結婚当初、家事の仕方を事細かく教えられた。掃除では雑巾の洗い方や拭く力加減まで、炊事では野菜の切り方から家族の体調に合わせての献立、スーパーでの買い物の仕方まで。 全ての事に『辛気臭い』『手順が悪い』と言われながら、できない私が悪いからと思って頑張っていた。 けれどいつも空回りして怒られて、落ち込んで。
ある時は庭の端に物干し竿が落ちていたのをそのままにしたという事で『お前は不親切や、わざと意地悪をしているな、人格が悪いから直せ!』と激しく義父に罵られた。毎日ちくちく怒る義母と私のやりとりを聞いてイライラするのか義父は時々爆発する。

何度か昼間に逃げ出した。小さな子供を連れて、行くあてはなくただ家にいるのがたまらなく辛く、義母の気配が怖かった。
一日街中や公園を周り、暗くなる頃そっと帰ってまるで誰もいないかの様に部屋を暗くして声を潜めた。
嫁いだ家族の説明をすると…その頃夫は外で働いていたが家は自営業、朝昼晩と義父義母と小さい子供と私が一緒に過ごしていた。夫の妹(小姑)もいたが昼間は仕事に出ていた。
夫も探してくれて近くの心療内科へ行った。感じのいい先生で優しく話を聞いてくれて、動悸を抑える薬と夜眠れる薬をもらった
最初は毎日きちんと飲んでいたけれどだんだん「今日はつらい日やし飲もうか」位になってしまった。なぜこんな私を馬鹿にする家族の為に薬を飲んでまで頑張るのか?!と心のどこかにあったからだと思う。