをしたらいいか教えてほしい」と言い残して。

絵に描いたような死亡フラグである…。

危険な場所に行くときになにか口約束をするべきではない。簡単にしぬ。

おまけにそれは愛しの相手に言うべきだろう。同僚の奥さんに死亡フラグたててどうすんだ。

そして秀美が小林の置いて行った手帳を見てみると中には小林の語っていた愛しの女性の写真が挟まれていた…。

のはいいんだが、その相手というのがどうみても女学生なのである。十代後半…いや下手したら中盤。完全に未成年だ。

小林は若く見積もっても二十代後半ってところだろう。

そりゃ時代が違うから当時では普通だったんだろうけど、二十代後半の男が「俺も嫁さん見つけてやるぞ!」と意気込んで行った新天地で見つけてきたのが女子高生だったら少し引く。

繰り返しになるが当時はそれが普通なのかもしれないけど。今の俺がひく。

まあそんなわけで死亡フラグをビンビンにたてた小林は周りの戦闘機がゴジラにやられていくのを見て「ちくしょう!」と叫んでゴジラに向かって突進していき、あっさり熱線にやられて爆死してしまうのだけど。

小林の飛行機は魚群探査用のもので武器とかはなにもない。つまりゴジラに対抗するすべなど持っていないのだ。

にも拘わらず「ちくしょう!」とおたけびをあげてゴジラに突っ込んでいった。

小林、お前なにがしたかったんだ

結果として小林のこの行動によって月岡たちはゴジラを倒す方法を見つけることができたので、結果オーライではあるのだけど…。

冷静に考えるとちょっと謎である。

しかし、小林の弔い合戦に臨んだ月岡がゴジラを封印して「小林、ついにゴジラを倒したぞ」とそらに向かって言うシーンはとてもいいので問題はない。

 

二作目にしてすでに挑戦ばかりのいい作品だった。昔のゴジラも面白い。

やっぱり着ぐるみ特撮はいい。

『シンゴジラ』は大好きな一本なのだけれど、「これが成功してしまってもし次の作品もCGだったらもう着ぐるみ特撮は見れないんだろうな」と公開当時悲観していた。

そして山崎監督という日本のCG最前線の監督の就任によってそれは現実のものとなってしまいそうだ。

特撮ゴジラの新作も制作してほしいと願うばかりである。

是非とも田口清隆監督のゴジラが見たい。

 

とりあえず十数年ぶりに復活した特撮キングギドラが登場する丸紅のCMを見ながら特撮シリーズの復活を待つとしましょう…。

どうでもいいけどなんの会社のcmなんだこれ…。