これは私が過去に働いていたブラック企業(以下BCと表記)で経験した話をまとめた。
#ブラック企業
【就職活動〜採用内定】
昭和〇〇年、世の中がバブル経済を謳歌する少し前、不景気で就職難のとき。
応募した会社はことごとく不採用で焦っていた秋の終わり頃、某商社の会社説明会に参加した。
とてもウェルカムな雰囲気で、優良な地元企業で地区内シェアもNo.1であると説明され、終わり際に個別に会うよう促された。
担当者の感じが良かったので、後日ファミレスで会うことになり、時間通りに到着すると店の前で待ってくれていた。
昼時ということもあり、何でも好きなものを食べてよいと言われたが、遠慮してランチセットを注文し、食事が来るまで私のことを色々聞かれた。
ひょっとして、0次面接が始まっている!?
突然のことで緊張感で手が汗でびしゃびしゃになった。担当者はなるべく緊張させまいとフランクな語り口で会話してくるが、こちらはそうはいかない。
少しすると食事が運ばれてきて、食べるよう促されたが、担当者の食べる速度に合わせながら、会話の邪魔にならないよう配慮して食べたので、味なんか全くわからない。
喉が詰まらないよう水は相当飲んだと思う。
会社の説明もそこそこに、会社訪問をするよう言われ、なんとなく約束してしまった。
会社訪問約束の日、電車で本社まで向かい、受付に会社訪問の旨を伝えると、受付は「あぁという表情」で内線電話をかけ、すぐに担当者が現れた。
本社では、展示場と営業部門、本社部門を見学しながらそれぞれの仕事内容や役割について説明を受けた。
そして役員用?応接室に案内され、重役を紹介された。
挨拶もそこそこに隣の部屋に案内され、交通費を支給するために領収書にサインと捺印を求められた。来社時に印鑑を持参するよう言われたのはこのためか…と思い出す。
そして、ボールペンを出しているこのタイミングで、「これをやってみて」と性格検査をするよう指示された。
会社訪問なのに、一次試験なのか…?
とりあえず指示されたまま、検査をこなし、帰ることに。
帰りは担当者が自家用車で駅まで送ってくれた。
数日後、役員面接の案内が届いた…。
電話も来て、ぜひ受けてほしいと説得され、アポイントメントを取られたこともあり、了解することにした。
こんな不景気に話しがトントン拍子に進み、普通なら怪しいと思うのは当然だが、あまりにも不採用が続いたので、「やっと拾う神が現れた!」と勘違いしてしまっていた。
役員面接当日、待合室に案内されると数名の応募者が緊張の面持ちで着席していた。
面接の前に職業適性検査を受け、その後一人ずつ面接会場まで案内された。
なんと案内された会場は社長室で、会社訪問のときに案内された役員室と同じ場所だった!
社長ほか重役はフレンドリーに話しかけてくれたが、緊張し過ぎてくだらない返答をしてしまった…これは落ちたな…と思いながら、帰途についた。
約1週間後、担当者から電話がかかってきた。
「君が入社を確約してくれるなら採用通知を出す。今すぐに答えを出してほしい。」と言われ、突然のことで思わず入社すると告げると、数日後に採用内定通知が郵送で届けられた。
同封の説明書きには、入社承諾書に署名捺印して1週間以内に送らないと内定は取り消されると書いてあり、慌てて返送した。
今考えると、早い期限で決断を煽られた商談の一つの方法にまんまとやられたのである。
そうしてわたしは正式に採用されることになったのである。